社宅のボスママから、理不尽なお願いが
中心人物のAさんは、何かにつけて「節約できていいわね」と私を見下してきました。ほかの2人も同調し、次第に自分たちの掃除当番まで押し付けるように。
私が断ると、Aさんは笑顔のまま言いました。
「うちの夫、この会社で長いのよ~。ここでうまくやっていきたいでしょう?」
私はその日のうちに夫へ相談しました。夫からは、言われたことや日時を記録し、無理な頼みには応じなくていいと言われていました。
懇親会でまさかの仕打ち
ある週末、近所の飲食店で社宅の懇親会がありました。夫に息子を預けて参加した私は、帰り際、Aさんたちに呼び止められました。
「最近、付き合い悪くない?」
以前、掃除の肩代わりを断ったことが気に入らないようでした。
私が「自分の当番はきちんとしています」と答えると、Aさんは手にしていたグラスをこちらへ傾け、私の服に赤ワインをかけてきました。
「あら、ごめんなさ〜い」
「貧乏人さん、ようこそ〜♡」
隣の2人も、私を見て笑いました。
そのとき、迎えに来た夫がお店に入ってきたのです。
「大丈夫? その服、どうした?」
夫が私に駆け寄ると、Aさんたちの笑顔が消えました。
「えっ!? 総務の……課長? どうして……」
「妻を迎えに来たんですが」
3人は顔を見合わせ、そのまま黙り込みました。
「冗談でした」では終わらない
夫は異動してきた総務課長で、社宅管理の責任者でもありました。着任時の住民向け説明会で顔を合わせていた3人は、夫を知っていたのです。私は息子の体調不良で欠席しており、夫婦だとは知られていませんでした。
「あ~……ちょっと手が滑っただけで……」
慌てて説明するAさん。しかし、近くにいた住民が口を開きました。
「わざとでした。私、見ていました!」
その声に同調するように、ほかの住人たちからも怒りの声が噴き出しました。
「そうよ、いつも上から目線でひどいこと言ってたわ」
「掃除の当番を押し付けられて泣き寝入りしてる人も知ってます!」
隠されていた被害の告発が相次ぎ、その場はAさんを追及する空気に一変しました。
夫は私に上着をかけ、3人に伝えました。
「妻から相談は受けています。私の家族の件なので、事実確認は別の担当者に任せます」
「ただの冗談なのに……」とAさんは青ざめながら言い訳を繰り返しましたが、周囲の住人たちは冷ややかな目を向けるだけで、誰もその場を取り繕おうとはしませんでした。
ボスママたちが失ったもの
後日、別の総務担当者が聞き取りを行うと、掃除の押し付けや、夫の立場を持ち出した嫌がらせが次々と判明しました。3人はそれぞれの夫とともに説明を求められ、被害を受けた住民へ謝罪。Aさんには服のクリーニング代も負担してもらいました。
さらに、3人が取り仕切っていた住民会は運営を見直し、幹事は交代制に。掃除当番も会社の管理担当が直接調整する仕組みへと変わり、社宅の自治は正常化していきました。かつては夫の肩書きを盾に周囲を牛耳っていた3人でしたが、会社や住民の間ですっかり信用を失い、社宅内ですっかり孤立してしまいました。
◇ ◇ ◇
もし理不尽な目に遭ったときは、ひとりで泣き寝入りせず、周囲の協力を得ながら毅然とした態度で立ち向かう強さを持ちたいものです。
相手の立場や肩書きで態度を変え、理不尽なマウントや嫌がらせを繰り返す行為は、巡り巡って自分自身の信用を失う結果を招きます。誰に対しても対等な敬意を払うことの大切さを改めて実感させられる出来事でしたね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。