新婚旅行中なのにスマホを手放さない夫
観光中も夫はこまめにスマホをチェックし、誰かと頻繁にメッセージのやり取りをしていました。仕事で何かトラブルが起きているのかもしれないと思い、私は何も言わずに目をつぶることにしました。
夜、ホテルに戻っても夫はスマホを手放しません。せっかくのハワイだから、お酒を飲みながらゆっくり2人で話したかったのですが、気を取り直して、私はひとりでホテルのスパに行ったり、バーに行ったりして過ごしていました。
翌朝目覚めると、隣に寝ていたはずの夫の姿がありません。テーブルには書き置きが残されていました。
「仕事でどうしても外せない緊急事態が起きた。朝一番の便で先に帰国する。残りはひとりで楽しんで」
私はがく然としました。夫に電話をかけましたが、すでに飛行機に乗ってしまっていたのかつながりませんでした。
新婚旅行の途中で突然置き去りにされ、ショックは大きかったものの、私は腹をくくり、残りの数日間をひとりで過ごして帰国することにしました。
友人が見たものと夫のあり得ない言い訳
帰国する前日、近所に住む友人から連絡が入りました。私が新婚旅行中だと知っている友人は、「今ハワイだよね?」と尋ねてきます。なぜそんなことを聞くのかと質問を返すと、地元で夫を見かけたと言うのです。
夫は仕事の都合でひと足先に帰ったと伝えると、友人は言いにくそうにしながら、話し始めました。
「あなたの旦那さんを見かけたのって、妊婦健診で通ってる病院なんだよね。産婦人科専門の病院」
夫の仕事と病院に接点があるとは考えにくく、病院を訪れる理由は思い当たりませんでした。いても立ってもいられなくなった私は、夫に電話をかけました。
何度かかけてようやく出た夫は、どこか慌てた様子でした。友人から聞いた話を伝えて問い詰めると、夫は観念したのか、信じられないことを口にしました。
「今、元カノの出産に付き添ってる! 詳しくはまた話すから!」
そう言って、一方的に電話を切られてしまったのです。
以前、夫が「元カノには頼れる人が少なくて、何かあったら連絡が来るかもしれない」と話していたことがありました。しかし、だからといって新婚旅行を放り出して元カノの出産に駆けつけるなど、想像もしていませんでした。
いくら困っているとはいえ、既婚者となった夫を新婚旅行先から呼び戻す元カノも、私を置き去りにして駆けつけた夫も、私には理解できませんでした。
夫の秘密を知ってしまった私の決断
翌日、私がハワイから帰国すると、友人から再び連絡が入りました。
「病院の前を通りかかったんだけどさ、今日も旦那さんの車、病院にあるみたい」
私は空港から自宅へ戻る前に、友人から教えてもらった病院へ向かいました。病院の待合スペースで夫を見つけ、問いただそうとしたそのとき、奥から出てきた女性が夫に声をかけました。元カノの母親のようでした。
「◯◯くん、立ち会ってくれてありがとうね。やっぱり、父親がそばにいてくれてよかったわ」
その言葉に、私は耳を疑いました。私がその場に歩み寄ると、夫はまさか私がやってくるとは思っていなかったのか、血の気を引かせて立ち尽くしました。
「どういうこと? あなたが父親なの?」
私の質問に夫はしばらく黙り込んだあと、小さな声で答えました。
「……俺の子だ」
私は頭が真っ白になりました。その後、元カノも話し合いに応じ、病棟の面会スペースで3人で話すことになりました。元カノは淡々とした口調で言いました。
「この子の父親は彼です。彼が結婚したことは母にも話しています。出産には立ち会ってほしくて、私から連絡しました」
さらに話を聞くと、夫と元カノは一度別れたあと、夫は私と結婚し、元カノも別の男性と結婚していたそうです。しかし、その後元カノが離婚。夫が相談に乗るうちに、再び関係を持つようになったというのです。何度も確認しましたが、夫は否定せず、すべて認めました。
もし友人が産婦人科で夫を目撃していなければ、私は夫と元カノの間に子どもがいることを知らされないまま、結婚生活を続けていたかもしれません。事実を隠そうとした夫の身勝手なうそと裏切りに、私の気持ちは完全に冷え切りました。
帰宅後、私はすぐに弁護士に相談し、夫との離婚と慰謝料について話し合いを進めました。夫も離婚に応じ、ほどなくして離婚が成立。私たちの短い結婚生活は、あっけなく終わりを迎えました。
◇ ◇ ◇
結婚生活は、お互いへの信頼があってこそ成り立つものです。都合の悪い事実を隠し、うそを重ねてパートナーを傷つける行為は、信頼関係を大きく損なうものです。もし大切な相手から重大な裏切りを受けたときは、ひとりで抱え込まず、必要に応じて弁護士などの専門家にも相談しながら、自分の生活や将来を守るための選択を考えていきたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。