ベビーカレンダーでは、「子どもがいるっていいな」と思えた瞬間について、実際のママへのインタビューをスタート。今回は、専門家ライターとして活躍している助産師の榎本さんにお話を聞きました。
榎本美紀さん
2001年に助産師免許取得後、大学病院等の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。母乳育児支援の国際ライセンスである国際ラクテーションコンサルタントとして、地域の母乳育児を支援しています。自身も一児の母として奮闘中。
起業後に結婚&妊娠
ー助産師さんっていうと「赤ちゃん大好き!」「子ども大好き!」って方が多いイメージですが、榎本さんはいかがですか?
【榎本さん】
私も20代前半のころはそんな感じでした。でも、助産師の仕事をしていくうちに仕事自体にやりがいを感じて、30代になったころには「あれ? 私、このまま結婚も出産もしないのかも」と思ったり(笑)。ちょうどそのころ、出産後の退院してからのケアが重要だと思うようになってきたこともあり、訪問型の助産院の開業を決めました。
ーじゃあ、結婚と妊娠は開業後だったんですね。
【榎本さん】
はい。まったく考えてなかったんですが、縁あって夫と知り合い結婚することになりました。でも、大学病院にいたころは朝5時に家を出て、夜10時に帰ってくるというのが日常。夜勤もあったので、出会いのきっかけもあまりなかったし、忙しくて付き合っても長続きしなかったかもしれないので、私にはいいタイミングだったんだと思います。妊娠したのは36歳。「私にも妊娠や出産があるんだ!」って思いました。
「助産師として〇〇すべき」という気持ちが強かった
ーやっぱり仕事と自分の妊娠・出産・育児は違いましたか?
【榎本さん】
そうですね。いろいろ知識があるだけに、「ちゃんとしなきゃ」とか「こうしなきゃ」とか思っていました。妊娠中は、体重を増やさないために毎日3〜4時間歩いて、スニーカーを1足潰したほどです。真面目すぎる妊婦だったと思います。
出産の時も胎児の心拍モニターで赤ちゃんが元気なのを確認しながら、自分で考えていきんだりしてましたね。
産後も「自分が母乳相談をやっているからには完母にしなきゃ」という思いが強かったんです。「育児用ミルクを足したほうがいいんじゃない?」という周りの人たちが全員敵に思えたときもありました(笑)。「邪魔しないで!」って。
私が近所で育児用ミルクを買っているのを、もし母乳相談に来ている人に見られたらどうしよう…とかそんなことまで考えたこともありました。実際は、見られたからって何かあるわけじゃないんですけど。
最終的に完全母乳にできたんですが、そこまでする必要なかったと思います。もっと穏やかに見守ってよかったなって今になって思います。
ーそんなに真面目だったんですね。
【榎本さん】
子どもを産んだのが37歳だったので、最初は2人子どもつくるなら、40代になったらすぐに子ども生まなきゃと思ってました。でも、子どもを生んで育てて思ったのは、両立はやっぱり大変。2人目も欲しいと思ったりもしたけれど、ひとりでもいいかなと思えるようになりましたね。今は2人目は自然な流れに身を任せています。
助産師の友だちで、年子で3人産んでるママを見ると「神だな」って思います(笑)。
娘は仕事を根詰めてやってしまう私の唯一のスイッチ
ー子どもがいてよかったなと思う瞬間ってどんなときですか?
【榎本さん】
私は子どもができる前は、この仕事が好きだからこそ、休みも返上で朝から晩まで要望があればついつい仕事をしてしまい、疲労で体調を崩し、仕事とプライベートの区切りがなくなりがちでした。
子どもが生まれてからは、時間の使い方がだいぶ変わったと思います。子どものお迎えの時間があるから、仕事も区切りをつけられるようになりました。気持ちの切り替えもできるようになったと思います。
あと、保育園にお迎えに行ったとき、「ママ」って笑顔で駆け寄ってくる娘を見るのがやっぱりうれしい! その瞬間に仕事モードからママモードにカチッと切り替わる感じがします。本当に不思議。でもそれが心地いいんですよね。
忙しさからバタバタしたり、イライラしてしまったりすることがあっても、お迎えのときに笑って会えたらリセットできる。子どもの笑顔には、自然にそういうオンオフができるパワーがある気がします。だからこそ、体調や精神的にもゆとりができて、仕事も娘や家族と過ごす時間も楽しむことができているんだと思います。
子どもがいることで仕事とプレイベートの切り替えがじょうずにできるようになった榎本さん。榎本さんと同じように「仕事が大好き。でも、子どもはどうしよう?」と思っている女性たちにとって、とても参考になるインタビューになりました。榎本さん監修の記事もぜひ読んでみてくださいね。