妊娠報告から数日後、義母から電話がかかってきました。最初は「体調は大丈夫?」「無理はしないでね」と私を気遣ってくれていたのですが、だんだんと無神経な言葉が飛び出すようになって——。
おなかの赤ちゃんに暴言を吐く義母
「正直ね、ちょっと心配なの。孫があなたに似て地味顔だったら、私かわいがれるかしら?」思わず耳を疑いました。たしかに私は華やかな顔ではありませんが、それよりも私たち夫婦は元気に生まれてきてくれれば、それだけで十分だと思っていたのです。
「やっぱり見た目って大事じゃない? うちの息子は顔がいいから心配ないけれど、生まれるまでどっち似かわからないものね〜」と、笑いながら義母は続けます。
初めての妊娠で精神的に不安定だったこともあり、私の心は深くダメージを受けてしまいました。本当なら怒るべきところなのでしょうが、私はただただショックで、何も言い返せずしばらくぼうぜんとしてしまったのです。
同じ孫なのに……?
その翌月、義姉(夫の実兄の妻)から「お義母さんから聞いたよ! 妊娠おめでとう!」と電話がありました。義姉もつい数カ月前に女の子を出産したばかり。義姉に似て目鼻立ちのはっきりした娘さんは、テレビに出てくるようなかわいい赤ちゃんでした。
まだショックから立ち直り切れずにいた私は、「ありがとうございます……」と力なく答えました。
すると「なんだか元気ないみたいだけど、大丈夫? つわりとかひどいの?」と心配してくれた義姉。「もしできることがあったらなんでも言って! それにお義母さんを頼ったらいいよ! 私のときも、妊娠を伝えて以来、フルーツやゼリーをたくさん持ってきてくれたんだよ〜」と明るく話します。
しかし私は、義母からの差し入れなど受け取ったことはありません。「お義母さんを頼ったらいい」と話す義姉が信じられませんでした。
「お義母さんからは何ももらっていません」と正直に話すと、義姉は驚いて「私のときは『美男美女夫婦だから、絶対に美人な赤ちゃんが生まれてくるわ!』って言って、至れり尽くせりだったんだけど……本当にあなたのところは何もないの? これから送る、とかも言ってなかった?」と私に尋ねます。
義母が私にしてくれたことといえば、おなかの子の見た目に関するひどい言葉をかけただけ。あまりの待遇の差に、私はがくぜんとしました。
思わず義母から言われたことを打ち明けると、義姉はしばらく言葉を失っていました。「今は大事な時期だし、お義母さんの言葉なんか気にしちゃだめだよ。もし不安になったら、いつでも連絡してきてね。絶対にかわいい赤ちゃんが生まれてくるから!」と義姉は励ましてくれましたが、私の心はえぐれたまま。
義母が2人の孫にかける期待は、きっと最初から違っていたのでしょう。
妊娠報告という名の公開嫁いびり
その1週間後、「親戚のみなさんにあなたの妊娠を報告したいから、週末うちに来てくれる?」と義母から連絡がありました。
事情を知っていた夫は「行かなくていい、俺1人で十分だ」と言ってくれたのですが、ここで行かなければ、また何か小言を言われるかもしれない――そう思った私は、参加を決めたのです。
しかし義実家を訪ねると、義母は「お兄ちゃんのところの赤ちゃんは本当に天使! それに比べて、あなたのところは……ねぇ?」「見た目がすべてではないけど……期待はしてないわ」と、親戚の前で平然と心ない言葉を連発し始めました。
義姉をはじめ、義兄や夫もたしなめてくれたものの、「だって本当のことじゃない!」「かわいがれなかったらどうしましょう〜」と義母はますますヒートアップ。
恥ずかしさと悔しさ、悲しさで胸がいっぱいになった私は、もう笑ってごまかすのをやめ、勇気を振り絞って口を開きました。
孤立したのは…?
「かわいがってくれなくても構いません! そんなにひどい言葉をかけられてうれしいと思いますか? 今日は帰らせていただきます」そう伝えると、「何をムキになってるのよ! 事実を言っただけじゃない!」と義母。
「地味な顔なんだから、せめて愛想よく笑って流してくれたら、場の雰囲気だって和むし、私だってもう少しよくしてあげるのに」と言われ、私の怒りがさらに膨らみます。
「今後は必要最低限のお付き合いにさせていただきますし、子どもを積極的に会わせることも控えさせてもらいます」私が淡々と告げると、「え……? 何もそこまで……」と、義母は戸惑ったような声を上げました。
夫も「これから俺は、妻と子ども第一でいくから。母さんとは距離を置かせてもらう」と続けました。
さらに「前々からお義母さんに思うところはいろいろありました。その話を聞いてから、ずっと気になっていたんです。私もお義母さんの自慢の道具にされるのはこりごりですし、目の前で義妹がないがしろにされているのを見るのも嫌です。私たちも距離を置かせてもらいます」と、一気に言い切る義姉。隣で義兄も、黙って頷いていました。
「お願いだから帰らないで! 早く戻ってきなさい!」とわめく義母を置いて、私たちは義実家を後にしたのでした。
義母のその後
その後、あの場にいた親戚の何人かから「あの場ですぐに止められなくてごめんなさい」「あの態度はさすがに……」と謝罪の連絡をもらいました。そのときに聞いたのですが、義母はあの一件以来、親戚からも距離を置かれているそうです。
義母からの謝罪の連絡もあったようですが、「妊娠中の妻に何かあったらいけない」という理由で夫がすべて対応してくれました。おかげで私は心穏やかに過ごすことができたのです。
そして、私は待望の赤ちゃんを出産。私たちにとっては世界一かわいい赤ちゃんです。夫はもちろん、義兄夫婦も盛大にお祝いをしてくれました。姪とは年が近いため、義姉とはママ友としても仲良くしていこうと思っています。
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子どもの容姿や生まれ持ったものをほかの子と比べる言葉は、たとえ冗談のつもりでも、親の心に大きな傷を残します。ましてや、相手が傷つくとわかっていながら比べて見下すことは、心ない言葉の暴力ではないでしょうか。
どの子も、たくさんの思いの中で授かり、生まれてくる大切な命。その存在に優劣をつけることなど、誰にもできないはずです。
孫やきょうだいの子どもが複数いると、つい比べたくなる気持ちが生まれることもあるかもしれません。それでも、言葉にする前に一度立ち止まって考えたいものですね。
【取材時期:2026年9月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。