夫から突然の離婚宣言
夫と私は、夫の父親が経営する会社で働いていました。将来会社を継ぐ予定の夫は営業部門に所属し、私は事務の仕事を担当していました。
夫は仕事でそれなりに成果を出していましたが、忙しさから細かな確認が後回しになることも多く、私はできる範囲でフォローしていました。
家庭でも、食事の用意や洗濯などの家事はほとんど私の担当。夫の帰宅が遅い日には、すぐに食事やお風呂を済ませて休めるよう準備し、翌日のシャツなども用意していました。
以前はそんな私に「いつもありがとう」と声をかけてくれていた夫。しかし、あるころから帰宅が遅くなる日が増え、用意していた夕食にもほとんど手をつけなくなりました。私への感謝の言葉も、いつの間にかなくなっていたのです。
さらに気になったのが、職場での夫の様子です。同じ営業部門の若手社員・A子と親しげにしていることが増えていたのです。A子は営業成績もよく、社内でも評価されている女性でした。
最初は気にしていませんでしたが、休日も「仕事だから」と出かけることが増え、次第に2人の関係を疑うようになりました。
思い切って夫に「最近、A子さんと仲がいいみたいだけど……」と聞いてみると、夫は不機嫌そうに「ただの後輩だよ」と答えました。
それから夫は、私に対してますますそっけなくなりました。そしてある日突然「もうお前とはやっていけない。離婚してくれ」と言い出したのです。
あまりに急な話に、私はどうすればいいのかわからなくなってしまいました。
職場で目撃した決定的な場面
離婚を切り出されてから数日後、私は資料を取りに会議室へ向かいました。
扉を開けると、そこには夫とA子の姿が。2人は顔を寄せ合い、明らかにただの同僚とは思えないほど親密な様子だったのです。
驚いた私は、その場で「何をしているの?」と問い詰めました。
すると夫は悪びれる様子もなく、A子と交際していることを認めました。さらに、「A子は若くて仕事もできる。それに比べてお前は……。使えない事務員の妻なんて、もういらないんだよ」と言い放ちました。
すると、隣にいたA子まで「離婚するんでしょ? だったら奥さんには会社も辞めてもらおうよ」と笑いながら言い出したのです。
たしかに夫から離婚を切り出されてはいましたが、私はまだ返事をしていませんでした。しかし、2人はすでに私を追い出すつもりのようです。その身勝手さに、夫への未練はすっかりなくなりました。
「わかった。離婚しよう。会社も辞めるつもりだから」
そう伝えると、夫は少し驚いた様子でしたが、すぐに「それでいい」と答えました。
私がいなくなった夫のその後
その後、必要な引き継ぎを済ませて退職し、夫とも離婚が成立。私は別の会社で働き始めました。
それから数カ月がたったころ、元夫から突然「どうしても話したいことがある」と連絡がきたのです。気は進みませんでしたが、近くのカフェで短時間だけ会うことにしました。
ところが、現れた元夫の姿を見て驚きました。
以前はいつもきちんとしていたスーツはしわだらけで、顔色も悪く、すっかり疲れ切った様子だったのです。
話を聞くと、私が退職してから書類の確認漏れやスケジュールの管理ミスが増え、社長である父親から注意されることも多くなったそうです。さらに私生活も乱れ、最近は食事もろくに取らず、仕事帰りにお酒を飲んでばかりいるとのこと。
元夫はA子にも以前の私と同じようなフォローを求めたそうですが、A子からは「私だって自分の仕事があるんだから!」と断られたのだとか。それをきっかけに言い争いが増え、結局別れてしまったそうです。
元夫からまさかのお願い
「お前がいなくなってから、何もかもうまくいかないんだ」
元夫はそう言うと、私にどれだけ助けられていたのか、ようやくわかったと話し始めました。そして、「俺が悪かった。もう一度やり直せないか?」と復縁を求めてきたのです。
私はあきれながら、「使えない事務員の妻なんていらないって言ったのは、あなたでしょう?」と返しました。
さらに、「あなたが必要としているのは私じゃなくて、仕事も家事も全部やってくれる人なんじゃない? 私はもう、あなたを支えるつもりはないから」と告げ、席を立ちました。
その後、元夫とは連絡を取っていません。
今は新しい職場にも慣れ、自分の時間を大切にしながら穏やかに暮らしています。
夫のために頑張ってきた日々を、後悔しているわけではありません。ただ、これからは誰かを支えるだけでなく、自分自身の生活も大切にしていきたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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