自宅から遠く離れたN県某所で、旧姓の百瀬に由来する「もも」の愛称で呼ばれながら、リゾートバイトをしていた多恵子さん。木綿子さんからの連絡で、隣人の梅村さんが警察に相談していたことや、捜索願の話まで出ていると知り、一度家に戻るべきか悩み始めます。
そんな多恵子さんを気遣い、同僚の鳥谷さんは「俺、一緒に行ってやろうか?」と声をかけてくれました。さらに、行きつけのバーでは店主の圭一さんから仕事に誘われ、家族とは違う人間関係のあたたかさを感じます。
多恵子さんは、4月になったら一度帰ると決める一方で、今の場所でまた働きたいという気持ちも膨らんでいるようで……。
惹かれあって結婚したはずなのに……










※比翼連理とは、男女や夫婦の愛情が深く、仲睦まじい様子のこと







バーを出たあと、多恵子さんが何か話しかけようとすると、鳥谷さんは「所詮実らぬ恋! 俺は諦めてる」と話を遮ります。そして、「俺のことより自分の心配しろよ!」と、家族にきちんと気持ちを伝えるよう背中を押しました。
そして4月、ついに数カ月ぶりの帰宅を決意。家族にどう迎えられるのか不安を感じながらも、家出するほど追い詰められた理由を知ってもらうため、逃げずに話し合おうと考えます。
しかし、夫のことを思い浮かべると、不機嫌な顔しか出てきません。かつて惹かれ合ったはずなのに、離婚を考えるほど嫌いになってしまったことに、複雑な思いを抱くのでした。
◇ ◇ ◇
結婚したときは、ずっと一緒に支え合っていけると思っていたはず。それなのに、長い時間を過ごすうちに、相手と向き合うことさえ苦しくなってしまう場合もありますよね。
でも、結婚したときの約束を守ることと、自分だけが我慢し続けることは、同じではないはずです。夫婦だからといって、どちらか一方が無理を重ねてまで関係を続ける必要はないのではないでしょうか。
大切なのは、相手を責めることでも、自分だけを責めることでもなく、お互いの気持ちをきちんと伝え合うこと。たとえ望んだ答えが出なかったとしても、自分の思いを言葉にすることが、これからの人生を考える第一歩になるのかもしれません。
紙屋束実