「ちょうだい」は魔法の言葉じゃない!
ある休日、4歳の息子がどこか遊びに行きたいというので、2人で近くのショッピングモールへ行きました。ゲームセンターやカプセルトイコーナーで楽しみ、そろそろお昼ごはんでも食べようかと考えていると、息子が「ママ、のどが渇いた」とポツリ。自動販売機で飲み物を買うことにしました。
息子はうれしそうに自分でお金を入れ、りんごジュースのボタンを押しました。取り出し口からジュースを取ろうとした、その瞬間。どこから走ってきたのか、3歳くらいの男の子が勢いよく息子を突き飛ばし、取り出し口からジュースを奪い取ったのです。
予想外の突撃に息子は泣いていましたが、幸いけがはなさそう。男の子に「危ないよ。ジュースを返してね」と伝えましたが、「嫌ーーーー!」と泣き喚くばかり。そこへ男の子のママが飛んできました。ママが「どうしたの!?」と言うので、私は「お子さんが息子を突き飛ばして、息子が買ったジュースを取ってしまったんです」と説明。すると、ママは「あら。そうだったんですねー」と頷いたあと、男の子に向かい「そういうときはね、ちゃんと『ちょうだい』って言うんだよ」と、信じられないことを口にしたのです。
想定外の言葉に私も息子も呆然とする中、男の子はジュースを握ったまま「……ちょうだい」と言い出します。あまりの非常識さに言葉が見つからず「もう諦めたほうが穏便に済むかも」と思った瞬間、息子が「いいよ。じゃあ、お金ちょうだい」と言い返しました。相手のママは「子ども同士のことなんだから、そんな細かいこと言わないでよ」と不機嫌そうにひとりごとを呟いた挙句、息子に対して「うーん、お金はあげられないかな」と拒否。すると、息子は周囲に聞こえるような大声で叫びました。
「えっ!! 僕が買ったのに! 買うときはお金がいるんだよ? ドロボーしようとしたってこと!?」と、まくしたてます。周囲の視線が一気に集まり、相手のママは顔をこわばらせ気まずそうです。さらに息子は「あ! おまわりさん!」と走り出し、近くにいた警備員さんを連れてきました。「この人、僕のジュースを盗もうとするの! お金払ってくれないの!」と騒ぐ息子の話を、警備員さんも真剣な表情で聞いてくれます。すると、ざわつく周囲の状況に耐えられなくなったのか、相手のママはイライラした様子で「もう、払えばいいんでしょ!払えば!!」と、ジュース代の160円を私の手に叩きつけるように渡し、逃げるように去って行ったのです。
警備員さんは息子に「ダメなことはダメって言えて、えらかったね。ルールをよく知っているね」と、やさしく声をかけてくれました。
息子のきぜんとした態度に、親である私自身も「きちんと教えるべきことは何か」を反省させられた今回の一件。小さな子ども同士のトラブルだと、「こちらが折れたほうが早い」「仕方ない」と思ってしまいがちですが、善悪の区別や社会のルールは曖昧にしてはいけないと改めて感じました。大人として、マナーを守ることの大切さと、それを伝えられる正義感を持つことの重要さを改めて実感した出来事でした。
著者:立川りか/30代・ライター。7歳の男の子を育てるママ。息子の好きを全力で応援するため日々奮闘中。虫が大の苦手だが、息子の虫取りに付き合ってきたおかげで少しだけ耐性がついてきた。食後のデザートや週末の晩酌がご褒美。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年4月)