仕事の出張で、田舎のロッジに泊まることに
その日は仕事の都合で、田舎にある一軒家風のロッジに、会社のメンバー数名と泊まることになりました。
ロッジの男性オーナーと上司が知人という縁もあり、夕食はみんなで和気あいあいと楽しみました。その後、夜は1階と2階に分かれ、それぞれの部屋に布団を敷いて眠ることに。
しかし、私は昔から環境が変わるとなかなか寝付けないタイプです。さらに外からは、カエルの大合唱が聞こえてきます。
大自然ならではの音に包まれながら、布団の中で何度も寝返りを打つこと約2時間。ようやくうとうとし始めた、そのときでした。
真夜中のロッジに響き渡った絶叫
「うわああああああああああ!!!!!!」
突然、1階から男性のものと思われる、地鳴りのような絶叫が響き渡ったのです。
あまりの音量と不穏さに、私は一瞬で目が覚め、飛び起きました。心臓はドクンドクンと脈打ち、冷や汗が噴き出します。
しかし、絶叫のあとは一転して静寂に包まれ、物音ひとつしません。
(えっ……何? 今の声は……?)
頭の中を嫌な想像が駆け巡ります。
戸締まりや防犯設備が十分なのかも分からない、慣れない場所での宿泊。もしかすると、不審者が侵入したのではないか。1階にいたオーナーや会社のメンバーに、何かあったのではないか――。
周囲を見渡すと、同じ部屋で寝ている同僚たちは、何事もなかったかのように眠っています。ひとりを小声で呼んでみましたが、寝ぼけた声を漏らしただけで、すぐに再び眠ってしまいました。
「みんなを起こしたほうがいいの?」「でも、もし不審者が2階に上がってきたらどうしよう」「スマホのライトをつけたら、ここに人がいると気づかれるかもしれない……」
私はスマホを握りしめ、いざというときにはすぐ助けを呼べるようにしながら、布団の中で小さく縮こまりました。
しかし、その後は叫び声も足音も聞こえません。
暗闇の中で不安ばかりが膨らみ、まさに生きた心地もせず、眠れないまま朝を待つことになったのです。

朝になって判明した、まさかの真相
恐怖と戦いながら一睡もできないまま、ようやく外が明るくなりました。
恐る恐る1階へ下りていくと、そこには怪我ひとつなく、朝の準備をしているオーナーの姿がありました。1階で寝ていたほかのメンバーも、何事もなかったかのように過ごしています。
あとから聞くと、何人かは叫び声で一瞬目を覚ましたものの、その後すぐに静かになったため、そのまま眠ってしまったそうです。
事件ではなかったようだと分かり、ほっと胸をなで下ろしていると、オーナーと同じ1階の寝室で休んでいた奥さんがやってきました。
そして、オーナーに向かって、あきれたように一言。
「あなた、また夜中に叫んでいたわよ」
「あれ、またやっちゃった?」
顔を見合わせて笑う夫婦。
そう、夜中に響き渡ったあの絶叫は、事件でも何でもなく、オーナーの寝言だったのです。
恐怖から一転、安堵に包まれた朝
事件ではなく、ただの寝言だったと分かり、私はほっと胸をなで下ろしました。
一晩中、不安でほとんど眠れなかったこともあり、安心した途端に全身の力が抜けていきます。
オーナーには叫んだ自覚がないようで、いつも通りの様子でした。その姿を見ながら、私は心の中でつぶやきました。
「怖い事件じゃなくて、本当によかった……」
帰り道は寝不足で体が重かったものの、昨夜の恐怖がうそのように感じられました。
夜中に聞こえた絶叫には心底驚かされましたが、何事もなく朝を迎えられたことが何より。今となっては、旅先で体験した忘れられない思い出のひとつです。
※AI生成画像を使用しています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。