デリカシーのない義母に、長女がひと言
1年前、息子を出産し、退院した直後の朝、事前の連絡もなく義母がわが家に押しかけてきました。夫は育児休業を取得して家で一緒に過ごしてくれており、突然の来訪に私たちは呆気にとられてしまいます。
義母はもともとプライドが高く、「昔の母親のほうが苦労していた」と何かにつけて若い世代を見下すところがありました。特に溺愛する息子(夫)をとられたような寂しさもあったのか、私に対してマウントを取ってくることがしばしばありました。
義母は部屋に入るなり、抱っこされている生まれたばかりの息子を見て「まあ、ずいぶん小さくて頼りないこと。私の出産のときはもっと立派な子が生まれたものよ」と、いきなり嫌味を口にしました。さらに「それにしても、あなた陣痛のとき大騒ぎしたんですってね? たかが出産くらいで大げさなのよ」と、私の出産の苦労をあざ笑うかのような発言まで重ねてきたのです。
夫はすかさず「母さん、言い過ぎだろ」と言います。どうやら出産後、夫が義実家に報告を入れた際の言葉がきっかけのようでした。夫は「俺は『妻が痛みで叫んで苦しそうで、俺はさすることしかできなかった』って言ったんだ。俺が伝えたのは命がけだったってことだよ。頼むから謝ってくれ」と庇ってくれましたが、義母は反省するどころか「本当のことでしょ? ○○ちゃん(長女)のときは初産でも声を上げずに耐えたから一人前と認めてお祝いを出してあげたけれど、今回は不合格ね。そんな無様な産み方をしたんだから、お祝いなんて1円も出さないわよ」と言うのです。
あまりに非常識な理屈に、私は耳を疑いました。出産祝いとは本来、無事に生まれてきてくれた新しい命への祝福であるはず……。それなのに義母にとっては、「自分のお眼鏡に適った従順な嫁にだけ渡すご褒美」であったようです。そして出産については、「母親としての適性を測る査定試験」と見なしていたよう。「痛みを我慢して産んだ長女のときは合格」「弱音を吐いた今回は不合格で祝い金無し」という、命の誕生を人事評価のように扱う義母に、私は悔しさを通り越してゾッとしました。
夫が真っ青になって「母さん、何を言ってるんだ!? 出産祝いは赤ちゃんの誕生を祝うものだろ! なんで命がけで産んでくれた妻を査定して罰を与えるみたいな言い方をするんだよ!」と激怒しましたが、義母は鼻で笑って「親としての品格がない嫁にお金を出す筋合いはないわ。甘やかすとつけあがるだけよ」と平然と言い放ちました。
歪んだ持論で自分を正当化する義母に言葉を失っていたそのとき、一部始終を静かに見ていた当時3歳の長女が、義母の前にトコトコと歩み寄りました。そして、義母の顔をじっと見つめながら大きな声で「おばあちゃん、いじわるなお口からバイキンが出てるよ! おじいちゃんも、『おばあちゃんはいじわる言うお口をチャックしなさい』って言ってたでしょ! 赤ちゃんがかわいそうだから、おくちチャックして早く帰って!」と言い放ったのです。
長女の頭の中では、日ごろの教えと過去の光景が鮮明に結びついていました。当時読んでいたしつけ絵本の中に「お友だちが悲しくなるような意地悪を言うと、お口に黒いバイキンが寄ってくる」というお話があり、長女はそれを真剣に信じていたのです。さらに3カ月前の帰省時、親戚の悪口を並べ立てる義母に対し、温厚な義父が「お前はいつもそうやって人が嫌がることを言う! その口いい加減に閉じんか!」と激怒した場面を間近で見ていました。幼い長女の澄んだ目には、悪意と嫌味をまき散らす義母の口元が、本当に「バイキンだらけ」に見えたのでしょう。
幼い長女のまっすぐで容赦のないひと言に、義母は一瞬で顔を真っ青にしました。「な、なんてことを言うの……!」と絶句する義母に、夫が「お祝いなんて1円も要らないから、今すぐ帰ってくれ。3歳の子どもにまで『いじわるな人間』だと見抜かれてるんだよ」と冷ややかに言い放ちます。居場所をなくした義母は、バツが悪そうにそそくさと出ていきました。
後日、夫から話を聞いた義父から雷を落とされたようで、反省した義母から夫を通じて謝罪の連絡がありました。それ以来、わが家に余計な口出しをしてくることはありません。しかし、命の誕生を自分の物差しで値踏みしマウントを取るような義母とは、距離を置こうと夫婦で決めました。
理不尽な悪意から母親である私を守ってくれた頼もしい長女にはとても感謝しています。生まれてきてくれた子どもたちを、これからは夫と二人で全力で守り、温かい家庭を築いていこうと心に誓った出来事でした。
著者:北沢真子/30代・主婦。食いしん坊な4歳の娘とわんぱくな1歳の息子のママ。甘いものがやめられずダイエットが続かないことが悩み。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年4月)