返金しないママ友の末路
私は、夫と6歳の長男、2歳の長女の4人家族。夫は旅行好きで、よく家族で旅行をします。ある朝、子どもたちを幼稚園に送ろうと外に出たとき、隣に住むママAさんが外で洗濯物を干していました。軽くあいさつを交わし、車に乗ろうとすると、Aさんがいきなり「ねえ、今度はどこへ行くの?」と話しかけてきます。Aさんには長男と同じ歳の息子くんがいて、長男と息子くんは仲良し。私たちが、毎月のように旅行していることを、子ども伝てに聞いて知っていたようです。
次の週末、大阪旅行を計画していたので、「大阪に行くよ」と隠さず答えると、Aさんは「ちょっと待ってて」と部屋に戻っていきました。数分後に戻ってくると、Aさんは「大阪、いいよね〜。じゃあ、これを頼みたいな」と1枚の紙を手渡すのです。見ると、紙には大阪の定番お土産の名前が10個以上記載されています。「ん? どういうこと?」と聞くと、「これ、買ってきて。うちの子が食べたいって言うし。お願いね」と言い残し、そのまま家の中に入っていってしまいました。私は、ずらりと並んだお土産に「こんなに……? 全部?」と少々呆れながらも、夫にも話した結果「近所付き合いもあるし……買って帰ろう」ということになったのです。
しかし、リストに書かれた10個以上のお土産がすべてが1箇所のお店すぐ手に入るわけもなく……。旅行後半は、ほとんどAさんの希望するお土産をあちこち探し回る時間になってしまいました。何とか購入し、旅行から帰り、早速お土産を渡しに隣の家へ。
インターホンを押すとすぐにAさんが出てきて、「はいはい、お土産ね! ありがとう〜」と受け取り、家の中に姿を消しました。「え? 代金は……?」と、私は一瞬思考が停止。もう一度インターホンを押してAさんを呼び出します。すると、インターホン越しにAさんが「どうしたの?」と訝しげに聞いてくるので、「お金もらってないわよ! 1万円以上はするのに」と伝えると、「お土産でしょ? ありがたくいただくわ」と衝撃のひと言。私はあ然とし、それ以上何も言えなくなりました。
モヤモヤした気持ちを抱えたまま過ごしていたある休日の朝、ゴミ捨てのため外に出ると、隣の家族が車に大きな荷物を運んでいる様子が見えます。私は、そのとき閃きました。Aさんのもとへ行き、「旅行かしら? どちらへ?」と尋ねると、Aさんは「え? ま、まぁね。ちょっと北のほうへ」と気まずそうに言葉を濁します。私は、すかさず「北のほう、いいよね〜。子どもがね、北のほうの生キャラメルが大好きなのよ。私はチョコレート食べたいな。夫はジンギスカンも好きなんだ。お土産お願いしようかな」と言ってみました。
するとAさんは「はあ!? 旅行する人にお土産をたかるなんて非常識極まりないわね!」とまさかの激怒。自分のことを棚に上げている様子に私は思わずフフッと笑ってしまいました。そして「ええ、まさにその通りですよね。『旅行する人に代金も払わず大量のお土産をたかるなんて非常識』……全く同じ言葉を、先月のあなたにお返ししますね」と言い放ちました。
もちろんAさんは顔面蒼白。自分の身勝手な発言が、特大ブーメランとなって己に突き刺さった瞬間でした。
そして後日、Aさんの夫が、有名洋菓子店の菓子折りと総額1万円は超えるであろう旅行先で購入した高級肉や子どもの好きなお菓子などのお土産を、たくさんもって謝罪に来たのでした。どうやらAさんの夫は、Aさんの要求でわが家が10個以上のお土産を買わされていたことを知らなかったようで、Aさんの息子くんが旅行先で「○○くん(長男)ちにお土産たっくさんもらったから僕もいっぱい買いたい!」と言い、初めて状況を知ったのだそう。
今回Aさん一家にもたくさんのお土産をもらったことや、子どもたちのためにもことを大きくしないほうがいいという私たち夫婦の判断で、それまでにかかったお土産代は請求はしないことにしました。そして、これからは「気持ちだけ」のお土産を交換し合おうと話した私たち。もちろんその後、Aさんが大量のお土産を要求してくることはありません。今は、子ども同士が遊ぶだけの、最低限の付き合いを続けています。
この一件を通じて、「親しき仲にも礼儀あり」という言葉の重みを改めて実感しました。お土産は旅行に行った人が善意で贈るものであり、大量に要求していいものではないと私は思います。
ただ振り返ると、私は「かわりに買ってくる」というつもりでいたため当然代金を支払ってもらえると思っていましたが、相手は「お土産」のつもりだったため、お金を払うという発想にならなかったのかもしれません。頼まれたとき、事前に「これだけの量になるとお土産ではなく購入代行になるので、代金をいただきますね」とはっきり伝え、約束を取り付けてから動くべきだったと私も学びました。
近所付き合いや友人関係において、相手への感謝と節度を忘れなければ、お互いが気持ちよく付き合い続けることができるはず。身近な関係だからこそ、礼儀やマナーをおろそかにしないことが、長続きする良好な関係の基本なのだと感じた出来事でした。
著者:中村あんな/30代・ライター。6歳の長男と2歳の長女を育てるママ。家計を支えるため、ライターの傍らパートも開始。夫は激務のため、子育てはほぼワンオペ状態。常に子どもたちが楽しめるイベントや遊び場を模索中。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)