にんじんのおもちゃを握りしめて…
慣らし保育初日のことは今でも、脳裏に焼き付いています。どこからそんなに大きな声が出るのか?というくらいの大声で泣き叫び、私に向かって手を伸ばし続けた娘。保育士さんに抱っこされ、園内に入ってからも泣き声は響いていました。
「私、本当に働けるのかな? これでよかったのかな?」と悩んでいるうちに、あっという間に慣らし保育の2時間が過ぎて迎えに行くと、娘はにんじんのおもちゃを握りしめて泣いていました。
寂しくならないよう工夫できることは
娘が別れ際に泣く理由はシンプルに“一緒にいたいから”だと思った私は、何か工夫ができないかと考えました。まずは、毎朝バイバイするときに、娘の小さな手をぎゅっと握って、「ママ、行ってくるね! こども園で楽しく遊んでね!!」と伝えることから始めることにしました。
こども園で過ごす時間を、少しずつでいいので娘が受け入れてくれたらなと思ったのです。手を離すとやはり娘に泣かれる日が続きましたが、慣らし保育から2週間が過ぎるころには、保育士さんに抱っこされて落ち着くようになりました。
おうちでも、こども園と同じように
保育士さんから「毎日にんじんのおもちゃを離さないんですよ」と教えていただいたので、私はフェルトでおままごとの野菜やおにぎりを作り始めました。なんだかうれしそうに作っている私を見た夫には、「夜中に何をやっているの?」と驚かれましたが、家でも娘と一緒におままごとで遊べたらいいなと思ったのです。
こども園と同じように遊べることがうれしかったようで、作品の数が増えるころには娘は泣かずにこども園に通うようになり、「次はハンバーグを作って!」とお願いされるようになりました。
この経験から、子どもが泣いてしまうのは親のせいではなく、ただ大好きだという気持ちをストレートに伝えてくれているだけなのだと気が付きました。今思うと、働きながらよく作ったなぁと自分を褒めたいです。自分を責めるのではなく、「離れていても、愛しているからね!」と、これからも娘に言葉だけでなく態度でもたくさん伝えていこうと思った出来事でした。
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監修/助産師REIKO
著者:西垣かおり
7歳女児のママ。元転勤族の妻で、子どもは1人だが、3度の保活経験あり。縁もゆかりもない街で戸惑いながらも、初めての子育てを楽しんだエピソード中心に執筆中。