合コンにいた「自営業」の男性に怒り
その日の同僚は、朝からやけに気合が入っていました。聞けば、夜参加する合コンに、有名企業に勤めている人など、彼女が「ハイスペック」と呼ぶ男性たちが集まるとのこと。肩書や年収などを重視して婚活をしていた彼女にとって、かなり楽しみにしていた合コンだったようです。
この日も例の如く、彼女は定時で早々に退勤。定時で退勤するのはいいのですが、彼女の仕事が終わっていないことが判明し、結局、他の同僚と一緒に残業して終わらせるはめになりました。
翌日―。出社してきた彼女はとても不満そうな表情でした。
「聞いてよ! 昨日の合コン最悪だった。ひとりだけ『自営業』っていう人がいてさ。服装も地味だし、本当にちゃんと仕事してるの?って感じだった」
話を聞くと、その男性は口数が少なく、服装もシンプルなものだったそう。彼女はそれだけで「収入は安定していなさそう」などと決めつけ、本人にも似たようなことを言ってしまったようです。場の空気は微妙な感じになったそうですが、同僚は「せっかく盛り上げようとしたのに」と、自分のせいだとは思っていない様子でした。
「初対面の人にそんなことを言うのは失礼だよ」と軽く言うと、彼女は「はいはい、真面目だね」とひと言。その日は大きなため息をつきながら仕事をしていました。
後日、その「自営業の男性」が思いがけない人物だったことがわかったのです。
まさかの人物だった
数日後。大学時代の同級生たちの集まりに参加したときのことです。ひとりの男性友人が、「この前、知り合いに誘われて合コンに行ったんだけど、ちょっと大変だった」と話し始めました。
詳しく聞いてみると、参加人数や場所、そして「自営業というだけで仕事を疑われた」という話まで、あの同僚から聞いていた合コンとほぼ同じ。
そこで初めて、同僚が文句を言っていた男性が、私の友人だったことに気づいたのです。
彼は数年前に、これまで勤めていた会社から独立し、自分で立ち上げた会社を経営しています。そこまで規模の大きな会社ではありませんが、仕事は順調だと以前から聞いていました。
彼は「あんなに言われるとは思わなかったけど、まあ、もう会うこともないだろうし」と苦笑い。
まさか、あの合コンに参加していた男性が自分の友人だったとは……。世間は狭いと思うと同時に、友人を見た目や「自営業」という言葉だけで判断し、失礼なことを言った女性が自分の同僚だと思うと、なんだか私まで気まずくなってしまいました。少し迷いましたが、私は「あの人、実は私の職場の同僚なんだ」と打ち明け、彼女から聞いていた話も伝えました。友人もまさかのつながりに驚いた様子でしたが、「そうだったんだ」と苦笑いするだけでした。
自分で「出会い」の可能性を狭めている
今も同僚は、出会いを求めて合コンなどに参加しているようです。
職場でも、「今度会う人は有名企業勤務なんだ」「この前の人は年収がちょっと……」などと話しており、相変わらず相手の勤務先や年収などを気にしている様子。
もちろん、結婚相手を探すうえで、仕事や収入などを気にすること自体はおかしなことではないと思います。ただ、それだけで相手を「合わない」と決めつけてしまうのは、せっかくの出会いの可能性を自分から狭めているだけのようにも感じます。
実際、同僚が切り捨てた友人は、自分で会社を立ち上げ、仕事に真面目に向き合っている人。見た目こそ派手ではなくても、会社経営も軌道に乗っており、同僚が重視している条件だけを見ても、いわゆる「ハイスペック」に当てはまる人だったのではないかと思います。
今も理想の相手を探し続けている同僚。肩書や第一印象だけで相手を判断していると、いつか本当に大切な出会いまで逃してしまうのでは……と、少し心配になってしまいます。が、口を挟むのは余計なお世話かなと、何も言わず、彼女の婚活を見守っていようと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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