今になってわかった学生時代の因縁
「すごい偶然なんだけど……実は、私もあなたと同じ日に結婚式することになってるんだ」とA子。偶然にしてはできすぎている気もしましたが、おめでたい話には変わりありません。
A子の話によると、相手はかなりのイケメンでお金持ちなのだそう。玉の輿だと嬉しそうにしています。たくさんの人を招待して、盛大な式をするとのことでした。
「お互い素敵な式にしようね!」と言い合って、電話を切りました。
しかしその少し後、共通の友人から、A子はわざと私と同じ日に結婚式をぶつけてきたと聞かされました。友人は、半年ほど前に、A子から私の結婚式の日取りを聞かれたそう。
「出席するために予定を空けるのかな?」と思って何の気なしに教えたものの、あとになって「友人たちが私の式に行けないよう、わざと日程をかぶせた」とA子が話しているのを聞いてしまったと言います。
日程を教えてしまったことを謝りつつ、「厄介なことになっていないか?」と心配して連絡をくれたのでした。
友人は心配してくれていますが、式の準備は滞りなく進んでいます。しかし、なぜそんなことをされるのか、不思議でなりません。思い切って友人に心当たりを聞いてみると、衝撃の事実を知らされました。
高校時代の恨み!?
どうやらA子は、高校時代に生徒会長だったB君にフラれたそう。その理由が「B君は私のことが好きだったから」だというのです。しかしそれは初めて聞く話。私とB君には何の関係もありませんでした。
当時A子は、他校でも話題になるほど目立つ存在。対する私は地味で目立たないタイプで、恋愛とは無縁の高校生活を送っていました。フラれたことがなかったA子にとって、私のせいで恋愛がうまくいかなかったのは大きな事件だったようで、私に負けたと言って根に持っていたとのことでした。
でも、同じ日に式をぶつけたところで何になるのでしょう。私はただ、戸惑うばかりでした。
結婚式当日の電話
結婚式当日――。着替えやメイクなどの支度を終え、新婦控室ですごしていた私に、「おはよ~! 今日の結婚式は私の勝ちだね!」とA子から電話がかかってきました。
「結婚式に同級生は来てないでしょ? みんな私の式に行きたいって言ってたもん。みじめね〜!」と笑います。
ついさっき、A子とも共通の友人である高校の同級生たちから「会場に着いたよ」と連絡をもらったばかり……。A子が言っていることが理解できませんでした。
A子と式の日取りがかぶっていると知ったとき、友人たちには「A子の式に出ても私は気にしない」と伝えました。A子の式のほうがきっと豪華なはず。本心から、行きたいほうに行ってほしいと思ったのです。
しかし友人たちは「A子からは招待されていない」と口をそろえて言いました。それで、みんな私の結婚式に列席してくれたのです。
みんな私の式に来ていると伝えると、スマホの向こうでA子は急に慌て出しました。電話口で受付の様子を誰かに確認している気配が伝わり、高校時代の友人が一人も来ていないことを知ったようです。
大誤算!
「どうして? あんなに『行きたい』って言ってくれたのに……」とA子。
「みんな、招待状を受け取っていないって言ってたよ」と友人から聞いた話を伝えると、「え? そんなわけない。SNSに日程を載せて『結婚式するからみんな来てね』って投稿したら、『行きたい!』『絶対行く!』ってコメントがあったし……」とA子。
話を聞いていると、式場からは招待状やWeb招待状で出欠を確認するよう案内されていたものの、A子は「友人には自分で連絡するから大丈夫」と断っていたそう。高校の友人たちの住所を知らず、一人ずつ聞くのも面倒だったうえ、切手代も浮くからと、SNSで「結婚式するからみんな来てね」と呼びかけただけで招待したつもりでいたのです。
みんなのコメントに『来てね!』と返信しただけで出席と判断し、席次表まで作っていたというから驚きです。「そうはいっても、招待状が来ないからみんな社交辞令だと思ったんじゃない?」と言うと、言葉をなくしていました。
実際その通りで、後から友人たちに聞くと、コメントしたあと何の連絡もなかったので社交辞令だと思った人がほとんど。なかには、A子がセレブ婚を自慢しすぎていたせいで、自分のような一般人は呼ばれないと思い込んでいた人もいました。
ようやく事態の重さに気づいたA子。「あなたのせいで、式が台無しになった!」と私を責め始めました。しかし彼女の結婚式を台無しにしたのは私ではなく、彼女自身。私を負かしたい気持ちばかりが先行し、本当に大切にすべきことを見失っていたのかもしれません。
来てほしい相手には、一人ひとりにきちんと声をかけるべきでしょう。式の時間も迫っていたため、私は静かに電話を切りました。
残念な結婚式
その後、何人かの友人はA子から「なんで式に来てくれなかったの!」と責められたそう。A子から詳しく話を聞いた友人いわく、彼女の式は散々なものだったようです。新郎側の招待客はびっしりだったものの、新婦側はいくつかのテーブルが空席に……。
新郎は、A子が招待状を出さずにSNSの投稿だけで招待したつもりでいたと知り、ひどくあきれていたそうです。この件も「みんなが来なかったせいで私が幻滅された!」と人のせいにしていたと聞きました。
一方、私の結婚式は最高のものになりました。友人たちがこっそり「もしA子からきちんと招待されていても、こっちに来たよ」と言ってくれたのは、本当にありがたかったです。聞けば、みんなA子の自慢話にはうんざりしていたそうです。
彼女は「あのとき面倒がらずに住所を聞いて、招待状を送っていれば……」と嘆いていたそうですが、そこが原因ではないことに気づけないうちは、心からお祝いしてもらうことは難しいでしょう。
これからもまわりの人たちへの感謝を忘れずに、夫とともに二人三脚で頑張っていこうと思います。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
結婚式は豪華さでマウントを取ったり、誰かと優劣を競ったりするためではなく、本来はこれまで見守ってくれた人たちに感謝を伝える場なのではないでしょうか。
今回A子は、主人公を負かしたいという気持ちから、わざと同じ日に結婚式を設定し、友人たちにもきちんと招待の意思を伝えないまま当日を迎えてしまいました。どれほど盛大な式を準備しても、周囲への配慮や感謝を忘れてしまえば、心から祝福してもらうことは難しいのかもしれません。
大切な節目だからこそ、人と比べるのではなく、自分たちを支えてくれる人とのつながりを大切にしたいものですね。
【取材時期:2026年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。