「横隔膜ヘルニア」という先天性疾患を抱えて生まれたお子さんを持つママの体験談をお届けする連載企画です。横隔膜ヘルニアとは、本来胸とおなかの臓器を隔てている横隔膜に生まれつき穴が開いており、その穴からおなかの中の臓器が胸の中に出てきて心臓や肺を圧迫してしまう病気。 おなかの子が横隔膜ヘルニアであると診断された妊娠中から出産までの出来事やママが感じた不安、生まれたお子さんの様子やその後の治療についてご紹介していきます。
息子の呼吸補助が人工呼吸器から酸素吸入器に替わった段階で、こども病院から「軽い風邪程度ならこども病院までこないで普通の小児科で大丈夫」と言われました。しかし、最初に行った病院は明らかに困り顔。信頼できる今の主治医に出会うまでは、ずいぶん時間がかかりました……。
近所の小児科は困り顔、さらに容態悪化
風邪気味の息子を最初に連れて行ったのは近所の小児科でした。受付の女性は酸素吸入器をつけた息子を見ると困った顔をして、「紹介状はありますか?」とひと言。こども病院から「もう普通の病院で大丈夫」と言われた旨を説明し、母子健康手帳やお薬手帳でこれまでの状況も説明しましたが、医師には「心配ならこども病院に」と告げられました。
薬を出されたものの改善せず、2回目の通院でもまた同じ薬を処方されて「もう少し様子を見ましょう」と言われた晩に、息子の容態が悪化。再びこども病院で入院となってしまいました。
普通の病院でいいの? こども病院に相談
息子が再入院となり、近所の小児科で診てもらうことに不安を抱いてしまった私。「やはりある程度の専門性は必要なのでは?」と思い、こども病院に相談して、こども病院の循環器内科から独立した小児科医を紹介してもらいました。ところが退院後にその病院に電話をすると、まず一度、診察時間内に健康な状態の息子を連れて紹介状を持ってこないと、その後の診察はできないとのこと。
しかし、退院後の息子はまだ体が弱っており、健康な状態とはいえません。とはいえ、早く主治医を決めないと、また息子の体調が悪くなったときに困ってしまいます。そのため、私だけで行く、あるいは診察時間外に行けないかと相談してみましたが、そういった対応は難しいようで受け入れてもらえませんでした。
主治医が決まらないまま、再び風邪
結局、こども病院から紹介された病院には行く気になれず、主治医が決まらないまま不安な日々を過ごしていると、息子が再び風邪を引いてしまいました。どこに行こうか迷った私は、今の家に引っ越す前に上の子たちが通っていた小児科に行くことに。
少し距離のある病院ではありましたが、通えない距離ではありませんでしたし、丁寧な診察で評判な名医です。この病院への紹介状がなかったので不安でしたが、電話で相談すると「母子健康手帳とお薬手帳があれば大丈夫です」と言っていただけました。
やっと見つけた! 信頼できる主治医
病院に着いて看護師さんにこれまでの状況を話すと、すぐに息子の血中酸素濃度を測ってくれました。診察では息子の状況をしっかり見たあと、別室で吸入治療をおこない、翌日にもう一度様子を見ることになりました。
正直、長時間に及ぶ診察に加え翌日もということで私の負担は大きかったです。しかし、「お母さんも連日で大変だと思うのですが、どうしても心配なので診させてください」と申し訳なさそうに言う先生に、「この人だ!」と心が決まりました。
医療的ケア児の息子の主治医探しは一筋縄ではいきませんでしたが、私はお医者さんの専門性よりも人柄が重要な気がしました。今の主治医に診てもらうようになってからは「念のため」の診察も多く、病院に行く日は格段に増えましたが、大事に至ることはなくなったので本当によかったです。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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監修/助産師REIKO
著者:岩崎はるか
2女1男の母。両実家とも遠方のためワンオペ育児中。先天異常の影響で肺が片方しかない医療的ケア児を含む3人の子を育てた育児体験談のほか、大学院で農学を学んだ経験から食についても執筆。