子どものころから物を片付けることが大好きな私。整理収納の情報が載っている雑誌などを見ては、たくさんの物をいかに整理整頓して限られた場所に納めるかを考えてばかりいました。
でも、うまく納まった物を眺めていると、うれしいはずなのになぜか心がモヤモヤ……。偶然出合ったある本を読んでそのモヤモヤの原因が判明し、物との向き合い方を変えたことで本当に快適な生活を送れるようになれました。
部屋は片付いているのに、なぜモヤモヤ?
モヤモヤに気付いたのは、結婚をした30代のときです。実家から必要な物だけを持ち出して新生活がスタート。コンパクトな1LDKのマンションでしたが、必要な物しかなかったのでとても快適でした。でも、たまに実家に帰ると、私や姉が置いていった荷物があって、なぜかモヤモヤ……。家が古いからモヤモヤするのかとも考えましたが、そのときはわかりませんでした。
ある日、本屋でやましたひでこさんの『新・片づけ術 断捨離』(マガジンハウス)という本を見つけました。「断捨離」という言葉にはなじみがなかったのですが、惹かれて早速読みました。
すると、私のモヤモヤの原因が判明。私は片付いていても必要のない物に囲まれていることで心が圧迫され、モヤモヤしたようです。実家には、もう着なくなった洋服やアクセサリー、学生時代の教科書など、いつか使うかもと思って取っておいた物が、タンスや押し入れにぎゅうぎゅうに収納されていました。やましたさんによると、これは物にこだわり、物を軸とした収納なのだそう。それがモヤモヤの原因だとわかってからは、今の自分にとって必要かどうかを主軸に置いて、物と向き合うようになりました。
1日1カ所で無理なく実行!
自分軸で物と向き合うようになってしばらくして、大規模な荷物の整理をおこなう機会が訪れました。私は30代後半で実家を建て直して両親と同居することになったのですが、それを機会に実家の不要な荷物を処分することにしました。1人目の子どもの出産で実家に戻っていたので、子どもが寝ている間にコツコツ始めました。
まずは洋服。独身のころに買ったブランドの服たち、でも、この1年1度も袖を通していません。もったいないという気持ちが出ましたが「今の私には必要のない物」と割り切ってさよならしました。続いてバッグや小物類。子どもがいる環境ではほとんど使わず、自分にとって本当に大切な物だけを厳選しました。そのとき選び抜いた物は現在40代になっても身に着けています。でも、大苦戦したのが写真、思い出の品物です。そのときの私にはまだ思い出を断つことができませんでした。
生まれたばかりの子どもがいたので、1日1カ所と決めておこないました。この方法だと、時間のない日は小さな引き出し1カ所、時間が取れる日はクローゼットと臨機応変にできたからです。物が減り、部屋の中がスッキリすると、私の心も晴れやかになってきました。
「今日は何を捨てよう」が習慣に
その後、新しい家が完成し、厳選した物たちでの暮らしが始まりました。自分の好きな物に囲まれての生活は本当に快適です。もともと私は買い物が大好きで、ちょっと頑張るとご褒美を買いたくなってしまう癖がありましたが、その欲も気が付けば薄らいでいました。
子どもが2人になり、家族の荷物も増え始めました。でも、物を整理する習慣が身に付き、なんか心がモヤモヤしてくると「今日は何を捨てようかな」とスイッチが入るため、物が増える一方となることもなく、物と良い関係が築けるようになってきました。
40代で夫の海外転勤が決まりました。海外に運んだ荷物は家族4人分、段ボール19箱。引越業者の方にも「これだけですか?」と何度も確認され、友人家族は100箱を超えていたので大変驚かれました。でも、現地で不便に感じることはありませんでした。さらに日本へ戻るときは17箱に。
2年半生活していた場所からの4人分の引っ越し荷物としては少ないのかもしれませんが、それでも実際に帰国後に荷物を片付けてみると、今、そしてこれからの私たちに必要のない物を持ち帰っていました。私は、もともと日本に残しておいた物も含めて、再び不要な物の処分をスタートしました。
まとめ
不要な物を処分することで大切なのは自分が主役であること、ライフステージに合わせて見直すタイミングが訪れるのでその機会を逃さないことだと思いました。帰国後、40代後半を目の前にした処分をおこなったときは、思い出の物たちとも向き合うことができました。30冊あったアルバムも5冊になり、時々子どもたちと一緒に見ながら笑っています。
これからも年を重ねながら物と向き合い、快適な暮らしを続けたいです。次は子どもたちが巣立つころかなと、今からイメージしています。スッキリした心と環境で、次のライフステージに向かいたいと思います。
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監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)
取材・文:Pたろー
間もなく40代後半へ。根っからのミーハー心で、これから迎える更年期もポジティブに過ごしたい。