四十九日前に遺産をねだる妻と義妹
まだ四十九日も終わっておらず、遺産相続の具体的な話すらまったく進んでいない時期のこと。実家の片付けや必要な手続きを済ませ、疲労困憊で帰宅した私に対し、妻はなんだかソワソワとうれしそうに言葉を放ちました。
「ねぇ、お義父さんたち、結構貯めてたよね? 勤め先もよかったし。私だって今までいろいろしてあげたんだから、遺産くらいもらって当然でしょ?」
両親を亡くしたばかりの夫にかける言葉とは思えず、私は絶句しました。
さらに後日、自宅にはなぜか妻の妹(義妹)まで現れました。義妹は私の顔を見るなり、「お姉ちゃんが遺産をもらうなら、私にも少しくらいちょうだいよ! 私だって何度か食事に付き合ってあげたんだから、そのくらいもらってもいいでしょ?」と言い出したのです。身内の不幸をまるで宝くじにでも当たったかのように喜ぶ姉妹の姿に、私はなんとも言えない違和感を覚えました。
遺産をあてに海外旅行&爆買い
妻と義妹の暴走はそれだけでは止まりません。「数千万円くらいは入るでしょ? 欲しいもの買って、行きたいところに行こうよ! 人生、楽しんだもん勝ちでしょ!」と、妻は義妹との海外旅行を勝手に予約。航空券やホテル代を自分名義のクレジットカードで支払い、さらに高級ブランドのバッグまで購入し始めたのです。
見かねた私が「遺産がいくら入るかもわからないのに、そんなに使わないほうがいいよ」と制止しても、妻はまったく聞く耳を持ちません。「はあ? あとで遺産が入るんだから、このくらい使ったって問題ないでしょ!」
両親が亡くなった直後からお金の話しかしないその姿に、なんとも言えないむなしさを感じました。
遺産を要求する妻たち→姉のひと言で絶句
そんなある日、実家で姉と遺品整理をしているところに、妻と義妹が押しかけてきました。「当然、遺産はもらえるわよね? 私たちの取り分、どうなってるの? 夫に聞いてもはっきりしないから」と厚かましく探りを入れてくる妻たちに対し、これまで黙って様子を見ていた私の姉が、冷静に口を開きました。
「何か勘違いしてない? あなたたちは両親の法定相続人じゃないのよ?」
その瞬間、妻と義妹の顔からスーッと血の気が引いていくのがわかりました。「え……?」と呆然とする義妹。しかし、青ざめた妻は必死に食い下がります。「で、でも! 夫婦なんだから、彼が相続した財産の半分は私のものになるはずでしょ!?」
遺産どころか離婚へ…妻に残ったもの
みっともなく慌てふためく妻に向かって、私は静かに、しかしきっぱりと告げました。
「遺産がどうこう以前に、もう夫婦でいるつもりはない」
実は以前から、妻の浪費癖や義妹への甘い金銭援助にひそかに頭を悩ませていました。それに加え、両親の死を単なる「金づる」としてしか見ていない今回の一件が決定打となり、私はすでに離婚を決意していたのです。
「そんな……旅行の支払いとかカードの請求、どうやって払えばいいのよ!」泣き叫ぶ妻でしたが、まさに自業自得です。
結局、妻自身があてにしていた両親の遺産を受け取ることはなく、離婚も成立。先走って作った高額なカード請求だけが妻の手元に残りました。彼女が今どうやって支払ったのか、私には知る由もありません。
◇ ◇ ◇
遺産は、家族だからといって誰でも当然に受け取れるわけではありません。今回の妻や義妹のように、亡くなった人の子どもの配偶者や、その配偶者のきょうだいは、原則として法定相続人にはなりません。ただし、遺言によって財産を譲る意思が示されている場合などには、財産を受け取れることもあります。
身近な家族を亡くした直後は、遺品整理やさまざまな手続きに追われ、心身ともに負担が大きくなりがちです。そんなときこそ、お金のことばかりに目を向けるのではなく、まずは相手の気持ちに寄り添うことを大切にしたいですね。
【取材時期:2026年9月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。