妹が「紹介して!」と大興奮
ある休日、私は学生時代から仲の良い友人と買い物に出かけていました。友人は短い髪にパンツスタイルが定番で、初対面の人から男性に間違われることもあるほど男性的な雰囲気です。
その日の夜、妹から突然メッセージが届きました。
「今日、一緒にいた人って彼氏? すごくカッコよかった!」
どうやら、街中で私たちを見かけたようです。私はすぐに勘違いだと気づきましたが、以前から私の恋人に妙に興味を持つ妹のこと。何となく面倒になり、「ただの友だちだよ」とだけ返しました。
ところが妹は、「彼氏じゃないなら紹介してよ!」とすっかり乗り気。さらに、私が止める間もなく、「また見かけたら自分で声かけようかな」とまで言い始めました。
本当に声をかけ…連絡先まで交換!?
それからしばらくして、友人から「この前、妹さんに偶然会ったよ」と聞きました。
妹の顔は以前、家族写真で見せたことがあったため、友人もすぐに気づいたそうです。話を聞くと、妹のほうから声をかけられ、そのまま連絡先まで交換したのだとか。
私は驚いて、「変なこと言われてない?」と尋ねました。すると友人は笑いながら、「なんか、すごく褒められた。今度ごはんに行きませんかって誘われたよ」とひと言。
その瞬間、妹がまだ友人を男性だと思っているのだと確信しました。
友人には事情を説明しましたが、本人は特に気にした様子もなく、「別に嫌な感じではなかったし、今度会ったらちゃんと話しておくよ」と笑っていました。
「あの人、女性だよ」真実を告げる
数日後、妹からまた連絡がありました。
「あのイケメンと、今度ごはんに行くことになった!」
かなりうれしそうだったので、私はさすがにこのまま勘違いさせておくのも気の毒だと思い、伝えることにしました。
「あの人、女性だよ」
すると、それまで立て続けに届いていた妹からのメッセージがピタリと止まりました。本人としても驚いていたのでしょう。しばらくして届いたのは、「女の人なの?」という短いメッセージでした。
やはり妹は、友人を私の恋人だと思って興味を持ち、恋人ではないとわかってからは、自分にもチャンスがあると思っていたようです。「最初に言ってよ! 恥ずかしいじゃん」と怒られましたが、私は「勝手に彼氏だと思い込んだのはそっちでしょ」と返しました。すると妹も言い返せなかったのか、「……確かに」とひと言。
その後、友人には妹から「勘違いしていました。ごめんなさい」という連絡が届いたそうです。友人も「よく間違えられるから気にしてないよ」と笑って許してくれました。
それ以来、妹からは以前のようにすぐ「紹介して!」とは言われなくなりました。妹にとっても、思い込みだけで突っ走るのはよくないと気づくきっかけになったようです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
イラスト:わかまつまい子