祖父を見送るまでの張り詰めた日々
「もう危ない」と医師に告げられてから、祖父は1週間ほど頑張っていました。特に最後の数日間は、家族が交代で病院に泊まり込み、誰かが祖父のそばにいられるようにしていました。
昼夜を問わず声をかけ、様子を見守る日々が続き、私たちも十分に眠れないまま過ごしていました。それでも、祖父をひとりにしたくない気持ちのほうが強く、疲れを感じる余裕もありませんでした。
祖父には「もう無理をしなくてもいいよ」と心の中で何度も語りかけていたのを覚えています。
葬儀の読経中に感じた不思議な感覚
危ないと告げられてから1週間ほどたったころ、皆が見守る中、祖父は亡くなりました。慌ただしく葬儀の準備を進めるうちに、私もようやく祖父を見送る実感が湧いてきました。
葬儀が始まり、僧侶の読経が静かに響く中、私は次第にまぶたが重くなっていきました。寝不足が続いていたこともあり、気が付かないうちに少し眠ってしまったのだと思います。
けれど、その短い時間の中で、私は祖父の姿を見たような気がしました。はっきりとした夢だったのか、ぼんやりとした記憶だったのか、今でもうまく説明できません。ただ、そのときは祖父が近くにいるようで、穏やかな空気に包まれた気がしたのです。
家族の心にも残っていた祖父の姿
葬儀の後、家族でそのときのことを話すと、祖父の姿を見たように感じたのは私だけではありませんでした。思い出の中の祖父に会ったような気がしたと話す家族もいたのです。
伯母は、みんな疲れがたまっていて、読経の最中にうとうとしていたのだろうと言いました。たしかに、連日の付き添いや葬儀の準備で、家族全員が疲れ切っていたのは間違いありません。
それでも私には、祖父が「少し休んでいいよ」と伝えてくれたように思えました。現実だったのか夢だったのかはわかりません。ただ、あの時間は祖父が最後に家族へ残してくれた、穏やかな思い出のように感じています。
まとめ
今回の経験を通して、大切な人との別れには、言葉では説明しきれない瞬間があるのだと感じました。疲れから見た夢だったのかもしれませんが、私たち家族にとっては、祖父ともう一度静かに向き合えたように思える出来事でした。今でも葬儀の日のことを思い出すと、悲しさだけでなく、祖父に見守られていたような温かさが胸に残っています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:野崎あんり/40代女性・無職
イラスト:はせがわじゅん
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年9月)
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