お迎え1回を「永遠の貸し」にする友人
私は夫と子ども2人の4人家族。これは育休を終え、職場復帰したころのエピソードです。
当時の長男は1歳。不安なまま保育園に預け、忘れかけていた仕事の感覚を少しずつ取り戻そうと奮闘する大変な毎日を送る中、救いの手を差し伸べてくれたのが、学生時代のクラスメイトで、専業主婦のAでした。学生時代はとりわけ仲が良かったわけではありませんでしたが、たまたま近所に住んでいるとわかって、連絡を取るようになりました。子どものいないAは、「仕事大丈夫? 無理しないでね」とか「買い物行くけど、何かいる?」など、子どものいる私をいろいろと気づかい、声をかけてくれます。最初はとてもありがたい存在でした。
しかし、徐々に声かけの頻度がエスカレートしていくのです。毎日のように「買い物できてる?」「何かおかず持って行こうか?」「息子くんお迎え間に合う?」というようなメッセージが届きます。さすがに重く、Aの対応に少し違和感がありましたが、相手の善意を踏み躙ることはできないと思い、「ありがとう」「大丈夫」と返信していました。
そんなある日、どうしても仕事が終わらず、息子のお迎えが間に合わないという大ピンチが発生。やむを得ず、Aに頼ることにしました。Aは「任せて」と快諾。無事にお迎えしてもらい、私はほっと胸を撫で下ろしたのです。
しかし、仕事を終えてA宅に息子を迎えに行った直後から、雲行きがおかしくなり始めます。
数日後、Aから「明日〇〇のアウトレットまで車出してくれない? あのときお迎え行ってあげたお礼ってことでさ」と連絡が。少し遠方でしたし言い方がちょっと図々しいなと思いつつも、お迎えの恩があったため承諾しました。しかし、Aは当然のようにガソリン代も高速代も出さず、私を完全に運転手扱い。
さらに、ここからAの要求がエスカレートしていきます。「今週末、家族で買い出しに行きたいから車出して。助けてあげたんだからいいでしょ〜?」「雨降ってきたから駅まで迎えに来てよ。あ、この前の恩返しね!」と、「お迎えを1回してあげたカード」を盾に、私を無償の専属タクシーとして扱い始めたのです。
度重なる非常識な要求と、家族との休日の時間まで奪われることに嫌気がさした私は、ある日ついに要求ををきっぱりと断りました。するとAの態度が一変。「利用するだけして見捨てるのね」「恩を仇で返すなんて最低!」と激怒。さらには共通の友人たちにも、私が冷酷な人間であるかのように被害者面をして悪評を言いふらし始めたのです。
理不尽な状況に悩みつつも、どう反論すべきか考えていた矢先……このことを相談していた別の友人から「AのSNSに書いてあるこれ……あなたのこと?」とメッセージが届きました。
その友人が送ってくれたのスクリーンショットを見ると、親しい友人にしか見せられない状態の非公開アカウントで、Aは「マジであいつ恩知らずでムカつく! せっかく1回お迎え行ってデカい貸し作ってやったから、これから一生タダの専属タクシーとして使えると思ったのにw 計画狂ったわー」と投稿していたのです。
Aが最初から私を「都合の良い駒」にする計画だったと知り、ついに私の堪忍袋の緒が切れました。
そして、これまでAの送迎で走った距離、ガソリン代、高速代、駐車場代、そして私の拘束時間をすべて時給換算してリスト化。翌日の夕方、Aの夫が家にいるであろう時間を狙ってAの家に行き、リスト化した“決算書”と友人から送られてきたスクリーンショットを突きつけました。
「たしかに、お迎えに1回行ってくれたことには感謝してる。でも、その1回に対して、私はこれだけのお金と時間をあなたに奪われているの。1回の恩でどれだけ奪う気なの? それに、最初から私を専属タクシーにする計画だったみたいね。あれこれ私のことを言いふらしているみたいだし。まだ続けるつもりなら、この決算書の未払い分とこれからかかる分、きっちり請求させてもらうけど?」と言うと、Aは顔面蒼白に。口をパクパクさせるだけでひと言も反論できません。横にいたAの夫も、言葉にならない様子でしたが「妻が申し訳ありません……!」と青ざめた顔で謝罪。後日わが家には立派な菓子折りが送られてきたのでした。
その後、Aとは距離を置いています。私がAにかけたお金や時間は戻ってきませんが、本性を知って距離を置くための高い勉強代だったと思うようにしています。
育児・仕事で精いっぱいのときは、誰かの手を借りたいと思うこともあります。しかし、“1度のお願い”を“一生の貸し”として扱うような人との関係は、長く続かないと思います。自分が感じた違和感に蓋をすることなく人付き合いをしていくことが大切だと、学んだ出来事でした。
著者:中村あんな/30代・ライター。6歳の長男と3歳の長女を育てるママ。家計を支えるため、ライターの傍らパートも開始。夫は激務のため、子育てはほぼワンオペ状態。常に子どもたちが楽しめるイベントや遊び場を模索中。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年4月)