息子の妻から料理を頼まれて
同居が始まって間もなく、息子から、「母さん、A子が料理を母さんにお願いしたいって言ってるんだけど、いいかな?」と頼まれました。
結婚を機に専業主婦になったA子さんでしたが、あまり料理が得意ではないそうで、「お義母さんの料理、本当においしいんです。お願いしてもいいですか? その代わり、料理以外の家事は私がやりますので」と言います。料理は嫌いではなかったため、私は快く引き受けました。
ところが、しばらくすると約束とは違う状況になっていきました。洗濯物がたまっていてもそのままで、食器もなかなか片付かず、掃除もほとんどされません。
最初は生活のペースがまだつかめていないのだろうと思っていましたが、結局、気になった私が手を動かすことが増えていきました。
一方、A子さんは昼間に友人と出かけることも多く、夜に外食して帰ってくることもありました。出かけること自体が問題なのではありません。ただ、「料理以外の家事はする」と言っていたはずなのに、いつの間にか私がほとんど担う状態になっていることには、次第に疑問を感じるようになりました。
夕食をきっかけに息子が気付いたこと
ある日、珍しく息子が早く帰宅し、3人で夕食を囲むことになりました。私は息子が好きなブリの煮付けを用意しました。
すると、A子さんは料理を見るなり、「私、これ嫌いなんですけど。私への嫌がらせですか? 料理担当なんだから、食べる人の好みもちゃんと把握してくださいよ」と不満そうに言ったのです。
その「料理担当」という言葉を聞いた瞬間、私はこれまで我慢してきたものが一気に込み上げてきました。
「ちょっと待って。私はあなたの家政婦じゃないよ」
そして、「私が料理担当なら、あなたは掃除や洗濯をするって話だったよね? それなのに、気付けば私が全部やってる。料理にまで文句を言われるのは違うでしょう」と伝えました。
すると、隣で聞いていた息子が戸惑った様子で、「え……掃除や洗濯も母さんがやってたの?」と口を挟みました。
息子は仕事で帰宅が遅い日が多く、家に着くころには家事が済んでいたため、料理は私、それ以外はA子さんが担当しているものだと思っていたようです。私は、掃除や洗濯だけでなく、食後の片付けもほとんど私がしていることを話しました。息子が驚いた様子でA子さんを見ると、彼女は不満そうに言いました。
「私だって、お義母さんをひとりにしないために同居してあげてるんですよ? それなら家事くらいやってくれてもいいじゃないですか!」
その言葉を聞いて、私はようやく気付きました。A子さんと私では、「家族で助け合う」ということの捉え方が大きく違っていたのです。
3人で話し合った末に
思いがけない実態を知った息子は、私に「母さん、気付かなくてごめん」と謝りました。その後、私たちは3人で、これまでの家事分担や今後の暮らし方について改めて話し合うことにしました。
私は、「このままお互いに不満を抱えながら暮らすくらいなら、無理に同居を続けなくてもいいんじゃないかな」と伝えました。
話し合った結果、息子夫婦はいったんわが家を出て、2人だけで暮らすことになりました。
その後、息子から聞いたところによると、夫婦だけで生活する中で、家事の分担以外にも日々の暮らし方をめぐってさまざまな考え方の違いが見えてきたそうです。何度も話し合ったものの折り合いがつかず、最終的には離婚することになったとのことでした。
同居を通して見直した家族との距離
今回の出来事を振り返ると、私は「家族になったのだから、多少のことは我慢しよう」と考え過ぎていたのかもしれません。
料理や家事を多めに担うこと自体が嫌だったわけではありません。ただ、それがいつの間にか「やってくれて当然」と受け取られているように感じたことで、私の気持ちも変わっていきました。
私自身も、不満をため込む前に「できること」と「できないこと」をもっと早く言葉にすればよかったと感じています。
息子とは今も別々に暮らしています。お互いの生活を尊重しながら付き合える今の距離感を、私は心地よく感じています。
--------------
家族だからといって、誰かの負担を「やってくれて当然」と考えてしまえば、助け合いとは言えなくなってしまいます。今回の出来事では、あらかじめ家事の分担を決めていたにもかかわらず、次第にひとりへ負担が偏っていきました。身近な関係だからこそ、相手の厚意に甘え過ぎず、決めたことを守る姿勢が大切なのだと考えさせられるエピソードでした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!