つきまとい被害から救ったことをきっかけに、圭太は既婚であることを隠したまま、ゆうきと関係を深めていました。夫の裏切りを知った凪は、出張先でも2人が会っていたことを突き止め、関係が今も続いていると確信します。
そして週末、圭太は凪には帰りが遅くなると告げ、ゆうきには早退して映画に行こうと約束して家を出ました。友人のA子の尾行で、圭太が相手の女性のアパートにいると知った凪は、真実と向き合う覚悟を決めます。
娘の萌を母に預け、A子と合流した凪は、アパートの前で2人が出てくるのを待つことにしました。午後7時、映画の話で笑い合いながら、手をつないで部屋から出てきた圭太とゆうき。「よくも私を裏切って」という思いを胸に、凪はA子とともに2人の前に立ちはだかります。言葉を失い立ち尽くす圭太。事情がのみこめないまま「どちらさまですか?」と尋ねるゆうきに、凪は静かに「圭太の妻です」と告げました。
夫と相手の女性、そして妻。3人が向き合ったその場で、それぞれの思いがあふれ出し……。
謝り続ける夫と、私が下した決断
凪の姿を前に言葉を失う圭太と、口元を押さえて立ち尽くすゆうき。凪は「圭太、帰るよ」と夫の腕を取ると、何も知らなかったのだろうとゆうきを気づかい、圭太に謝るよう促しました。頭を下げる圭太を前に、ゆうきは涙を流し、「最初から私を騙してたってこと?」と声を震わせます。
ゆうきを傷つけたことで自分を責めている様子の圭太ですが、凪の胸には「でも私も深く傷ついているんだよ」という思いがよぎりました。「よく頑張ったね」とA子に肩を抱かれた凪。感情のままに責め立てれば、もっと自分が惨めになっていたはずだと感じていたのです。気丈にふるまえたのは、精いっぱいの強がりだったのかもしれません。
帰宅後、圭太は「本当に悪かった」と謝ります。今ならあの女性のところに行くこともできるのではと嫌味を放つ凪に、圭太は家庭を壊すつもりはなかったと答え、凪も萌も大切な家族で、離れたくないと訴えました。
「じゃあなんで?」と凪が迫ると、圭太は心の中でこれまでを振り返っていました。凪が望む「いまどきの夫」に応えようとするうちに疲れ、いつしか自分の意見を抑えるようになっていたこと。そんな自分を愛し、自信を与えてくれたのがゆうきだったこと。それでも、口をついて出たのは「不満なんてないよ……俺がどうかしてただけだよ」という言葉でした。凪のせいではなく、本当は自分が弱かっただけなのだという思いが、圭太の胸に重くのしかかっていたのでしょう。
「信じてたのに……ひどいよ……」
夫を信じてきた凪にとって、夫の裏切りは受け入れがたいものだったのでしょう。「もう圭太とやってく自信ない」とつぶやく凪に、圭太は床に手をついて謝り続けます。凪は静かに「萌を迎えに行ってくる」とだけ告げ、家を出ていきました。
しかし、その日から、凪と萌が家に戻ってくることはありませんでした――。
◇ ◇ ◇
家庭の中で本音をのみ込み続けるうちに満たされない思いが積み重なり、自分を受け入れてくれる別の相手に、心のよりどころを求めてしまった圭太。けれど、どんな事情があったとしても、裏切りによって失われた信頼は、謝罪の言葉だけで簡単に取り戻せるものではないはずです。
信頼は長い時間をかけて築かれるものですが、崩れるのはほんの一瞬です。当たり前のように続く日常こそ、互いの誠実さに支えられていることを、私たちも心に留めておきたいですね。
おーちゃん