「横隔膜ヘルニア」という先天性疾患を抱えて生まれたお子さんを持つママの体験談をお届けする連載企画です。横隔膜ヘルニアとは、本来胸とおなかの臓器を隔てている横隔膜に生まれつき穴が開いており、その穴からおなかの中の臓器が胸の中に出てきて心臓や肺を圧迫してしまう病気。
おなかの子が横隔膜ヘルニアであると診断された妊娠中から出産までのできごとやママが感じた不安、生まれたお子さんの様子やその後の治療についてご紹介していきます。
3人目を妊娠中、おなかの子が横隔膜ヘルニアと診断され、こども病院に転院することになった私。産後の処置をスムーズにおこなうため、普通の妊婦健診と併せてさまざまな検査がおこなわれました。これらの検査は妊婦健診の助成券が使えず、思いのほか痛い出費となりました。
胎児の状態を見るため、母体ごとMRI
こども病院に転院してすぐ、おなかの子の横隔膜ヘルニアの程度(横隔膜に空いた穴からどれくらいの臓器が胸に脱出しているか)を確認するため、MRIの検査を受けることになりました。
もちろん、胎児だけ検査というわけにはいかないので、私ごとMRIに入り、検査を受けることになります。胎動が止まったタイミングでしか撮れないということで、検査はおよそ1時間にも及びました。
血液検査やエコーもやり直し
それまでも何度かこども病院でもエコーは受けていましたが、改めておなかの子に心臓の合併症がないか見るため、MRIのあとに念入りなエコーがおこなわれました。また、おなかの子は眠らせた状態で帝王切開での出産ということに決まったため、前の病院ですでにおこなっていた私の血液検査なども再度おこなうことに……。
待ち時間もかなり長く、検査自体も長時間に渡り、すべての検査を終えた私はぐったりしながら会計に向かいました。
検査で疲れ果てた私に衝撃の会計
会計窓口に呼ばれほっとしたのもつかの間、その金額を見て絶句しました。普段、妊婦健診は高くても数千円なのに、今回の領収書には数万円の金額が記されていました。
先ほどのMRI、エコー、血液検査はいずれも胎児のためのものですが、この段階での検査自体は母体である成人女性の私におこなわれたもの。さらに、妊婦健診の内容とも外れることから、助成券を使うこともできず、3割負担の金額を支払わなければならなかったのです。
胎児の病気は意外とお金がかかる
私の住む自治体では、新生児の医療費はかからないようになっていますが、妊婦に関しては胎児の状態がどうであろうと妊婦健診の助成券のみです。転院時の紹介状や、片道1時間以上かかるこども病院への交通費ももちろん出ません。
わが家の場合、上の子2人を預けて妊婦健診に向かうこともあったので、その一時保育料なども含めると、妊娠中はかなりのお金がかかりました。
子どもの医療費は自治体の補助があるという認識だった私にとって、胎児の病気による医療費は盲点でした。先天性疾患の子を持つと、産後も入院時の被服費(衣類持ち込み不可の病棟で用いるおむつなどの費用)やお見舞いの交通費など、さまざまな出費があります。出産による出費以外は医療費控除や高額療養費などを使えるほどではない金額でしたが、それでも毎月数万円の負担は地味にきついものがあったので、妊娠時から何かしら補助があると助かるなと思いました。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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監修/助産師REIKO
著者:岩崎はるか
2女1男の母。両実家とも遠方のためワンオペ育児中。先天異常の影響で肺が片方しかない医療ケア児を含む3人の子を育てた育児体験談のほか、大学院まで学んだ食についても執筆。