寡黙なお父さんにドキドキ
その日は、彼との結婚についてあいさつをするため、初めて彼の実家へお邪魔しました。
私はかなり緊張していましたが、お母さんは明るく迎えてくれ、少し緊張もほぐれました。一方、お父さんは口数が少なく、どこか険しい表情。私たちの話を黙って聞きながら、ときどきこちらをじっと見つめています。
「もしかして、結婚をよく思っていないのかな……」
そんなことまで考えてしまい、私はますます緊張。何とか場を和ませようと、「今日はお話しできるのを楽しみにしていました」と声をかけました。
すると、お父さんは何も言わず、すっと立ち上がって台所のほうへ。私は「何か変なことを言ってしまったかな」と不安になってしまいました。
「お待たせ」と戻ってきた姿は…
ところが、しばらくすると、「お待たせ!」という明るい声が。振り返った私は、驚いてしまいました。
そこに立っていたのは、先ほどまで寡黙だったお父さん。しかもエプロン姿で、両手には大きな鍋を抱えています。
鍋の中には、たっぷりの手作りカレーが入っていました。
どうやらお父さんは、私が来るのを楽しみにして、カレーを用意してくれていたようです。彼のお母さんも笑いながら、「この人、こう見えて料理にはこだわるのよ」とひと言。
あまりのギャップに、私は思わず笑ってしまいました。先ほどまでの緊張も一気にほぐれ、その後はみんなでカレーを囲みながら、和やかに結婚の話をすることができました。
最初は少し怖そうに見えたお父さんでしたが、実際には私たちを歓迎するために料理を用意してくれていたことがわかり、とてもうれしかったです。
その後、入籍するまでに何度か彼の両親と食事をすることがありましたが、彼のお父さんとは食事を囲むうちに少しずつ会話も増え、仲を深められたと思っています。第一印象だけではわからない、その人なりのやさしさや気づかいがあるのだと感じた出来事でした。
著者:坂本有紗/30代女性・かわいい2人の子どものママ。趣味は映画鑑賞と旅行をすること。
イラスト:sawawa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年4月)
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