両親が相次いでガンに…。父の亡き後すぐに妊娠した息子は存在自体が希望の光

2021/03/25 22:15
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ベビーカレンダーでは、「子どもがいるっていいな」と思えた瞬間について、実際のママへのインタビューをスタート。今回は、専門家ライターやライブ配信で活躍している助産師の高杉さんにお話を聞きました。

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高杉絵理さんとお子さんの画像

 

ベビーカレンダーでは、「子どもがいるっていいな」と思えた瞬間について、実際のママへのインタビューをスタート。今回は、専門家ライターやライブ配信で活躍している助産師の高杉さんにお話を聞きました。

 

高杉絵理さん

看護師、助産師、保健師の資格を取得。国際ラクテーションコンサルタント。総合周産期母子医療センターの産科やNICU、産科クリニックで経験を積む。現在は世田谷区の保健センターで妊婦さんやママたちの相談業務に携わる。助産師にオンラインで相談できる「助産師サロン」も運営。自身も1児の母として育児に奮闘中。

 

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コロナ前はワンオペ育児。今では「家族」を実感できるように

ーちょうど2才になるお子さんがいるそうですが、コロナ禍での育児は大変でしたか?

 

【高杉さん】
もちろん大変なこともあったんですが、コロナがきっかけでうちは家族の時間が増えました。私は昨年春に仕事復帰する予定だったんですが、緊急事態宣言で延長になり、夫もリモートワークになり、1LDKに家族3人。最初はどうなるんだろうと思っていたんですけど。

 

それまでは夫は仕事が忙しく、家族と関わるのは土日だけ。平日はお風呂に入れるどころか、私と息子が寝てから帰ってくるような毎日だったんです。それが、夫がリモートワークになったら、通勤時間もなくなって、ごはんも一緒に食べられるようになって、お風呂も子どもと一緒に入れるようになりました。私も子どもが小さいうちはどこか諦めていたところもあったんですが、「パパがすごく関わってくれる家庭ってこんな感じなのか。ちょっといいな〜」なんて(笑)。

 

子どももパパと一緒にいる時間が増えると慣れきたのか、今では「公園に遊びに行くのはパパ!」になっています。リモート会議の間に「1時間だけ公園行くか」と言って、子どもを遊びに連れて行ってくれたりと格段にパパ力がアップ! コロナがきっかけで、基本ワンオペ育児だった我が家もだいぶ変わりました。

 

息子は父の代わりに私たちの元にきてくれた天使

ー自分の子どもが欲しいと思ったきっかけは何かあったんですか?

 

夫は中学生ときの同級生。ずっと友だちのまま34才のときに、交際0日で結婚することになったんです(笑)。当時私は大分で仕事をしていたので、結婚後に仕事を辞めて夫の住む東京に行く予定でいました。ところが、その直前に私の母の乳がんが発覚。当時父は大阪に単身赴任していたので、一人暮らしの母の闘病生活を私が支えることにしたんです。結局夫とは約1年くらい別居生活になりました。

 

その後、母の病気が快復し、結婚2年目からようやく夫と一緒に暮らすように。私も東京で仕事をするようになって、毎日夫婦2人で充実した生活を送っていました。「子どもは来年くらいかな?」「そうだね」なんて話していたころに突然、今度は父が末期がんで余命1カ月と宣告をされました。

 

余命宣告されたあとに父に言われた忘れられない言葉があるんです。「さみしがらなくていいよ。またすぐに会えるから。絵理のところに戻ってくるから」って。闘病生活で暗く沈んでいた弟たちがそれを聞いて「そうだよ、姉ちゃん早く妊娠しなよ! 父さんに孫、見せてないじゃん!」みたいになって。

 

そのときにふと思い出したんです。病気が分かる前に父が「そろそろ絵理の子どもが見たいな」って言っていたのを。でも、当時の私はなんとなく“未来はいつまでもある”って思っていたから、「来年ぐらいね」って何の気なしに答えていて……。初めて後悔しました。

 

父は本当にその後、1カ月ちょっとで亡くなってしまいました。家族みんなやりきれない思いでいっぱいでした。余命宣告されて1カ月って、何ができるんだろうっていうくらいあっという間で、何もできていなんじゃないかと責める気持ちばかりが浮かぶんです。家族みんなが悲しみを抱えていたときに、自分の体調の変化に気づきました。

 

 

ーお父さまの死後にすぐ妊娠がわかったんですね。家族のみなさんの反応はいかがでしたか?

 

【高杉さん】
それはもう、希望の光でした。兄弟たちも「お父さんの生まれ変わりだ」って喜んでくれて。なによりふさぎ込んでいた母にとっての生きがいができました。子どもって本当に希望なんですよね。パーッと周りが明るくなるような。息子は私たち夫婦だけでなく、母や兄弟たちみんなが悲しみに暮れているときに幸せを運んでくれた天使です。

 

生まれ変わりのように子どもが生まれてくる話は、仕事でもよく聞くエピソードなんですが、自分が体験して「亡くなる命もあれば、生まれてくる命もある」って実感しました。実際、息子は全然生まれる様子がなかったのに、予定日よりも早く陣痛がきて生まれてきて、気づけばその日は父の月命日。やっぱりこの日に生まれてきたかったんだねと母と話しました。

 

ただ、産後は思った以上に大変。私はもともと体が丈夫だったのですが、産後はめまいに悩まされるようになりました。体調がよくないというのが私自身とてもストレスで、思うように育児ができないのが辛かったです。

 

子どもを産んで育てることは確かにデメリットなことも多い。というかデメリットなことだらけ。たぶん、たくさんのデメリットの中にほんの少しのメリットがあるだけなんじゃないかと思います。夜泣きはするし、イヤイヤ期は来るし、何もかも本当に大変(笑)。でも、その子の成長の兆しや一瞬の笑顔ですべてを帳消しにしてくれるから不思議。あんなに大変なことがあったのに、育児のつらかったり大変だったりした経験は、今振り返ると楽しく幸せな思い出になっています。

 

だから「子どもをかわいいと思えない日があっても大丈夫」っていつもママたちに言っています。いつかまたちゃんと戻ってくることができればそれでいいと私は思うんです。

 


機会があるなら、ぜひ子どもを産んで育てる体験をしてほしい

ー高杉さんは助産師として多くの出産の現場に立ち会われていますよね。実際に赤ちゃんの出産に立ち会われるときはどんな気持ちなのでしょうか?

 

【高杉さん】
出産の瞬間はとても冷静です。絶対に安全に生まれてくる保証はないからこそ、安全に生まれてきてほしいし、安全に生まさないといけないという緊張感があります。でも、私はその緊張感が嫌いではないんです。そして、無事に生まれてきたあとのほっとした喜びと高揚感はなんとも言えません。

 

一度産んだママから「高杉さんは名キャッチャーです!」と言われたことがありました。本当にうれしかった。実際にがんばっているのはママなんだけど、見えないところでリードし、安心して共に出産を乗り越えようという気持ちが伝わっていたんだなって。本当に助産師冥利につきる言葉です。

 

私は、子どもを生まない人生を選択してもいいと思うし、それを否定しているわけでもないけど、多くの女性に機会があるなら子どもを産んで育ててほしいと思っています。

 

「機会があるならぜひ子どもは産んでみて。見えない世界が広がるから」

 

実は私が助産師になりたてのころに一緒に働いていた先輩助産師に言われた言葉なんです。それを聞いたときには「確かにそうかなのかも」ぐらいにしか思っていなかったんですが、育児をしている今、頭の片隅にあったこの言葉を思い出すことがあります。

 

子どもを産む前は、「子ども産んだことあるんですか?」って仕事で聞かれるのが苦手でした。でも、今ならわかります。知識よりも体験するということがどれだけすごいことなのか。だから、人生にはいろんな選択肢があるし、仕事をしながら子どもを育てるのは大変なこともあるけど、機会があるなら、子どもを産んで育てる体験をしてほしいとたくさんの女性に伝えたいと思っています。私も子どもが生まれて2度目の人生をもう一度歩ませてもらってるなと日々感じています。人生に幅が出て、2倍も3倍も人生が豊かになりました。

 

夫にも言われるんです、「今、助産師実践編をしてるんじゃない?」って。本当にそうだなって(笑)。今まで助産師として学んできたことを、今は子どもの育児を通じて実践している毎日です。

 


お父さんの生まれ変わりとして誕生したかのような息子さんのエピソードを聞かせていただき、取材中にもかかわらず思わず涙が出てしまいました。助産師としての知識と子育ての経験から生まれた高杉さんの言葉は、ママたちにとってもわかりやすいものばかり。ぜひ、チェックしてみてくださいね。

 

著者

ライター サトウヨシコ


大学卒業後、大手食品会社に勤務。未経験から編集者を目指し転職。その後、結婚と出産を経て妊娠・育児雑誌のディレクターに。WEBメディアの新規事業立ち上げをし、2017年に株式会社フラミンゴミンゴを設立し、現在は数々のメディアに携わっている。



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