そんな義母のせいで結婚式はとても嫌な思い出となりました。式を終えた後、夫は思い出したように言ったのです。
「母さん、お前のこと『ゴリラがドレス着てるみたい』って笑ってたよ」
夫はさもおもしろいネタかのように話しました。この人は、私が傷つけられても笑っていられる人なんだ——そう思って、少しだけ冷めたのを覚えています。
母親の入院にも無関心な夫
結婚して数年が経ったころ、遠方で一人暮らしをしている義母が入院することに……。退院後の様子は、義母の家の近くに住む夫の叔母が時々見に行ってくれていました。
「たまには顔を見に行ったら? 叔母さんにも直接お礼を言わなきゃ」
私がそう言っても、夫は「車で3時間以上かかるんだぞ。忙しくて無理」と取り合いません。そのくせ新しいゲーム機を買って夜はゲーム三昧、休日になると「ジムとか買い物……」と言って一人で出かけていきます。
わが家は共働きですが、生活費は私の給料でやりくりし、夫の給料は夫が自由に使っていました。貯金はほとんどありません。
「同居したいのは、お前じゃない」
義母が退院して1カ月ほど経ったころ、今度は家の中で転び、太ももの付け根の骨を折る大けがをしてしまいました。夫は「母さん、お前のこと良く思ってないし、来ないほうがいいよ」と言って、一人でお見舞いに……。
それから2週間後、叔母から連絡が入りました。退院後に一人暮らしを続けるのは難しく、義母は「息子夫婦に同居してほしい」と話しているそうです。
その夜、夫は残業で帰りが遅くなると言っていました。待ちきれなかった私は、LINEで『お義母さんのこと、同居してもいいと思っている』と送りました。
義母のことは正直苦手です。それでも夫の母親ですし、夫が困っているなら支えたいと思っていました。ところが、しばらくして届いた返信は、思いもよらないものでした。
『悪い、離婚してくれ。母さんが同居したいのは、お前じゃないんだ』
一瞬、何を言われたのかわかりませんでした。帰宅した夫を問い詰めると、夫は職場の契約社員の女性と不倫していたことを打ち明けました。
休日のたびに一人で出かけていたのは、不倫相手と会うためだったのです。
「お母さんに会ってみたい」と彼女にせがまれ、実家に連れて行ったところ、義母は若くて小柄な彼女をとても気に入ったそう。その後も何度も義母のもとをふたりで訪ねていたと言います。
私との帰省は渋っていたのに、彼女のことは実家にまで連れて行っていたなんて……。
そして骨折した今、義母は「介護してもらうなら、あの子がいい。あんな大きい嫁とは別れなさい」と言っているというのです。
『どうして浮気なんか……』と追求する私に、夫は『ほら、ずっと同じ味付けの料理ばっかりだと飽きるだろ? でもお前にとっても悪い話じゃないじゃん。嫌いな母さんの介護をしなくて済むんだし。円満に別れようぜ』と、悪びれもしません。
その夜は一睡もできませんでした。
数日後、弁護士に相談し、夫が不倫を認めたやり取りを証拠として見てもらいました。そのうえで、夫と、夫が既婚者だと知りながら関係を続けていた不倫相手の両方に、慰謝料を請求することにしたのです。
半年後、元夫からの電話
弁護士を通じた話し合いの末に慰謝料の条件がまとまり、離婚届を提出。その後、私は仕事を辞めて地元に戻りました。
離婚が成立して半年ほど経ったころ、夜10時過ぎに元夫から電話がかかってきました。義母が寝ている隙に家を抜け出し、回転寿司で一人で飲んでいるそうです。
元夫によると、不倫相手は「介護なんて嫌!」と言って、連絡を絶ってしまったといいます。義母から「何としてでも結婚しなさい」と責め立てられた元夫は、彼女の家に押しかけ、口論の末、つかみかかってきた彼女の腕を押さえたところ、脱臼させてしまったそうです。
「被害届を出されて、示談金とお前への慰謝料で借金だよ……。華奢な女はこれだから。やっぱり女はお前みたいに丈夫なほうがいいよ」と夫。この期に及んでまだそんなことを言うのかと、あきれるしかありませんでした。
結局義母の介護は、元夫が一人でしているそうです。会社は辞め、夜中に大声で呼ばれる毎日で、もう限界だと話します。
「なあ……戻ってきてくれないか。俺はお前が嫌いで別れたわけじゃない。母さんに逆らえなかっただけなんだよ」
一瞬だけ、昔の情がよぎりました。でもすぐに、結婚式の夜に義母の言葉をおもしろがって笑っていた元夫の顔が浮かびます。
「私は介護するつもりだったんだよ。それを裏切ったのはあなたでしょ。私はもう地元に戻ったし、今の生活はあなたが自分で選んだ結果だよ」そう言って、電話を切りました。
夫の末路
今も年賀状のやり取りが続いている叔母から聞いた話では、元夫はすっかり痩せてしまい、親戚の集まりにも顔を出さなくなったそうです。義母は、ようやく施設への入所を申し込んだと聞きました。
私は地元で新しい仕事に就き、穏やかに暮らしています。今はアパレル関係の仕事をしていて、「背が高いと服が映えるね」と声をかけてもらうことも増えました。
あれほど嫌だった自分の体格も、少しだけ好きになれた気がします。あのとき、自分の人生を取り戻せてよかったと、今は心から思っています。
◇ ◇ ◇
人の魅力は見た目だけではわかりません。また、身長や体型などの外見は、努力で簡単に変えられるものではなく、人知れずコンプレックスを抱えている人もいます。何気ないひと言や冗談のつもりの言葉が、相手を深く傷つけてしまうこともあるでしょう。
たとえ悪気がなくても、人の容姿について軽々しく口にしないこと。そして、外見ではなく、その人の内面や行動に目を向けること。そんな心がけを、日々の人間関係の中で大切にしていきたいですね。
【取材時期:2026年8月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています