ママがいなくなってから1カ月以上が過ぎたころ、近所に住む梅村さんも異変を感じていました。パパはスーパーで梅村さんにママのことを聞かれ、とっさに「実家にいる」と説明します。一方、律郎も以前、梅村さんからママの近況を尋ねられ、「仕事で県外に行っている」と答えていました。
すると梅村さんは「おかしいわね……」と意味深につぶやきます。昔からママと親しく、ママのことを気にかけていた梅村さん。家族には言えない悩みを、梅村さんには打ち明けていたのかもしれない。そう考えた蒲倉家は、次の休みに梅村さんを訪ねてみようとします。
ところがその朝、家のチャイムが鳴り、モニターにはまさかの警察官の姿が。さらにその後ろには、梅村さんも立っていて……。
ママを本当に心配しているのは誰……?






















警察官とともに蒲倉家を訪ねてきた梅村さんは、「多恵子さんはどこに行ったの」「多恵子さんを出して!」と必死に訴えます。警察官の説明によると、梅村さんは前日にひとりで交番へ行き、蒲倉家を調べてほしいと相談していたとのこと。ママの姿を1カ月以上見ていないうえ、家族の説明が食い違っていたため、強い不安を抱いていたようです。
さらに梅村さんは、ママから実家の事情を聞いていました。両親の再婚後、自分の居場所がなかったこと、梅村さん親子のような関係に憧れていたこと。家族の知らないママの本音が明かされます。
家族は、ママは自分の意思で家を出たのだと説明します。しかしパパが「多恵子が自分勝手に行動したせいで……」と口にすると、梅村さんは激怒。「多恵子さんを苦しめていた張本人が、まだ多恵子さんを責めるの?」と問い詰め、家族のせいでママは家を出ていったのだとはっきり告げるのでした。
◇ ◇ ◇
家族の問題は、つい「うちのことだから」と内側だけで考えてしまいがちです。けれど、家族の中にいるからこそ見えなくなっていたことを、外にいる人が気づいている場合もあるのかもしれません。
誰かが家を出るほど思い詰めていたとき、それを「自分勝手」と片づけてしまうと、その人が抱えていた苦しさまでなかったことにしてしまいます。まず向き合うべきなのは、責めることではなく、「そこまで言わせてしまった自分たちの関わり方」なのかもしれません。
大切な人の本音を、家族以外の人から聞かされるのはショックなことですよね。だからこそ、そこで反発するだけでなく、「なぜ自分たちには話せなかったのか」と立ち止まることが必要なのだと思います。相手の沈黙の裏にあった気持ちを、少しでも想像する姿勢を大切にしたいですね。
紙屋束実