私たちは仕事と家事、育児に追われる毎日を送っていると話すと、彼女は充実しているねと言ってくれました。独身の彼女は代わり映えのない毎日だと言いますが、それはそれで、充実しているはず。
ないものねだりだね、と笑い合って、その日の会話は終わりました。
ラブラブだった夫婦関係は過ぎ去り……
夫とは大学卒業後に付き合い始め、3年の交際を経て結婚して8年になります。学生時代の夫は優秀で人当たりがよく、女性からも人気がありました。安定した企業に就職し、順調な社会人生活を送っているように見えるでしょう。
けれど夫は、1年ほど前に上司と揉めて勤め先を退職。希望の会社へは転職できず、その後は契約社員として働いていました。収入も大きく減り、家計は私の収入で支えている状態だったのです。
最初は、落ち着けばまた前を向けるはずだと思っていました。でも、すれ違いは少しずつ積もり、一時は本気で離婚を考えたこともあります。それでも踏み切れないまま、精神的につらい日々が続いていました。
そんな私を気遣ってか、夫は時々、娘を連れて丸一日出かけてくれました。その時間を休養にあてて、何とか気持ちを立て直す——そんな毎日だったのです。
ある日、夫と娘はアミューズメントパークへ出かけました。帰宅後、夫がお風呂に入っている間に、楽しかったかと娘に尋ねると、娘はお姉さんとたくさん遊んだとうれしそうに答えたのです。しかも、そのお姉さんが今度ママと話したがっている、と。
最初は、夫の知人に偶然会ったのだろうと思っていました。けれど娘によると、お姉さんがいたことは「ママには内緒」と夫から口止めされていたとのこと。さらに娘は、夫がトイレに行っている隙にお姉さんからこっそり預かったという手紙を差し出してきたのです。
そこには、会って話ししたいことがあるという言葉と、日時と店の名前が書かれていました。
娘に伝言を預けた「お姉さん」
指定された日、私は娘を実家に預け、嫌な予感を抱えたまま店へ向かいました。店内をのぞくと、夫とどこか見たことのある雰囲気の女性が、顔を寄せ合って親密そうに話しています。
娘に手紙を託した「お姉さん」の正体と、2人の関係を察した瞬間、頭が真っ白になり、声をかけることもできないまま店を後にしました。
帰宅してまもなく、先日連絡をくれた友人から着信が……。何かと思って通話ボタンを押すと、友人は「ねぇ、娘ちゃんから私の手紙、受け取らなかった?」と言います。
そのひと言で、すべてがつながりました。店にいた女性は彼女だったのです。学生時代とは雰囲気が変わっていて、一目ではわかりませんでした。
彼女は悪びれる様子もなく、夫とは5年前に一度関係を持ち、最近再び関係を持ち始めたと打ち明けました。何年も音信不通だったのは、5年前の関係を夫に清算されて落ち込んでいたからだそう。
さらに、夫が「子どもが生まれてから夫は私を女性として見られなくなった」「家庭に安らげる場所がない」と言っていた、と続け、最後にこう言ったのです。
「もう彼を解放してあげたら?」
電話の後には、夫との親密な写真が何枚も届きました。中には、不貞行為を裏付けるような写真も……。怒りで手が震えましたが、不思議と迷いはありませんでした。ずっと踏み切れずにいた離婚を、このとき決めたのです。
彼女には「夫の好きにすればいい。今後のやり取りは弁護士を通す」とだけ返信。私はまず、送られてきた写真とメッセージをすべて保存しました。証拠を消されてしまえば、話し合いで不利になりかねません。
続けて弁護士事務所へ向かい、集めた証拠を提示しながら、慰謝料の請求額や親権・養育費の希望条件を整理しました。さらに、夫へ切り出す際の注意点や今後の交渉手順についてアドバイスを受け、万全の準備を整えたのです。
準備が整った日の夜、夫に不倫写真を見せて離婚を突きつけ、弁護士への相談や慰謝料請求の件を伝えると、夫の顔からすーっと血の気が引いたのがわかりました。
夫は床に手をつき、「離婚だけは考え直してほしい。あれは遊びだったんだ」と繰り返し、一番大切なのは私と娘だと訴えました。けれど、幼い娘を不倫相手に会わせ、口止めまでしていた夫の言葉など、もう何ひとつ信じることはできません。
彼女は知らない夫の現在
その後は弁護士に間に入ってもらい、離婚が成立。あわせて、元夫と彼女の双方に慰謝料を請求しました。
彼女は、自分の分の慰謝料は元夫に肩代わりしてもらい、そのまま再婚するつもりでいたようです。けれど、元夫が会社を辞めて契約社員として働いていることも、生活が私の収入で成り立っていたことも、知らなかったよう……。元夫は彼女に、本当のことを話していなかったのだと思います。
元夫が財産分与で受け取るはずだったお金は、その多くが慰謝料と差し引きされる形になり、手元にはほとんど残らなかったようです。彼女の分を肩代わりする余裕など、どこにもありませんでした。
思い描いていた未来が崩れた彼女からは、弁護士を通して「彼を返すから、慰謝料は勘弁してほしい」という申し出がありました。
けれど、今さら返すと言われても困ります。申し出ははっきりと断り、弁護士を通じたやり取りの末、慰謝料を支払ってもらうことで合意しました。
慰謝料を受け取った後、彼女とは完全に連絡を絶ちました。元夫とは、養育費のやり取りだけの関係です。2人がその後どうなったのかは知りませんし、知りたいとも思いません。
振り返れば、なかなか離婚に踏み切れなかったのは、家族の形を自分の手で壊すのが怖かったからかもしれません。今は娘と2人、穏やかな毎日を送っています。自分で選んだこの暮らしを、これからも大切にしていきたいと思っています。
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家族を裏切る不倫は、配偶者の心を深く傷つけるだけでなく、子どもの暮らしや安心まで揺るがしてしまう行為です。そのうえ、不倫相手と子どもを会わせることや、「ママには内緒」と秘密を背負わせること、手紙を運ばせることは、子どもにとって大きな心の負担になりかねません。
子どもは大人の事情を理解できないまま、大好きな家族の間で板挟みになってしまうかもしれません。家族に対して誠実であること、そして大人の問題に子どもを決して巻き込まないこと。それが、親として守るべき最低限の責任ではないでしょうか。
【取材時期:2026年9月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
後、不倫する夫って自分を都合良く見せるけど、何れバレるって考えないのかね