お金のかからない夫
夫は物欲が強いほうではなく、ギャンブルなどもしません。物持ちもよく、基本的にはお金のかからないタイプだと思っています。
では、どのように余暇を楽しんでいるのかというと、高くても2,000円程度のかなり難解なパソコン用パズルゲームを買い、それを長い時間かけて楽しんでいます。
趣味にはじっくり没頭するタイプですが、近年、物価高が続く中、つつましい生活に満足している夫の様子を、私は安心して見ていました。
突然の夫からの相談
そんなある日、夫と晩ごはんを食べていると、夫が何か言いたそうにもじもじしていました。
「どうしたの? 何かあったの?」
そう聞くと、「実は、次のボーナスで欲しい物があるんだ」と言うのです。
その言葉を聞いた瞬間、私の脳内で無数の電卓やそろばんが一斉に動き始めました。
普段、物が欲しいと言わない夫が、これほど言いづらそうに話を切り出すということは、決して安い物ではないはずです。
「身の回りで壊れている物はない。新しいゲーム用パソコンか? 古くなってきた自転車か? 前者なら20万円くらいはするかもしれない。いくらまでならOKを出せる?」
「いつもぜいたくを言わずに頑張っているのだから、ある程度は希望を尊重したほうが、仕事のやる気にもつながるのではないか」
そんな打算的なことを、ほんの一瞬の間に延々と考えたような感覚でした。
とはいえ、まずは聞いてみなければ何とも言えません。
体感ではずいぶん長い時間がたったように思いましたが、実際には普通の会話の「間」程度だったのでしょう。私はできるだけやさしい声で、夫に聞き返しました。
「そうなんだ。何が欲しいの?」
饒舌に語り始める夫
すると夫は、さっきまでのもじもじとした様子はどこへやら、突然饒舌に語り始めました。
「欲しいのは、このゲームのフィギュアなんだけどね。このゲームの世界観がすごくて……」
聞いてもいないゲームの世界観まで語り始めた夫を見て、私は「これはかなり値が張るのでは?」と嫌な予感がしました。
そのゲームがいかにすごいかを語る夫の話は尽きそうにありません。そこで、話の途中で「で、いくらするの?」と尋ねました。
夫は一瞬たじろぎながらも、「6万円」と答えたのです。
「6万円!? フィギュアが!?」
そう声に出しそうになるのをこらえ、「ボーナスでそれを買っても家計は大丈夫なのか」「おそらく大きめのフィギュアだろうけれど、どこに置くのか」など、現実的な質問をいくつか投げかけました。
今考えると、自分の頭を冷やすための質問だったのかもしれません。
実用品ではなく、鑑賞するための物に6万円を出すことは、私の価値観ではすぐには受け入れにくかったのです。
一方で、私が「買わないで」と言えば、夫はおそらく諦めるだろうとも思いました。
しかし、そのフィギュアは受注期間が限られている商品でもあったため、後になって夫の中に「あのとき妻に『買わないで』と言われたから買えなかった」という後悔が残り、それが私たちの間の小さなしこりになるのは嫌だな、と考えました。
そこで私は、「この6万円はフィギュアを買うためのお金ではない。将来の夫婦仲への投資なのだ」と考え方を切り替え、夫が買うことを応援することにしました。
まとめ
今回の出来事で、「夫は普段からあまり物を欲しがらないから、これからも大きな買い物はしないだろう」と、どこかで決めつけていた自分に気付きました。
また、夫が熱心に語る様子を見て、私には理解しづらいお金の使い方でも、本人にとっては意味のあるものなのだろうと感じました。夫婦だからといって、お金をかけたいものや、その金額に対する感覚まで同じとは限りません。
今後も、夫の希望をすべて受け入れられるわけではありません。それでも意見が違うときには、金額だけを見てすぐに結論を出すのではなく、まず相手がなぜそれを望んでいるのかを聞き、2人で納得できるところを探したい。今回のやりとりを通して、私はそんなことを学びました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※AI生成画像を使用しています
著者:磯辺みなほ/30代女性。ゲーマー。発達障害がある夫と2人暮らし。大変なことも多い中、それ以上にネタと笑顔にあふれる毎日を送っている
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年9月)
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