転職先で再会した同級生
当時、私は仕事にやりがいを感じていましたが、もっと仕事の幅を広げたいと思い、転職を決意。以前から気になっていた大手IT企業の求人に応募し、面接を受けることになりました。
面接を終え、案内された出口へ向かっていたときのこと。突然、前から歩いてきた女性に「久しぶり!」と声をかけられました。
よく見ると、高校時代の同級生・A子でした。
実は、私は高校時代からA子のことが苦手でした。A子はいつもクラスの中心にいるようなタイプ。一方、私はあまり目立つほうではなく、A子はそんな私を格下だと思っていたようで、何かにつけて嫌味を言ってきたのです。
卒業後は一度も会っておらず、まさかこんなところで再会するとは思いませんでした。
相変わらず見下してくる同級生
A子は私が面接に来たと知ると、鼻で笑いながら言いました。
「へえ、この年齢で転職活動? どうせ前の会社でうまくいかなかったんでしょ? でも、うちの会社はそんなに甘くないと思うよ?」
久しぶりに会ったのに、相変わらずの態度で……。私は言い返さず、適当に話を切り上げようとしました。
そのとき、近くを通りかかった若い女性社員に、A子が声をかけたのです。
「この子、私の高校の同級生なんだけど、今さら転職活動してるんだって」
困ったように笑う女性社員に対し、A子はさらに「そうだ、これも今日中にお願いね」と、持っていた資料を差し出しました。
女性社員は「でも、今の仕事もまだ終わっていなくて……」と戸惑っていましたが、A子は「言い訳しないで。ちゃんとやってよ」と聞き入れません。
私はその様子が気になりましたが、社内の事情もわからないため、口を挟むことはできませんでした。
するとA子は、今度は私に向かって言いました。
「あんたもこの会社に入れたら、たっぷり仕事を教えてあげるから。まあ、どうせ無理だと思うけど(笑)」
私は何も言い返さず、その場をあとにしました。
初出社の日、明らかになった私の立場
その後、無事に採用の連絡が届きました。
A子と同じ会社で働くことには不安もありましたが、大手企業なので直接かかわることはないだろうと思いました。何より、以前から希望していた会社です。せっかくのチャンスを逃したくなく、入社を決めました。
初出社の日、私は人事担当者に案内され、配属先の部署へ向かいました。
すると、そこにはなんとA子の姿が。同じ会社でも部署は違うだろうと思っていたのに、まさか一緒に働くことになるとは……。
A子も私に気づくと、驚いた様子でした。しかし、すぐにニヤリと笑い、「本当に採用されたんだ。私がしっかり指導してあげるからね」と耳打ちしてきたのです。
そのとき、人事担当者が口を開きました。
「皆さん、今日からこちらの課の課長として着任された方をご紹介します」
A子は「えっ!?」と声を上げると、目を見開いたまま、しばらく言葉を失っていました。
実は私は、前職で数年間チームリーダーを務めていました。その経験を評価され、今回は課長として採用されたのです。A子も新しい課長が着任することは知っていたようですが、まさか私だとは思っていなかったのでしょう。
同級生の態度が変わった理由
私はA子に「これから一緒に働くことになるから、よろしくね」と伝えました。
着任後、私は部署の状況を把握するため、メンバーと順番に面談しました。すると、複数の社員からA子についての相談がありました。自分の仕事を後輩に押し付けたり、少しでも意見されると強い口調で責めたりすることがあったそうです。
面接の日に見た光景は、たまたまではなかったのでしょう。
私は本人にも事情を確認したうえで、本部長に相談。A子には部下への接し方や仕事の割り振りについて、改めて指導がおこなわれました。
最初こそ不満そうだったA子ですが、それ以降は以前のように周囲に威張ることも少なくなりました。私に対しても、露骨な嫌味を言うことはなくなっています。
以前はA子に遠慮していた社員たちも、少しずつ意見を言ってくれるようになっています。
今は新しい職場にも慣れ、充実した日々を送っています。これからも、立場の違いに関係なく、誰もが安心して意見を言える職場をつくっていきたいです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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