ベビーカレンダーは、経産婦さん703名を対象に『コロナ禍における第2子以降の妊娠』についてアンケート調査をおこないました。調査・分析の主なポイントは以下の通りです。
新型コロナ流行前に第2子以降を希望していたママのうち約32%が妊娠を延期または諦めることに
2016年5月23日〜2019年5月23日に出産し、現在妊娠中ではない経産婦さん703名に、新型コロナウイルス感染症が流行する前、2人目以降のお子さんの妊娠を希望していたか質問したところ、「とても希望していた」24.4%、「まあ希望していた」23.3%という結果に。新型コロナ流行前は、全体の約5割(334名)の経産婦さんが第2子以降の妊娠を希望していたことがわかりました。
続いて、第2子以降の妊娠を希望していた経産婦さん334名に、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、妊活の状況や、今後の妊娠への考えに変化があったかを尋ねたところ、「とても変化があった」15.4%、「まあ変化があった」22.0%と、あわせて約37.4%(124名)が変化があったと回答しました。
さらに、変化があったと回答した124名に、妊活の状況や今後の妊娠への考えの変化について具体的に聞いたところ、「妊活や不妊治療を一旦休止した」57.2%(71名)、「妊娠を諦めることにした」22.6%(28名)、「妊活や不妊治療の開始を延期した」6.5%(8名)、「その他」13.7%(17名)という結果に。
この結果から、新型コロナウイルス感染拡大の影響により妊活や不妊治療を休止・延期した方および妊娠を諦めた方は、第2子以降希望者の約32%(調査対象者703名のうち約15%)にのぼることが明らかになりました。
新型コロナの影響により第2子以降の妊娠を延期または諦めた方に具体的な理由を尋ねたところ、下記のようなコメントが寄せられました。
●妊婦になると薬が飲めないし、胎児への影響が怖いから。
●新型コロナウイルスの特効薬やワクチンがないなかで妊娠•出産することは、母体にも生まれてくる赤ちゃんにもリスクが大きいと思ったため。
●妊娠中に何かあったら怖いので、新型コロナウイルスが収束するか、きちんとした治療方法が判明するまでは妊娠したくないと思ったから。
●妊婦や新生児が新型コロナウイルス感染症にかかった場合の治療法や症例がわからず、命に関わるリスクが大きい。今は妊娠・出産の医療体制が不安定で不安が大きいため。
●立ち会い出産や、産後入院中に家族の面会ができないのはネックだと考えた。また、病院がコロナ対応で忙しく、産科にリソースが足りないのではないかと不安なため。
●妊婦が新型コロナウイルスに感染するリスクと、妊娠した場合に子連れで健診に行くことへの不安、出産時の立ち会いや面会ができないことへの不安があるため。
●経済的な不安が増えたため。
●住んでいる地域で感染が広がりつつあったため、3月初旬から地方の実家に私と息子だけで帰省。4月から2人目の妊活を始めるつもりだったが、そもそも別居になってしまったので妊活を延期せざるを得なかった。
●新型コロナの影響で保育園が休園になり、自宅で子どもを見ながら在宅ワークをしなければいけなくなった。そのストレスが大きく、もう1人子どもがいたらもっと大変なのだろうと絶望的な気持ちになったため。
新型コロナウイルス感染症の治療薬やワクチンが完成していない現段階では、「妊娠中に感染するリスクや胎児への影響について不安があるため、新型コロナが収束するまでは妊娠を避けたい」という声が多く見られました。
そのほか、新型コロナの影響によって収入が減少したことで経済的な不安を感じた方や、パートナーと一時的に別居することになり、妊活を休止せざるを得ない状況という方も。なかには在宅ワーク×自宅保育により大きなストレスを感じ、子育て自体にマイナスな感情を持ってしまったという方もいました。
このままコロナ禍が続けば、2021年(令和3年)は出生数が70万人を割る可能性も!?
厚生労働省から発表された2020年3月の出生数の速報によると、オリンピックイヤーであったことも影響したのか、大幅な減少などはなく昨年とほぼ横ばいという数字でした(※1)。
一方で来年はどうなるでしょうか。ベビーカレンダーでは今回の調査結果から、2021年の出生数を 705,024人(※2)ほどになる可能性があると推測しました。コロナ禍によって直近の妊娠を控える方が増える状況が今後も続くようであれば、70万人を割る可能性もあるかもしれません。ほかにも、2020年3月以降、新型コロナの影響で結婚式を延期したことにより、妊娠計画を変更する方の増加も懸念されます。
※2)2021年の出生数予測
近年の出生数は毎年平均約4%減少 → 2020年の出生数の推計は829,440人となる
●平成30年(2018年)の出生数では、第1子の割合が46%、第2子以降の割合が54%だったので、2020年の出生数推計に当てはめると、第2子以降=447,898人。
第2子以降の妊娠を控える人が15%だと仮定すると、2021年の第2子以降の出生数は上記から67,185人ほどマイナスとなる可能性がある。
●今回のアンケート調査は、第2子以降の妊娠について調査しているが、第1子の妊娠においてもコロナ禍により同じ心理状況が働くと仮定する。第1子の割合46%に2020年の出生数推計に当てはめると、第1子=381,542人。
第1子の妊娠を控える人が15%だと仮定すると、2021年の第1子の出生数は上記か57,231人ほどマイナスとなる可能性がある。
●第1子、第2子以降をあわせると、合計124,416人ほどマイナスとなる可能性があり、2021年の出生数は705,024人ほどになる可能性が考えられる。
産院さんへ独自取材!2020年5月の初診妊婦数は前年比6%減!?心細さを訴える妊婦さん多数
ベビーカレンダーは、3軒の産院(※)に独自取材をおこない、現場の声を伺いました。
(※)協力産院:医療法人愛和会 愛和病院(埼玉県)、医療法人成育会 なりもとレディースホスピタル(大阪府)、白子ウィメンズホスピタル(三重県)
新型コロナウイルスが本格的に流行し始めた2月下旬ころから、妊娠を控える方や妊活を延期した方がいた場合、産院の初診妊婦数が減る可能性が考えられます。医療法人愛和会 愛和病院(埼玉県)では、2019年5月の初診妊婦数が267人だったのに対し、2020年5月は250人と、約6%減少したといいます。また、初診で訪れた妊婦さんからは、健診への付き添いができないことへの不安、心細さに関する訴えが多く聞かれたとのことです。
医療法人成育会 なりもとレディースホスピタル(大阪府)、白子ウィメンズホスピタル(三重県)では、5月に初診に訪れた妊婦さんから「新型コロナウイルス感染による胎児への影響」について不安の声が多かったようです。
今回の新型コロナウイルス感染拡大によって、来年の出生数への影響が予測されるどうかを尋ねたところ、下記のコメントが寄せられました。
●まだ先行指標にも傾向は現れておらず具体的に予測できるほどではありませんが、2011年の東日本大震災の際も、その翌年は分娩件数が減少しました。しかしその翌年は逆に2011年を上回る分娩件数だったことから、今回のような社会不安が妊娠・出産に直接与える影響は大きいとは感じています。(医療法人愛和会 愛和病院 上里忠司院長)
●妊活を控える方が増えている傾向にあるので、来年の出産数に影響を及ぼすと思われます。(医療法人成育会 なりもとレディースホスピタル 安田進太郎院長)
各産院からも、今回の新型コロナウイルス感染拡大が今後の妊娠・出産に少なからず影響をもたらす可能性があるとの声がありました。とはいえ、妊娠を控える人が今後も増加していくとは限らず、事態が収束に向かうにつれて妊娠・出産に前向きに臨む方が増えていく可能性も考えられます。
延期せず2020年内に妊娠を希望している人も。「高齢出産になるため少しでも早く授かりたい…」
2016年5月23日〜2019年5月23日に出産し、現在妊娠中ではない経産婦さん703名に、新型コロナウイルス感染症が流行中の現在、2人目以降のお子さんの妊娠を希望しているか質問したところ、「とても希望している」14.7%、「まあ希望している」24.4%という結果に。新型コロナ流行前は約5割の経産婦さんが妊娠を希望していましたが、流行中の現在は約4割にとどまりました。
新型コロナ流行中の現在、妊娠を希望していると回答した271名のなかには、「妊娠希望時期を延期せず、2020年内に妊娠を希望している」という方が77名いました。年内に妊娠を希望する理由を聞いたところ、下記のようなコメントが寄せられました。
●高齢出産や不妊治療を受けている関係で、授かれるならいつでも、という思いがあるから。
●新型コロナウイルスは収束傾向にあるし、妊娠しにくい体質のため、時期をどうこう言うのではなく、妊娠に向けて常に前向きな気持ちでいるから。
●コロナ関係なく、上の子と2歳差でできるだけ早く授かりたいから。年齢が高齢出産へ近づいており心配だから。
●育児休業中に妊娠したいため。高齢出産になるので早く授かりたいため。
●現在育休中で来春に職場復帰の予定だが、復職をせず続けて2人目の産休に入りたいと思っているから。
「自身の年齢や体のことを考えるとなるべく早く妊娠・出産したい」という声が最も多く、次いで「上の子どもとの年齢差や仕事復帰などのタイミングを考えているため延期したくない」といった声が多く見られました。
年齢が上昇するにつれて妊娠・出産に伴うリスクも上昇するとされているなか、妊活中の方、特に不妊治療中の方は少しでも早く授かりたいという思いが強く、未だ見通しが立たないコロナ禍の収束を待つことが難しいという方もいるようです。
「ウィズ・コロナ」時代の妊娠・出産・育児をサポートするために
今回の調査結果から、新型コロナウイルス感染拡大が今後の妊娠・出産にも大きく影響することがわかりました。新型コロナウイルスが収束し、安心して妊娠・出産できるようになるまでは延期する考えの方もいらっしゃるようです。
この状況が長く続けば、来年の出生数にも大きく影響する可能性も考えられます。しかし一方で、コロナ禍のなか不安や葛藤を抱えつつも、妊娠・出産に前向きに臨む方も少なくありません。
各産院においても、少しでも妊婦さんの不安を解消するため、さまざまな対策が講じられています。たとえば受付に防護シートを設置、待合室の椅子の間隔を広げる、換気を徹底、オンライン診療を実施するなど、最大限の感染対策をおこなっています。
また、このような状況で不安を抱えている妊婦さんのお役に立てればと、ベビーカレンダーでは、お家で受講できる「動画で見る両親学級」を制作いたしました。そのほか、新型コロナウイルスに関する情報をまとめて確認できるコーナーや、無料で助産師や管理栄養士に相談できる「専門家に相談」のコーナーもございます。ぜひ、あわせてご活用ください。
今後も、新型コロナウイルス感染拡大の第2派、第3波の可能性に常に備えていく必要があります。ベビーカレンダーは、コロナと共生することを前提とした「ウィズ・コロナ」時代において、妊娠・出産・育児中のママたちへ信頼できる情報をお届けし、サポートしていきたいと考えています。
<調査概要>
調査対象:株式会社ベビーカレンダーのサービスに会員登録している経産婦の方(2016年5月23日〜2019年5月23日に出産)のうち、現在妊娠中ではない女性
調査期間:2020年5月23日(土)~2020年5月24日(日)
調査件数:703件