私は5歳の男の子を育てています。夫の転勤のため、息子は保育園を退園して新たな幼稚園へ移ることになりました。以前の保育園にも異年齢との関わりはありましたが、少人数だったので常に先生の目があり、お友だちとの目立ったトラブルはあまり起きませんでした。
しかし、転園先の幼稚園は縦割り保育かつ大人数のクラス編成です。きょうだいがおらず、ひとりっ子の甘えん坊息子が、異年齢クラスに入ったことで精神的に成長していった様子をお伝えします。
少人数保育園から大人数幼稚園へ
少人数保育は先生の目が届きやすく、より手厚い保育が受けられることがメリットだと言われています。フルタイムで働いていた私は、平日ゆっくりと息子に向き合う時間がなかったので、キメの細かい保育を期待して少人数保育園へ預けていました。その結果、息子の自主性は育まれ、とても探究心の強い子に育っていきました。
一方で、少人数のため大勢で協力して物事に取り組む機会がなく、かつひとりっ子の息子は協調性や他者への思いやりに欠けているのではと不安でした。そんなときに訪れたのが夫の転勤です。やはり不安は的中。集団行動が苦手な息子は、大人数幼稚園へ転園して間もなく、とても目立つ新入園児となります。
大人数保育で培われる協調性
集団行動や協調性を重んじる大人数保育では、協調性のない子は先生の手がかかり、目立ってしまいます。入園当初、息子はあまりに協調性がなかったので、病気なのではと疑ったほどです。しかし、先生はもちろんお友だちからの注意もあり、徐々に集団行動ができるようになってきた息子。私の不安は次第に消えていきました。
そして、入園後半年以上が経過して参加した発表会。少人数保育園では大きな舞台で発表する機会がなく、初めて大勢の保護者を前に劇を演じる息子の姿を見て感動しました。こうしてお友だちと協力して何かに取り組み、周りの「空気を読み」、行動することが、協調性を身につけるうえで必要な手段だと学びました。
縦割り保育はひとりっ子にもってこい
大人数幼稚園へ転園してからというもの、息子は毎日のように、年下のお友だちとおもちゃを取り合ったり、喧嘩をしたりしていたそうです。私は、やさしくしてあげようねと促しましたが、「(まだ言葉がじょうずでない年下のお友だちに)話してもわかってくれない」と話す息子。しかし日々の遊びのなかで、思いきっておもちゃを譲ってみたら、お友だちが泣かなかったこと、一緒に遊べばもっと楽しいことに自ら気づいたそうです。
いくら口で教えても経験に敵うものはありません。こうして自らトラブル解決法を学ぶと同時に、年下のお友だちのお手伝いもできるようになり、ひとりっ子の息子にとって縦割り保育はとても良い経験となりました。
ひとりっ子ゆえにマイペースな息子にとって、大規模保育の幼稚園へ転園したことは社会性を身につける良いチャンスでした。大勢のお友だちと接することで、頭で考えるだけでは身につかない自然な形で、思いやりや協調性を身につけることができました。「経験は財産」とはまさにその通りだと、まだ5歳の息子から日々学んでいます。
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イラスト/塩り
監修/助産師REIKO
著者:川口ゆう
5歳の男の子の母。看護師・保健師・助産師資格を取得。現在は夫の駐在のため、海外在住。自身の経験をもとに、育児・医療などをテーマに執筆している。