なんとなく苦手だった、同級生
私とHちゃんとの間に、何か大きなトラブルや喧嘩があったわけではありません。
ただ、当時の私は、Hちゃんの少し言葉がきつく、物事をはっきりと口にしすぎるところに、苦手意識を抱いていました。彼女も、私とは気が合わないと感じていた様子で、お互いになんとなく距離があるような状態でした。
クラスの中での居場所が違っていて、普段は進んで会話を交わすこともない、そんな関係性でした。
修学旅行で…ナプキンがない!
そんなHちゃんと、修学旅行でたまたま同じ班になりました。
その日のスケジュールは美術館の見学だったのですが、到着した先の美術館で、私は生理がはじまってしまったのです。
当時は初潮を迎えたばかりで、生理周期もまったく安定していませんでした。念のためナプキンは持参していましたが、それは着替えなどを詰めた大きなバッグの中で、宿泊する宿に置いたまま。
手元のリュックには入っておらず、「どうしよう…」と困り果て、班にいた別の友人に小声で相談していたとき。少し離れた場所にいたHちゃんが「もしかして生理?」と声をかけてきたのです。
少しきつい言葉をかけられるかもしれないと、私は内心身構えました。しかし彼女から返ってきたのは、「私ナプキン持ってるから、必要だったら言って」という、思いがけない言葉でした。
関係が変わったわけじゃないけれど…
幸い、そのとき付き添いで来ていた保健の先生に相談することができ、ナプキンを確保することができました。そのため、実際にHちゃんから借りることはなく……。
しかし、苦手だと思って距離を置いていた相手から、困っているときに思わぬ助け船を出してもらえたことは、子どもながらにとてもうれしかったことを覚えています。
当時の私は緊張もあって、彼女にきちんとお礼が言えたのか、はっきりと覚えていません。もっとしっかり「ありがとう」と伝えればよかったなと、大人になった今でも、ときどき思い返します。
この一件をきっかけに、Hちゃんと急に仲良くなり、親友になった……というドラマのようなことはなく、結局その後も、小学校を卒業するまで、お互いにある程度の距離を保ったまま過ごしました。
◇ ◇ ◇ ◇
突然の生理は、困ったり焦ったりした記憶が残りがちかもしれません。しかし、この修学旅行のエピソードのように、人のやさしさに触れることもあるのだと感じました。
普段あまり交流がない相手や、少し苦手だと感じている人であっても、困っているときにはそっと手を差し伸べてくれることがある。そんな、普段の学校生活の中だけでは気がつかなかった、大切な経験だったと思っています。
著者:三峰しおん/20代女性・行政(福祉部署)や不動産の営業事務に従事。趣味は散歩と掃除です。
イラスト:sawawa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年7月)
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