妻と後輩が親しくなっていて…
その年、僕の職場に新入社員のA男が入ってきました。明るく人懐っこい青年で、僕は教育係として彼の指導を任されることに。最初は緊張していたA男も、少しずつ職場になじんでいきました。
ちょうどそのころ、妻が僕の会社へ来る機会が何度かありました。
最初は、僕が自宅に忘れた書類を届けてもらったとき。その後も、「お弁当を持ってきた」「近くまで来たから」と、会社の受付まで顔を出すことがありました。
その際にA男と顔を合わせることもあり、僕が軽く紹介したこともあります。
あるとき、僕が少し離れたところにいると、妻とA男が2人で楽しそうに話している姿が目に入りました。
「いつの間に、あんなに仲良くなったんだろう……」
一瞬気になったものの、2人とも社交的なタイプです。たまたま話が盛り上がっただけだろうと、そのときは深く考えませんでした。
早退して自宅へ帰ると…
ある日、繁忙期の疲れが重なったのか、朝から体調が優れませんでした。
それでも出勤したものの、次第に具合が悪くなり、上司から「今日は早退しなさい」と言われることに。妻に早退することを伝えようと電話をかけましたが出ず、メッセージを送っても返事はありませんでした。
僕の体調を心配した女性の先輩が、「ひとりで帰るのは危ないから」と車で自宅まで送ってくれることになりました。
先輩に支えてもらいながら玄関を開けると、リビングのほうから笑い声が聞こえてきます。
「テレビでもつけっぱなしなのかな」
そう思いながら扉を開けた瞬間、僕は言葉を失いました。ソファには妻と、A男が座っていたのです。
しかも2人は体を寄せ合い、かなり親密そうな様子でした。A男はこの日、有給を取っていました。
なぜA男が僕の家にいるのか。なぜ妻とこんな距離で座っているのか。頭が追いつきません。
僕たちに気づいた妻は、慌てた様子で、「違うの、これは……」と言いました。
しかし、僕にはその言葉を聞く余裕もありませんでした。体調の悪さとショックで、その場にしゃがみ込んでしまったのです。
先輩はすぐに僕を支え、「今はここにいないほうがいい」と家の外へ連れ出してくれました。そして、「どこか行く場所はある?」と聞かれ、近くに実家があることを伝えると、そのまま車で送ってくれました。
なぜか僕が悪者に
その後、僕は数日間会社を休みました。すると、A男が職場で妙な話をしていることを上司から聞かされたのです。
「あの人は家で奥さんにひどいことをしていた」
「僕は彼女を守ろうとしただけだ」
まるで僕が妻を苦しめていたかのような話でした。当然、僕にはまったく身に覚えがありません。
上司も、僕について一方的な話を広めていることを問題視し、A男に事情を確認したそうです。するとA男は、以前から妻に「夫婦関係がうまくいっていない」「夫からひどい扱いを受けている」と相談されていたと話したとのことでした。
後日、僕も妻とA男それぞれから話を聞きました。2人とも「相談していただけ」「特別な関係ではない」と話していましたが、詳しく聞くうちに説明の食い違いが出てきました。
妻は「A男と2人で会ったのはこの日が初めて」と話していましたが、A男は以前にも何度か2人きりで会っていたことを認めたのです。
妻がついていた嘘
後日、僕の家族にも同席してもらい、妻と改めて話をしました。そこで妻はようやく、A男に話していた内容の一部が嘘だったことを認めました。
どうやら妻はA男に好意を持ち、気を引くために、「夫とうまくいっていない」「つらい思いをしている」と大げさに話していたようです。僕を悪者にすることで、自分に気持ちを向けてもらおうとしていたのでしょう。
僕はすぐに離婚を決断することができず、夫婦関係を修復できないかとも考えました。しかし、妻は自分のしたことを心から悪いと思っているようには見えませんでした。
そして最後には、「あなたに魅力がなくなったのも悪いんじゃない?」とまで言われたのです。
その言葉を聞き、僕も限界でした。現在は、正式に離婚する方向で話を進めています。
信じていた妻とA男に裏切られ、さらに僕を悪者にするような嘘までつかれていたことは、今でも簡単には受け止められません。今はただ、すべてが落ち着き、平穏に暮らせる日が来てほしいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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