【もしも、こんなことが起きたら?】「トイレに行く」と席を立って30分…実はスマホゲーム!?
※以下は、法律上の疑問を考えるために設定した架空の相談です。

職場に、やたらとトイレが長い男性社員がいます。
「トイレに行ってきます」と席を立つと、30分近く戻ってこないこともあり、最初は「お腹の調子でも悪いのかな」と思っていました。
ところがある日、私もトイレに行ったとき、個室の中からスマホゲームのような音が聞こえてきたんです。
「あれ……もしかしてゲームしてる?」
そう思ったものの、気のせいかもしれません。ですが、あまりにも長いので、思わずコンコンとノックしてしまいました。
すると、しばらくしてから、男性社員が少し慌てた様子で個室から出てきたのです。
そのときは「たまたまかもしれない」と思っていたのですが、後日の飲み会で、本人がこんなことを話していて驚きました。
「最近スマホゲームにハマってて。仕事中もトイレにこもって、30分くらい練習してるんですよ(笑)」
まさか本当にゲームをしていたなんて……。
それ以来、その男性社員が「トイレに行ってきます」と席を立つたびに、どうしても気になってしまいます。
もちろん、トイレに行くこと自体は必要なことですし、「長すぎる」とも言いづらいのですが……。
こちらはその間も仕事をしているので、正直モヤモヤします。
教えてくれたのは…株式会社BestOne 太田垣弁護士

- 株式会社BestOne 弁護士・税理士 太田垣佳樹(おおたがき よしき)さん
東京大学法学部卒業。首都大学東京(現・東京都立大学)法科大学院修了。
2013年司法試験合格、2014年弁護士登録。Arden法律事務所の代表弁護士として、相続・不動産・企業法務を中心に幅広い案件を取り扱う。
2022年より東京都立大学法科大学院非常勤講師を務めるほか、2025年に税理士登録。
結論:勤務中に30分ゲームをすると、その分の給料が支払われなかったり、処分を受けたりする可能性が
犯罪になるわけではありませんが、働く義務(労働契約上の義務)に反します。
勤務時間中に30分ゲームをする行為は、労務を提供する義務に違反しており、その時間分の賃金が支払われなくても、やむを得ません。
懲戒処分も理論上は可能ですが、1回きりであればいきなりの処分は認められにくく、まずは注意・指導が求められます。
勤務中にトイレでゲームをするのはNG?

労働者は、労働時間中は職務に専念する義務を負っています。生理的な必要に基づくトイレの利用はこの義務に反しませんが、トイレにこもって30分ゲームをする行為は、その範囲を明らかに超えています。
なお、労働基準法34条が定める休憩時間については、自由に利用することが認められています。所定の休憩時間内にゲームをすることは何ら問題ありません。問題になるのは、あくまで所定労働時間中である点です。
ゲームをしていた時間の給料はどうなる?
働いていない時間に賃金は発生しません(ノーワーク・ノーペイの原則)。したがって、実際に働かなかった30分に対応する賃金を控除することは可能です。
ここで重要なのは、「働かなかった分を差し引くこと」と、「制裁として賃金を減らすこと」は法的に全く別物だという点です。
制裁として減給する場合は、就業規則の定めが必要で、1回の額や総額に法律上の上限があります(労働基準法91条)。

実際に働かなかった時間を超えて差し引けば、賃金全額払いの原則(労働基準法24条1項)に違反します。また、就業規則に控除の根拠を定めておくことが実務上望ましいといえます。
会社から処分を受ける可能性も

会社が懲戒処分を行うには、あらかじめ就業規則で「どのような行為が処分の対象になるのか」「どのような処分を行うのか」を定め、従業員に知らせておく必要があります。
また、違反した行為に対して処分が重すぎる場合は、不当な処分として無効になることがあります(労働契約法15条)。

実務では、口頭注意、書面注意、懲戒処分と段階を踏むことが定石です。この過程を飛ばした処分は、後に紛争となったときに覆される傾向があります。
「またタバコ休憩?」非喫煙者がモヤモヤ…会社はどこまで制限できる?

喫煙者だけが仕事の合間に何度もタバコ休憩を取っていると、非喫煙者からは「不公平なのでは?」と感じることもあるでしょう。
ただし、喫煙者が追加で休憩を取っているからといって、それだけで違法になるわけではありません。
所定労働時間中の喫煙のための離席は、上記のゲームと同じく、本来は労務を提供していない時間です。
会社は、施設管理権および業務命令権に基づいて、喫煙のための離席の回数・時間・場所を制限することができます。また、改正健康増進法により屋内は原則禁煙とされていますので、この点からも一定の管理が必要です。
ルールを明確にしておくことが大切
職場でのトラブルを防ぐためには、喫煙のために離席してよい時間や回数などを、就業規則や社内ルールで明確にしておくことが大切です。
ルールが曖昧なまま、特定の従業員だけを注意すると、不公平な対応だと受け取られ、別のトラブルにつながることもあります。
非喫煙者にも小休憩を認める方法も

非喫煙者にも同等の小休憩を認める運用を導入する企業が増えています。公平感を保つうえで有効な方法です。
頻繁な離席は指導や人事評価で対応
頻繁な喫煙離席を理由に賃金を控除すること自体は可能ですが、分単位の管理は現実的でないため、実務上は指導と人事評価で対応するのが一般的です。
勤務中のゲームやタバコ休憩、職場のルールを確認しよう
太田垣弁護士によると、勤務時間中にトイレで長時間ゲームをしていた場合、賃金の不支給や懲戒処分の対象となる可能性があるそうです。
また、タバコ休憩についても、喫煙者だからといって自由に何度も離席してよいわけではなく、会社が一定のルールを設けることができるとのこと。
ただし、トイレの利用には体調などの事情もありますし、離席していた時間だけで判断できるものではありません。
お互いに気持ちよく働くためにも、会社側が小休憩や離席についてのルールを明確にし、従業員に周知しておくことが大切ですね。
※一部AI画像を使用しております。