現実を知った妻
ついに明日が退院だという夜のこと。結局、夫からの連絡は一度もないままでした。このまま家に帰って大丈夫かな……と不安になっていたところに、高校の同級生からメッセージが送られてきました。
「出産おめでとう!」そのお祝いの言葉に私は驚きを隠せませんでした。出産したことは、夫とお互いの両親にしか伝えていなかったのです。もちろん、SNSなどにも載せていません。
「どうして知ってるの?」と尋ねると「旦那さんから聞いたもの!」と彼女。彼女は夫に結婚式以来会っていないはず……。なぜ彼女が夫から出産報告を受けたのか、私にはまったく予想がつきませんでした。
彼女は続けて「びっくりしてる? 実は、私と彼、付き合ってるの!」と言います。一瞬、なんの冗談かと思いました。けれど、そのあとに続いた言葉は冗談のレベルをはるかに超えていたのです。
「あんたが入院してから、彼ずっとうちにいるよ? ほとんど一緒に暮らしてるような感じ♡ もう私のほうが彼のこと知ってるかもね」スマホを握る私の手は震えていました。
私は長いこと切迫早産で入院していました。その間、夫は浮気相手と楽しい毎日を送っていたのでしょう。
彼女は続けます。「私は体型が崩れるのが嫌だから出産はしたくないの。でも彼は子どもが欲しいみたい……。だから親権は彼にしてくれない? 赤ちゃんは私が育ててあげる」頭が真っ白になりました。
浮気をした最低な理由
しかし、すぐに我に返った私。やり取りを打ち切って、夫へ何度も電話をかけました。
ようやく電話に出た夫に、私は“浮気相手”から連絡があったことを告げ、「全部話して」と言いました。しばらく沈黙が続いたあと、夫は観念したように「ごめん……浮気は本当だ」と口を開いたのです。
「でも、彼女とは本気じゃなくて……。結婚式で連絡先を交換してたんだけど、お前の入院中に向こうから連絡が来て、相談に乗ってもらってるうちに……。ただ、さみしかったんだよ。妊娠してから子どものことばかりで、俺なんて放っておかれてたし。だから外に目が向いちゃったっていうか……わかるだろ?」
浮気を私のせいにするなんて、心の底からあきれてしまい、離婚が頭をよぎりました。しかし、生まれたばかりのこの子のために、家族3人でやり直す道はないのか――そんな迷いもあります。
名前に隠された秘密
退院してからも関係はぎくしゃくしていましたが、子どものことを考え、一度だけ夫にチャンスをあげることに……。
息子の名前は、夫と二人で話し合って決めました。夫が「この字だけはどうしても入れたい」と珍しく強くこだわった一文字を使った名前です。退院後の体調を見ながら、一緒に役所へ出生届を出しに行く約束をしていました。
けれど、普段は名前の話に関心を示さなかった夫が、なぜあの一文字にだけあれほどこだわったのか……。その夜、どうしても胸騒ぎがおさまらず、彼女のSNSをのぞいてみると、ちょうどその日に新しい写真がアップされていたのです。
そこには「私が子どもを持つならこの漢字♡ 早くパパが私を迎えにきてくれますように……」という投稿とともに、メモ書きされたとある漢字の写真が載せられていました。
こともあろうにその漢字は、私たちがさっき決めたばかりの名前の一文字。夫を問い詰めると、ようやく白状しました。再構築を約束していたはずなのに、夫は彼女と切れていなかったのです。
夫が言うには、私に許してもらえず離婚になったら、ひとりになってしまう。それが嫌で、彼女とのつながりを残しておこうと考えたのだそう……。
そこで彼女に「いつかは俺たちの子どもになるから、一緒に名前を考えよう」と持ちかけ、彼女と決めた字を私との名付けの場で推したのだと言います。
あまりの怒りで、言葉も出ませんでした。私は浮気相手に、「夫をお願いします! すぐに迎えにいかせるね♡」と怒りを込めたメッセージを送りました。こんな夫、私はもういりません。
もちろん、親権は私が持てるよう話し合いを進めるつもりです。夫は何度も謝り、やり直したいと言いますが、一度きりのチャンスを無駄にしたのは彼自身です。
弁護士にも相談しながら慰謝料についての話し合いを進め、私はシングルマザーとして歩んでいくことを決めました。
父として夫として最低の行動をした彼。あのとき決めたばかりだった名前は一度白紙に……。幸いまだなじみもなかったので、私が考えた別の名前で届けを出すことにしました。浮気相手と決めた名前になっていたらと思うと今でもゾッとしています。
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切迫早産での長い入院生活は、体も心も思うようにならず、ただでさえ不安でいっぱいになるものです。そんなときこそ、いちばん近くで支えてほしいのが夫の存在ですよね。
妻が必死におなかの赤ちゃんを守っている間に浮気をするなんて、どんな理由があっても許されることではありません。「さみしかった」と言うのなら、まずはその気持ちを妻と分け合い、ともに出産を迎える準備をしてほしかったものです。
そして、子どもの名前は、親から子へ贈る最初のプレゼントともいえる大切なもの。誰かの気を引くためや、自分の保身のために決めていいものではありません。わが子の幸せを願い、夫婦で心を込めて考えてこそ、その名前は子どもにとって一生の宝物になるのではないでしょうか。
【取材時期:2026年9月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。