結婚前は優しかった夫・慎一は、娘・舞が生まれてから、実際の育児を妻の美雪に任せきりなのに、周囲には“いいパパ”を演じるようになりました。義母もそんな息子を手放しで褒め、美雪のがんばりは置き去りにされていきます。
やがて美雪は、義母の前で“いいパパ”を演じる慎一に、ついにその嘘を問いただしました。けれど慎一は「母さんが喜ぶんだからいいだろ。親孝行だよ」と悪びれず、「美雪は細かい」と取り合いません。
後日、義母を交えた食事の席では、慎一が大人用のハンバーグを舞に食べさせようとします。美雪がとっさに止めると、慎一は「ほらでた、美雪の神経質!」。味方になってほしい義母までも慎一の側に立ち、美雪をたしなめました。当たり前の心配をしただけなのに、いつのまにか自分が“細かい母親”にされていく——。美雪は戸惑いを深めていきます。
そんなある日、出かけようとした美雪の耳に、玄関の鍵が外から開く音が響くのですが――。
合鍵で現れた義母…思わぬ行動にあ然












ある日、美雪が舞を連れて買い物に出かけようとすると、玄関の鍵が外から開く音がしました。驚く美雪の前に現れたのは、合鍵を手にした義母。義妹の沙恵も一緒で、沙恵は「突然ごめんなさい」と恐縮した様子でしたが、義母は「近くまで来たから舞ちゃんの顔を見に来たの」と、そのまま家に上がり込みます。
上がったとたん、義母は舞の服装から部屋の様子、冷蔵庫の中身までを次々とチェックしていきます。
「離乳食、こんなの使ってるの!?」「作り置きとか、ちゃんとしてる?」——。
美雪は、自分の家で自分の育児を採点されているような居心地の悪さを覚えます。
やがて美雪が鍵のことを尋ねると、慎一が妻に無断で、義母に合鍵を渡していたことが判明。
「勝手に……!!」
自分の知らないところで話が進んでいたことに、美雪は言葉を失いました。
さらに義母は、「慎一は我慢強い」「やっぱり育児は母親がして当たり前」と続け、感謝が足りないと美雪を諭します。実際には、ほとんど育児をしていないのは慎一のほうなのに——。いつのまにか自分が“ダメな妻”にされていく状況に、美雪の戸惑いは深まるのでした。
◇ ◇ ◇
親しい間柄だからと、暮らしに踏み込まれ、良かれという顔であれこれ“採点”されてしまう——。相手に悪気がなくても、踏み込みすぎた関わりは、受けるほうの負担になってしまいます。程度の差こそあれ、美雪さんと似たような経験をしたことがある方も、少なくないはずです。
私たちも、家族の誰かに「良かれと思って」何かをするとき、相手の負担になっていないか、本当に必要なことか、押しつけになっていないか——。家族だからこそ、行動に移す前に一度立ち止まって考えることが大切なのかもしれません。
きりぷち