性教育アドバイザーとして活躍し、とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会代表理事や『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も、男の子も女の子も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)の著書を出版されている、のじまなみさんが、男の子も女の子も知っておくべき「生理」の伝え方について教えてくれました。
お母さんの生理をとおしてたくさんのことを伝えられる
性教育の絶好のチャンス
「生理の日は子どもとお風呂に入らない」というお母さんが意外にもたくさんいらっしゃいます。なかには「汚いから一緒に入るのはやめようね」と伝えている方もいらっしゃるようです。
私は、これはもったいないことだなぁと感じています。
生理の日は絶好の性教育のチャンスです。女性の体のこと、男性の体との違い、命の誕生の話……様々なことを「生理」をきっかけに教えることができます。特に一緒にお風呂に入る年齢のお子さんは性教育の適齢期(3歳~6歳)の子が多いでしょうから、お母さんから直接聞ける生理の話をどんどん吸収してくれるのではないでしょうか(といっても、この年齢ですからすぐ忘れるし理解度も低いですが)。
生理の話というと、どうしても「女の子に教えるもの」というイメージがあります。もちろん、これから初潮を迎える女の子にはぜひ伝えておきたいものですが、ぜひ男の子にも同じように生理について話していただきたいと思います。自分と異なる性について学ぶことは、異性を尊重する心を育みます。クラスの女のお友達に「お前、生理だろ! 汚ねえな!」と冷やかしたり、大人になった時に「生理でイライラしてるの?」などと思いやりに欠ける発言や発想をしないように、子どものうちから生理について正しい知識を伝えておきましょう。
また女の子であっても「生理は恥ずかしいもの」「生理は汚い」といったネガティブなイメージに偏りすぎないように、そして女性同士で「生理痛は甘え」などと他者を思いやれない考え方にならないように、生理の多様性についての理解も深めておきたいと思います。
生理は「赤ちゃんの卵のベッド交換」の日
私が保護者の方におすすめしている「生理」の説明の仕方をご紹介しましょう。
――女の人は1ヶ月に1個、卵巣から「卵子」が出てくるんだよ。お母さんのお腹の中の「卵子」と、お父さんのおちんちんから出る「精子」が出会って「受精」すると、「受精卵」、つまり赤ちゃんの卵になるんだよ。
赤ちゃんの卵を優しく迎えるために、お腹のなかの「子宮」ではふかふかの「ベッド」を用意しているんだけど、卵子と精子が出会わないと、このベッドは使わなくなってしまうんだ。
だから、使わなくなったベッドを1ヶ月に1度、経血として体の外に出して、子宮ではまた新しいふかふかのベッドを作るんだよ。これが、生理の仕組み。
生理は、『赤ちゃんの卵のベッド交換』なんだね!」
大人でも「へぇ~そうなんだ!」と思う方もいるかもしれません。子どもには少し難しい説明ですが、成長するにつれ理解度が高まっていくので問題ありません。幼いうちはお母さんの生理がくるたびにぜひ話してあげてください。
生理のネガティブなイメージはなるべく払拭して
快適な生理ライフを送ってもらいたい
だいたいの女の子は10~13歳頃に初潮を迎えます。「血が出る」と聞くと「痛そう」「急に出血するの?」「水泳の授業はどうしよう」など、さまざまな不安が募るものです。ですから親の口から「生理は体にとって大切で、必要なこと」と伝えておきましょう。
そしてできれば、初潮を迎えたらお祝いをしていただきたいと思います。と言っても、子どもの頃「父親に言わないでと言ったのにお赤飯を炊かれた」など嫌な思いをした方もいらっしゃるかもしれません。ですので、お祝いとして「これで大人の仲間入りだね!」という言葉を伝えてはいかがでしょうか?「これから心も身体もどんどん大人になっていく節目だね、おめでとう!」と明るく伝えることで、少しでも生理に対してポジティブなイメージを持ってもらえればと思います。
そして、初潮を迎えたら伝えていただきたいことがもう一つ。それは「あなたの体は赤ちゃんがつくれるようになった」ということです。小学生であれ中学生であれ、妊娠する可能性は決してゼロではありません。「うちの子に限って……」という思いは一旦わきに置き、お子さんのためにもしっかり伝えるようにしましょう。
なお、最近では「汚物入れ」という言葉より「サニタリーボックス」という呼称が一般的になってきているように、生理について「汚い」と思わせるような表現を避ける傾向があります。これはとても大切なことで、たとえばお子さんの経血が下着やシーツなどに付いてしまったときもなるべく「汚い」という表現は避けたいものです。「血が付いちゃったから手洗いしてね」くらいニュートラルな言葉をチョイスするよう心掛けてみてください。あわせて、生理の重さは人それぞれであること、生理について不安なことがあれば親や保健の先生、信頼できる大人に何でも聞いてほしいと伝えましょう。
女の子は長い付き合いになる「生理」をなるべく肯定的に捉え、少しでも生理ライフの負担が軽くなるように、男の子は女性の体に起こる神秘的な現象を尊重し思いやれるように、お母さんの「生理」を通してぜひたくさんのことをお子さんに伝えていただければと思います。
イラスト:おぐらなおみ(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』より)
※本稿は『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)からのじまなみさんに加筆・再編集いただきました。