つきまとい被害から救ったことをきっかけに、圭太は既婚であることを隠したまま、ゆうきと関係を深めていました。圭太の裏切りを知った凪。友人のA子の協力で相手の女性のアパートを突き止め、手をつないで部屋から出てきた2人の前に立ちはだかりました。
「圭太、帰るよ」と夫の腕を取った凪は、何も知らなかったであろうゆうきを気づかい、圭太に謝るよう促します。ゆうきは涙ながらに「最初から私を騙してたってこと?」と声を震わせました。気丈にふるまった凪でしたが、それは、自分がこれ以上惨めにならないためでした。
帰宅後、圭太は家庭を壊すつもりはなかったと謝罪し、凪も萌も大切な家族だと訴えます。凪が理由を問いただしても、圭太は「俺がどうかしてただけだよ」と答えるばかり。凪のせいではなく、本当は自分が弱かっただけなのだという思いが、圭太の胸に重くのしかかっていたのです。
「もう圭太とやってく自信ない」とつぶやいた凪は、萌を迎えに行くと告げて家を出ます。それ以来、凪と萌が家に戻ることはありませんでした。
凪が実家で過ごすようになって1週間。ある夜、凪の母のもとを訪ねてきたのは……。
実家を訪ねた夫が母に打ち明けたこと
仏壇に手を合わせる凪の母。萌を預かったあの日から、凪は自宅に帰らないまま、実家で過ごしています。気づけば、もう1週間がたっていました。
ある夜、玄関のチャイムが鳴ります。訪ねてきたのは圭太でした。「凪がお世話になって……すみません」と頭を下げる圭太を、母は家に招き入れます。その様子に気づいた凪は、萌を連れて奥の部屋へと身を隠しました。
お茶を前にした圭太は、凪の母に「僕は娘さんを傷付けることをしてしまいました」と切り出します。謝って済むことではないとわかっていると語り、床に手をついて「凪が許してくれなくても僕はやり直したいです」と訴えました。
しかし、母は凪から何も聞かされていないと明かし、「今日のところはお帰りなさい」と静かに告げます。「また来ます」と言い残して去る圭太の声を、凪は扉の向こうでうつむいたまま聞いていたのでした。
圭太が帰った後、部屋から出てきた凪。母は「いろいろ大変だったんだね……」と声をかけます。多くを語らなくても、娘の涙を見て、何があったのかを察したのでしょう。泣き崩れる凪を、母はそっと抱き寄せました。泣き崩れる凪を、母はそっと抱き寄せました。
「つらかったんだね……凪」
これまで一人で抱えてきた思いが、母の前でようやくあふれ出したのかもしれません。
◇ ◇ ◇
深く傷ついたとき、自分の身に起きたことをすぐには言葉にできない、人に話せない。そんな経験をしたことがある方もいるでしょう。何かあったとわかっていても、無理に事情を聞き出そうとすれば、つらい出来事を改めて思い出させることにもなりかねません。凪のお母さんは、あえて何も聞かずに娘を受け入れていたのかもしれません。そうすることで、相手の張りつめていた気持ちがほどけ、自分から心を開けるようになることもあるのでしょう。
誰かがつらそうなとき、聞き出すより黙って見守ることも一つの思いやりなのかもしれませんね。
おーちゃん