私は保育園に務める現役保育士です。日々、子どもの成長と命を預かる仕事としてやりがいと責任を感じながら保育に臨んでいます。子どもを守る立場にある保育園の職員に、新型コロナウイルス感染疑いが出ました。そのとき、園内でおこなわれた話し合いや動きなどを詳しくお伝えします。
職員の感染疑いが判明
園に勤める栄養士が、年に一度の定期健診でおこなったレントゲン写真に肺炎の特徴が表れており、数日前から弱い咳が続いている事実を知った医師が、急きょ感染症医療機関での新型コロナウイルス感染症の検査を促したという情報が夕方、園長から私に入ってきたのです。
その時間はちょうど主幹保育士が不在で、副主任である私に園長から相談がありました。園長は「栄養士は給食やおやつの調理もしているので、検査結果が陽性であれば感染爆発を起こしてしまうかもしれない」と非常に慌てていました。
園長と意見の食い違い
園長は「混乱をできるだけ避けるために、職員への伝達も限定した人数にしたい」と言い、それについてどう思うか意見を求められました。私の意見は真逆でした。自覚がないために感染を広げてしまう行動をとることにリスクを感じていた私は、少しでも早く全職員に周知するべきではないか。そして保護者にもすぐに伝えていくべきではないかと答えました。
すると、職員への周知はできたとしても、まだ、疑いの段階で保護者への周知をする決断をするには議論が必要だという返答が園長からありました。
深夜の緊急職員会
役員の話し合いでは議論が進まないということで、急きょ招集がかかり、職員会が開かれました。その場でもう一度私の意見を職員に伝えましたが、保護者への周知はリスクではないかという意見もありました。
私は、「現在妊娠中の家庭もあります。祖父母と同居している家庭もあります。持病を持っている子ども、保護者もいます。新型コロナウイルスの感染者数が増えてきている今は、疑いの段階でも伝えていくべきではないかと思います。陰性ならばよかったで済ますべきことだと思います」と職員に伝えました。
しかし、その職員会のときにはすでに夜の11時を回ったところで、夜間の家庭連絡は難しく、明日には検査結果も出るので、それから判断しようということで議論を終えました。
結果として検査結果は陰性だったので、ほっとした職員一同でした。そして今回、危機感の違いにも気付くことができました。自分がキャリアかもしれないという自覚を持つだけで行動は変わっていくように思います。今まで以上に検温や消毒など感染予防に敏感になっている現場ですが、何よりも個人の自覚が必要になると思いました。
※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、一部店舗では臨時休業や営業時間の変更などを実施している可能性があります。商品購入の際には自分だけではなく周りの方、スタッフの方への感染防止対策を十分におこない、安全性に配慮していただくなどご注意ください。外出を楽しめる日が1日も早く訪れますように!
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イラスト/ののぱ
監修/助産師REIKO
著者:藤田直樹
10歳長女・6歳長男・2歳次男の3人を子育て中のパパ。現役男性保育士ならではの保育経験や子育て経験を執筆している。