出産祝い10万円を息子に預けて
孫が生まれて間もないころ、私はA子さんと孫のために出産祝いを渡そうと考えていました。A子さんは出産後で慌ただしく、私が無理に訪ねるのは控えたほうがいいと思っていました。
そのため、ある日わが家へ立ち寄った息子に、10万円の入った封筒を渡しました。
「これ、出産祝い。A子さんに渡しておいてね。出産を頑張ったA子さんと孫のために、必要なものに使ってもらって」
息子も「わかった。ちゃんと渡しておくよ」と受け取りました。
その日の夜、「出産祝い、ありがとう。A子もすごく喜んでたよ」と息子から連絡が来ました。私はその言葉を疑うこともなく、きちんと渡してくれたのだと思っていました。
それからしばらくは、孫の写真を送ってもらったり、時折孫に会わせてもらったりしながら、穏やかに過ごしていました。
嫁「出産祝い?なんのこと?」
数カ月後、A子さんと2人で話す機会がありました。
実は私はそれまで、息子に出産祝いを預けてから、A子さん本人からお礼のひと言もなかったことが少し気になっていました。息子からは「すごく喜んでいた」と聞いていただけに、少し引っ掛かっていたのです。
そうしたこともあり、私は何げなく「そういえば、出産祝いは何か役に立ったかしら?」と尋ねました。
するとA子さんは、不思議そうな顔をしました。
「出産祝い……? なんのことですか?」
私が息子に10万円を預けたことを話すと、A子さんは驚いた様子で、「え? そんなこと、夫からはひと言も聞いていません」と言ったのです。
今度は私が言葉を失いました。息子からは、A子さんが受け取り、喜んでいたとまで聞いています。
私は「そうだったのね。少し確認してみるわ」と伝えました。帰宅する途中も、息子の「すごく喜んでたよ」という言葉が頭から離れませんでした。
息子を問いただすと
その日の夜、私は息子に電話をしました。
「A子さんに出産祝いのことを聞いたら、受け取っていないって言っていたんだけど」
そう伝えると、息子はしばらく黙っていました。
やがて息子は、「ごめん」と小さな声で謝りました。詳しく聞くと、私から10万円を預かった後、息子はそのお金をA子さんに渡さず、自分で使ってしまったというのです。以前から好きだったパチンコに使い、残った分も自分の飲食代などに充ててしまったとのこと。
「最初は少しくらい使っても、後で何とかなると思ってた。でも、結局全部使っちゃって……。時間がたつうちに、もう黙っていればいいかって思ったんだ」
私はあきれました。
「私はあなたにあげたんじゃないわ。出産を頑張ったA子さんと、孫のために渡してって頼んだのよ」
しかも息子は、お金を使ってしまっただけでなく、私には「A子も喜んでいた」とウソまでついていたのです。
私は、できるだけ早く10万円を用意してA子さんに事情を説明するよう息子に伝えました。
数日後、息子はA子さんにすべてを話したそうです。10万円についても、後日あらためて用意して渡したとのことでした。私もA子さんに改めて事情を説明しました。A子さんは「お義母さんが悪いわけではありません」と言ってくれましたが、息子を信用して任せきりにしてしまったことには、申し訳なさを感じました。
大切なお金だからこそ直接渡すことに
今回の出来事で、私は「息子に渡しておけば大丈夫」と信じきっていたことを振り返りました。もちろん、A子さんと孫のために私から預かったお金を自分で使い、ウソまでついた息子の行動には今でもあきれています。
それ以来、お祝いなど相手のために用意した大切なお金は、できるだけ本人に直接渡すようになりました。家族だからこそ信用したい気持ちはあります。それでも今回の出来事を通して、大切なお金を誰かに託すときには、相手本人にもきちんと届いたことがわかる形にしておこうと思うようになりました。
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家族だからと信頼して任せたことでも、お金が絡むと、思わぬ行き違いやトラブルにつながることがあります。今回の出来事は、金額の大小にかかわらず、誰かのために託したものがきちんと相手に届いているかを知ることが、家族同士の信頼を守ることにもつながると感じさせるエピソードでした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
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