頑張って節約し、ついに奨学金を完済した私たちは、いよいよ結婚へとコマをすすめました。
しかし彼の様子が変なのです。完済のお祝いをしようとレストランで待ち合わせしていた日、彼は約束をすっかり忘れていました。ふたりで目指してきた日なのに、と席でひとり連絡を待った時間は、今でも忘れられません。
やっと節約生活から解放された彼は、すっかり羽を伸ばした様子。連日のように友人と飲みに出かけ、私と過ごす時間は後回しになっていきました。
ずっと我慢していた友人との付き合いが楽しい彼の気持ちもわかるのですが、生活費を入れずに遊んでいるので、困っています。ふたりで生活しているのに、彼だけが欲しいものを買って遊び歩くのは、何だかモヤっとするのが正直なところ……。
今まで私が支えてきた部分が大きいのに、彼の度がすぎる遊び方には納得がいきません。そんなことを伝えても、彼は「今くらいいいだろ」と面倒くさそうにするばかりでした。
突然の婚約破棄!? 原因はまさかの…
奨学金を返し終えてから3カ月——。大事な話をしようと思って彼の帰宅を待っていると、彼からメッセージが届きました。
『婚約破棄させてくれ! ごめんな!』
『俺は社長令嬢と結婚するから』
『これで俺は次期社長だ!』
なんと彼は私との婚約を取り消し、取引先の社長の娘さんと結婚すると言います。
まったく予想していなかったわけではありませんが、いざ口に出されると言葉に詰まりました。それでも私は『そう、おめでとう!』と素直な気持ちを伝えました。このまま一緒にいていいのか迷っていたので、入籍前でよかったとすら思えます。
別れを決めた私たち。すぐに出ていくと言っていた彼ですが、なかなか家に帰ってこないので、彼の荷造りはいっこうに進みません。
1カ月後、私が彼に催促すると、やっぱり別れたくないと言い出しました。社長令嬢に言い寄られて舞い上がっていたけれど、やっぱり私のほうが大事だと気づいたと告白されたのです。
しかし、私はそれが彼の本心ではないことを知っていました。
なぜ彼の嘘を見抜けたのか——それは、婚約破棄されたあの日に私が切り出そうとしていた「大事な話」に関係します。
都合がよすぎる彼の言い分
実は以前、彼が知らない女性と親しげにしているところを、私の友人が偶然目撃し、心配して知らせてくれたのです。あとから思えば、あれが例の社長令嬢でした。
あの日、私が彼にその女性との関係を問いただそうと思っていました。ところが先に彼のほうから婚約破棄を切り出してきたため、結局話す機会を逃していたのです。
私の友人が見たのは、ただの密会現場ではなく、彼が彼女にねだられるまま、高価なバッグや服をプレゼントしているところでした。
私は友人からこの話を聞いて、今まで彼のために節約していたことや、生活費を負担していたことがバカらしくなり、彼から婚約破棄を告げられたときには、すでに彼への愛情は冷めていたのです。
今さら「やっぱり君が大切だ」なんて言われても、心が動くはずがありません。
彼は何度も復縁を求めてきました。しつこく理由を問いただすうちに本人が漏らしたのは、「目が覚めた」どころではない事情でした。
なんと社長令嬢には本命がいて、ただの浮気相手だった彼は、あっさり飽きられて捨てられたというのです。社長令嬢に貢ぐため、新たな借金まで作っていました。
奨学金返済に協力していた私をあっさり捨てて、次期社長になれると浮かれていたくせに、困ったら助けを求める彼……。バカにされているようで、とても不愉快でした。
これ以上、自分をないがしろにされたくありませんし、傷つきたくもありません。もう二度と私の前に現れないでほしいとお願いしました。
婚約者の末路
慰謝料については、私の両親も交えて何度か話し合い、支払いの約束を書面にしてもらいました。社長令嬢に貢いだ分の借金も含め、相当な額になったのだとか……。
結局、自分では用意できなかった彼は、自分の両親に肩代わりしてもらったようです。彼の両親は私に深く頭を下げ、私の実家にも何度も謝罪に訪れました。
この一件で、彼は自分の両親に愛想を尽かされ、実家にも帰りづらくなり、肩代わりしてもらったお金の返済だけでつながっている状態になったそうです。
「恋は盲目」といいますが、あのころの私には周りが見えていなかったのかもしれません。婚約状態で留まらせてくれていた両親には、今とても感謝しています。彼に一生苦しめられることになったかもしれないと思うとゾッとします。
これからは人を見る目を養い、素敵な相手と巡り合えるように努力したいと思います。
◇ ◇ ◇
つらいとき、一番近くで支えてくれた大切な人を平気で裏切るような相手とは、決して幸せな未来を築くことはできませんよね。結婚相手を選ぶときは、甘い言葉や目先の魅力に惑わされず、相手の誠実さや人としての本質をしっかり見極めることが大切なのかもしれません。
自分を心から大切にしてくれる人と、互いに尊重し合える関係を築いていきたいものですね。
【取材時期:2026年7月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。