家族が自分を探していることを知り、一度きちんと話をつけるべきか悩んでいた多恵子さん。そんな彼女の背中を押してくれたのは、リゾートバイト先で出会った同僚の鳥谷さんでした。
新しい居場所で周囲の人たちのやさしさに触れた多恵子さんは、4月になったら一度家に帰り、自分の気持ちを家族に伝えようと決意します。
しかし、数カ月ぶりの帰宅を前に、不安は募るばかり。夫のことを思い浮かべても不機嫌な顔しか出てこず、「かつて惹かれ合った相手を、離婚したいと思うほど嫌いになってしまったなんて……」と複雑な思いを抱いていて……。
久しぶりの帰宅……家には
















数カ月ぶりに自宅へ戻った多恵子さん。インターホンに応じた律郎は「ママ、本物!?」と驚きます。遠慮がちに「入っていい?」と尋ねる多恵子さんに、律郎は「当然だろ、ママの家じゃん」と返しました。
まだ自分の居場所があったのだと、ほっとする多恵子さん。さらに律郎からコーヒーを淹れようかと声をかけられ、思いがけない気遣いに驚きます。律郎は「ママはもう帰ってこないと思ってた」と本音をこぼします。多恵子さんも、その気持ちを受け止めながら、息子が初めて淹れてくれたコーヒーを味わい、ほっとひと息つくのでした。
◇ ◇ ◇
家族のために何かをするのが当たり前になると、いつの間にか自分だけが世話をする側になってしまうことがありますよね。けれど、家族の中で誰かひとりが頑張り続ける必要はないはずです。
何気ない「コーヒー飲む?」という言葉でも、自分のことを気にかけてもらえたと感じられれば、心がふっと軽くなるもの。大切なのは、特別なことをしてあげることよりも、お互いを思いやる気持ちを持つことではないでしょうか。いつも支えてくれる人にも、安心して甘えられる時間が必要なのかもしれませんね。
紙屋束実
