田舎で生まれ育って嫁いだ義母は、しきたりや慣習、常識をとても大切にする人。結婚が決まった際も結納、結婚式に呼ぶ親戚などいろいろと口出しが多く、特にこだわりのない私の実家は義母の言いなりでした。冠婚葬祭は人生の節目で大事なことだと思ったので義母の「常識」に合わせたのですが、親戚付き合いするなかで納得できないことも多々ありました。
「うどんが出ない」事件
結婚したあと間もなく義母のお姉さんのご主人が亡くなり、私もお通夜と葬儀に参列しました。それまであまり親戚の立場で葬儀に出たことはなかったのですが、葬儀場でおこなう一般的な葬儀だったと思います。
その後、義母は新盆にお線香を立てに行ったそうなのですが、あるときわが家にきて夫と話している内容を聞くと、「新盆にうどんが出なかった」とご立腹でした。なんでも、義母の住んでいる地域では新盆に親類が訪ねてきたらお昼にうどんを出すのが常識なんだとか。
義叔母の嫁いだ地域ではお昼ごはんまでは出さないようで、昼食をごちそうになれずに追い出されたと怒っていたようです。その地域によってならわしは違うだろうに……と呆れてしまいました。
「金額が足りない」事件
わが家に長子が生まれたとき、義姉夫婦がお祝いをくれました。義姉夫婦は遠方に住んでいてお酒が好きなので、私たちが住んでいる地域の地酒をお返しに贈ることに。「お返しはもらった金額の半返し」というのは知っていたのですが、さほど気にせずに金額よりも義姉の好みに合いそうなお酒を夫と相談しながら選び、贈りました。
すると、義母から「お返しの品の金額が足りない」と苦言の電話が……。義姉から何をもらったのか聞き出して金額を調べたのかと思うと、うすら寒くなりました。
冠婚葬祭の決まりごとを知るきっかけに
その後も、お中元やお歳暮、年始のあいさつ、法事の仕方など、事あるごとに細かいツッコミが……。自分の常識を世界の常識と思っているので、的外れなことで怒っていたりして共感できないことも多いです。
しかし、私の実家はそういった慣習に疎く親戚付き合いも希薄だったため、今まで知らなかった冠婚葬祭の決まりごとを学べてよかったと思う面もあります。
私の実家はそういった慣習にこだわりがないので、義母の言うしきたりに反発を覚えることなく受け入れています。細かいので困ってしまうこともありますが、衝突せずに済んでほっとしています。
原案/沢田真紀子
作画/やましたともこ