勝手に同居を決めた夫
義母にはあまりよく思われていないかもしれないと、夫には以前から相談していたはずです。それなのに、私に相談もなく同居を決めてしまうなんて信じられません。当時、私は妊娠中。今後の子育てに専念するため、長年勤めた会社を退職するつもりでいました。日中、義母と2人きりで家にいることになると考えると、憂うつで仕方がありません。
しかし夫は「子育ては誰かの助けがあったほうがいいし、母さんも楽しみにしているから」と主張して譲りません。たしかに、初めての育児にサポートがあるのは心強いのも事実です。「何があっても俺が必ず君の味方をするから」という夫の言葉を信じ、私はしぶしぶ同居を承諾しました。
しかし、この決断は間違っていたのです……。
義母との同居を始めたものの…
引っ越してまだ荷ほどきも終わらないうちから、義母は「ちょっとお茶を淹れてちょうだい」などと細々と私をこき使うようになりました。つわりでつらいと伝えても、「妊娠は病気じゃないんだから、少しは体を動かしなさい」と小言を言われる始末。
翌日からは「嫁なのに、私より遅く起きるなんて!」と早朝から起こされ、掃除や炊事、洗濯など、休む間もなく家事を任されるようになりました。掃除機をかけた後でも、少しでもホコリが残っていると「掃除すらまともにできないの?」と嫌味を言ってきます。
精神的にも体力的にも限界を感じ、夜になって夫に助けを求めました。ところが、夫は義母の機嫌を損ねたくないのか聞こえないフリ。私と義母の空気が悪くなると、そっと別の部屋へ逃げてしまうようになりました。
夫婦2人のときは「俺が母さんにガツンと言っておく!」と強気な発言をするくせに、実際に義母を前にすると何も言わずに完全スルー。そんなある日、私たちの将来を揺るがす出来事が起きたのです。
消えた100万円の行方
退職を控えた最後の給料日、夫婦で管理しているマイホーム用の口座に入金しようと記帳したところ、残高が100万円も減っていることに気付きました。この口座からお金を引き出せるのは、私か夫だけです。
私は急いで夫に説明を求めました。すると夫は気まずそうに「母さんに車の修理代などでまとまったお金が必要だと言われて、つい貸してしまった」と言うではありませんか。
義母には、義父が残したある程度の保険金や貯金があると聞いていました。夫も奨学金を借りずに大学を卒業させてもらっています。なぜわざわざ、私たちのマイホーム資金からお金を借りる必要があったのか理解できません。
問い詰めると、夫はため息をつきながら白状しました。義母は趣味や友人との交際費で見栄を張り、貯金をすっかり使い果たしてしまっていたのです。見かねた夫が、私たちの貯金から援助していたのでした。
同居を急いだのも、生活費が足りなくなった義母を援助するためだったのでしょう。事情を隠されたまま勝手に同居を決められ、その上嫁イビリまでされては、私も黙っていられません。
夫にお返し♡ その結果…
それから数日後、夫に異動の辞令が出ました。転勤先は、偶然にも私の地元の近く。私はこれを好機と捉え、「じゃあ、私の実家に住もう! そのほうがお金が貯まるでしょ?」と提案しました。あのとき、夫が私に言った言葉をそっくりそのまま返したのです。
後ろめたさがある夫は反論できず、私の実家での同居生活がスタートしました。私の実家は兼業農家で、「体を動かすのが一番の健康法」という価値観を持っています。両親は悪気なく、良かれと思って夫にも休日の農作業を手伝うよう勧めました。
普段デスクワークばかりで体力のない夫にとって、休日の農作業はかなりの重労働です。「少し休みたい」と夫が私に助けを求めてきても、私は知らん顔。「お義母さんとの同居中、あなたも私が困っているのをスルーしたよね」とお返ししました。
慣れない農作業と肩身の狭い生活に、夫はすっかり参ってしまいました。自分が私の立場で同じような経験をして、ようやく当時の私のつらさが身に染みてわかったようです。
夫はこれまでの態度を深く反省し、私に何度も謝罪しました。義母に貸したお金は毎月のお小遣いから少しずつ返すことを約束させ、私たちは私の実家を出て、2人だけで新しい生活を始めることにしました。これからの夫に期待しています!
◇ ◇ ◇
親を助けたいという気持ちは自然なものですが、夫婦の共有財産を相手に相談せず使ったり、同居を一方的に決めたりするのは、信頼関係を大きく損なう行動です。特に、同居は生活環境が大きく変わるため、どちらか一方の気持ちだけで進めてよいものではありませんよね。
また、義家族との関係でつらい思いをしているときに、パートナーが味方になってくれないと、孤独感はさらに大きくなってしまいます。家族を大切にすることと、配偶者に負担を押しつけることは別の問題です。
お金の使い方や親への援助、同居については、夫婦で事情を隠さず話し合うことが大切です。相手の不安や負担に目を向けながら、夫婦で納得できる形を探していきたいですね。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。