女の子の育て方がわからない
妊娠がわかってから、夫はよく「男の子がいいな」と話していました。理由を聞くと、「一緒に野球やサッカーをしたいから」とのこと。夫は男2人兄弟で育ったため、男の子との生活のほうが想像しやすかったようです。
その後、赤ちゃんの性別が女の子だとわかり、そのことを伝えると、夫は少し困ったような顔で、「女の子の育て方か……よくわからないな」とつぶやいたのです。私はその様子を見ながら、「そんなに心配しなくても大丈夫なのに」と少し笑ってしまいました。
ところが、その不安は出産の日に一瞬で吹き飛ぶことに。
初めて娘を抱っこした夫の顔を見た瞬間、私は思わず吹き出しそうになりました。普段は表情をあまり変えない夫の顔が、見たこともないほど緩んでいたのです。
娘の顔をのぞき込みながら、「かわいいなぁ……」を何度も繰り返す夫。私はその横で、「女の子の育て方がわからないって言っていた人はどこへいったの?」と本気で思ったほどでした。
実家中を驚かせた大号泣
出産後、私は実家へ里帰りしました。私たち夫婦の住まいから実家までは車で片道2時間ほどあります。
それでも休日になると夫は必ず会いに来てくれました。娘を抱っこしている間の夫は、本当にうれしそう。娘が少し手を動かしただけで、「今見た?」と大騒ぎ。小さなくしゃみをしただけでも「かわいい」と大喜び。
そんなある日、夫が帰る時間になったときのことでした。玄関で靴をはいた夫が突然黙り込み、次の瞬間ぽろぽろと涙をこぼし始めたのです。
私はびっくり。両親たちも固まってしまいました。
「どうしたの!?」と聞くと、夫は涙をぬぐいながら、「ひとりになるのが寂しい……」とひと言。
夫は娘と離れるのが寂しくて涙を流していたのです。
祖父は大笑いし、母からはあきれたように「泣いてないで帰りなさい!」と鋭いツッコミが。夫の気持ちも痛いほどわかりますが、なんだか夫の様子が微笑ましくなってしまいました。
夫は寂しそうな顔のまま帰っていったのですが、その姿があまりにも衝撃的で、今でも実家では伝説になっています。
小学5年生になった今でも変わらない
娘は現在小学5年生になりました。夫の溺愛ぶりは今も健在です。
娘が出かける前になると必ず、「そのスカート短くない?」「本当にそれで大丈夫?」と心配して言います。娘は慣れた様子で、「大丈夫だから」と返すのですが、夫はなかなか納得しない様子。玄関までついて行き、最後まで心配していることもあります。
そんな姿を見るたびに私は笑ってしまいます。「男の子と野球やサッカーがしたい」と言っていた人が、今では娘のスカート丈を気にして落ち着かなくなっているのですから。
娘が学校であった出来事を話し始めると、夫はテレビの音を下げてまで聞き役になります。「それでどうなったの?」「先生は何て言ったの?」と前のめり。うれしそうに相づちを打つ姿は、まるで恋人との会話を楽しんでいるかのよう。見ているこちらが少し恥ずかしくなってしまうときもあります。
子どもが生まれる前は、夫がここまで変わるとは想像もしていませんでした。「男の子がいいな」と話していた人が、今では娘の服装を心配し、娘の話を聞くだけでうれしそうに目を輝かせています。
時には心配しすぎではと思うこともありますが、それだけ娘のことが大切なのでしょう。結婚してから知った夫の意外な一面ですが、そんな姿も含めて今のわが家の日常になっています。夫と娘のやり取りを見ながら笑っている時間が、私にとってもかけがえのない幸せな時間です。
著者:御法川元子/30代女性・2015年生まれの女の子の母。子どもが生後4カ月のころから企業の広報担当として働いているワーキングマザー。パニック障害を患いながらも明るい性格で元気に毎日過ごしている。波瀾万丈な人生だが、明るく楽しくをモットーに! 趣味は音楽鑑賞・カラオケ。
イラスト:Ru
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年8月)
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