バスの中で言われたひと言に悩み始める
娘は、赤ちゃんのころから指しゃぶりをしていました。はじめは手を口に持っていけるようになったと感動したり、一生懸命指を吸っている姿がかわいいなあなんて思ったりしていました。そのうちやめるだろうと気楽に考えて、特に気にしていなかったのです。
ところが、1歳半になった娘を抱っこしてバスに乗ったある日、隣りに座ったおばあさんが、指しゃぶりをしている娘を見ながら笑顔でこう言いました。「あらら、抱っこしてもらってるのに寂しいの?」と。おばあさんの言っていることの意味がわからず、笑顔を返してやり過ごしたのですが、あとでその意味に気づいた私は、娘の指しゃぶりは寂しい心の現れだったの?と、落ち込み悩むようになったのです。
解決方法が見つからない
それからというもの、指しゃぶりについて調べたり、娘の行動を観察したりするようになりました。娘は1人目で私は専業主婦。いつもそばにいてかまっているから寂しいことはないはず、何かほかに原因があるのではと思ったのです。ひとまず、指しゃぶりをしたらすぐ指を抜く、注意する、を繰り返してみました。でもそのうち、指しゃぶりしているところを私に見られると、ビクっとするようになってしまったのです。
後日、今度は娘がいつもしゃぶっている指をケガしてしまいました。絆創膏を貼った指でもしゃぶるのかな?と様子を見ていたら、しゃぶってすぐに指を外し、困った顔をしていました。試しに別の指をしゃぶってみますが、しっくりこないようです。お、これで指しゃぶりがやめられるかな?と期待したのですが、ケガはすぐに治り、絆創膏を外したらまたすぐに指しゃぶりは再開しました。
無理矢理ではなく納得してやめさせたい
ずっと絆創膏をしておけば、指しゃぶりをやめたかもしれない。けれど、それでは根本的な解決にはならないと思いました。無理矢理にではなく、納得してやめてほしかったのです。とはいえ解決する方法は見つからず、時間だけが過ぎていきました。
定期的に通っていた歯科検診では必ず、「3歳までには指しゃぶりをやめないと、前歯に影響が出ますよ」と言われました。これはさまざまな見解があるようですが、それも1つのプレッシャーになっていたことは間違いありません。
思いついたまさかのひと言が大成功に
娘を観察し続けた結果、どうやら乗り物に乗って静かにしていなければいけないときや、眠いけれどおっぱいを飲めないときなど、我慢をしているときによく指しゃぶりをしていることに気がつきました。
そこで私は思いつきで、こう言ってみました。「お指をしゃぶりたくなったら、ママにすりすりしてごらん」。すると娘はそれを実行して、指しゃぶりを我慢するようになったのです。それからしばらくして、娘は2歳半のころに指しゃぶりをやめることができました。
思いつきのひと言が長年の悩みを解決するなんて、と当時は驚きました。でも今思えば、悩んでいる間にも娘は成長しており、自然とやめるタイミングになっていたのかもしれません。ちなみに2人目の息子は1人目に比べるとかまってあげられていませんが、指しゃぶりはありませんでした。さみしいから指しゃぶりするのではなく、個人差なのかなとも思います。
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監修/助産師 REIKO
イラストレーター/そら
著者:坂井香子
おだやかな娘とわんぱくな息子の母。夫は別居中のため、完全ワンオペ育児奮闘中。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。