年配のパートを見下す取引先の課長
私は長年勤めた大手メーカーを定年退職した後、地元の印刷会社で梱包作業のパートを始めました。働くことが健康維持にもつながればと考えたためです。
その会社には、取引先の広告代理店に勤める30代の課長が頻繁に出入りしていました。自らを「エリート」と称するその課長は、年配のパートである私を軽く見ているようでした。顔を合わせるたびに、鼻で笑いながら「今の時代はスピードですよ。手作業なんて効率が悪い。パソコンもろくに使えないんでしょう?」と言ってきたのです。
その言葉に引っかかるものはありましたが、私は職場で波風を立てたくありませんでした。そのため、「すみません」と苦笑いしながら、毎回受け流していました。
視察に訪れた役員との思わぬ再会
そんなある日、印刷会社に大手食品メーカーの役員であるAさんが視察に訪れました。その食品メーカーは、課長の勤務する広告代理店が、どうしても契約を取りたいと考えていた重要な取引先候補でした。
実はAさんは、私が現役時代に目をかけ、仕事を教えていた元部下だったのです。Aさんは、作業着姿の私を見つけると、すぐに駆け寄ってきました。そして、周囲にも聞こえる声で「部長、こんなところでお会いできるなんて。私の仕事の師匠は、この方なんですよ!」と言ったのです。
そう言うと、Aさんは私に向かって深々と頭を下げました。その様子を見て凍りついたのが、すぐそばにいた課長です。私が、重要な取引先候補である食品メーカーの役員をかつて指導していた人物だと知り、顔を青ざめさせていました。それまでの尊大な態度は、すっかり消えていました。
謝罪に来た課長へ伝えたこと
後日、課長は今にも泣き出しそうな表情で、私のもとへ謝罪に来ました。しかし、私は彼に「謝る相手は私だけではありませんよ。相手の肩書きにかかわらず、現場で働く誰に対しても敬意を持って接する。それが仕事の基本ではないでしょうか」と伝えただけでした。
それ以来、課長は現場のスタッフに対して、以前よりも丁寧な態度で接するようになりました。私への接し方だけを変えたのではなく、周囲の人への振る舞いも見直したようでした。
この出来事を通じて私が感じたのは、本当の意味での「仕事のプライド」とは、過去の肩書きを振りかざすことではなく、今いる場所で誠実に働くことだということです。
まとめ
人は、相手の年齢や立場といった表面的な部分だけで判断してしまうことがあります。しかし、肩書きに関係なく、誰に対しても敬意を持って接することが大切なのだと改めて感じました。一連の出来事を経て、課長が態度を改めた様子を見たとき、私がそれまで抱えていたもやもやは、すっと晴れていきました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:小林いおん/60代男性・パート
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年8月)
※一部、AI生成画像を使用しています。
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