【産婦人科医ママ】母乳で悩みトラウマに。わが子をおんぶと抱っこしながら分娩に立ち会ったことも!

ベビーカレンダーでは、「子どもがいるっていいな」と思えた瞬間について、実際のママへのインタビューをしています。今回は、産婦人科医の善方裕美先生に3人の娘さんの子育てについて聞いてみました。

善方先生と3人のお子さん

 

善方裕美先生
よしかた産婦人科院長。横浜市立大学産婦人科 客員准教授。日本産婦人科学会専門医。女性ヘルスケア専門医。日本骨粗しょう症学会認定医・評議員。年間約800人の赤ちゃんが誕生する分娩施設の院長であるとともに、女性医学の専門家として大学での研究、行政の女性健康セミナー講師、NHK健康チャンネルの出演など情報発信をおこなっている。

 

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子どもが大きくなった今でも「子どもと共に生きている」

ー23歳、20歳、16歳の3人の娘さんがいらっしゃるとのことですが、お子さんが小さかったころの思い出などありますか?

 

【善方先生】
上の2人が小さかったころには、すでに夫と開業で産婦人科をしていました。夜遅くに出産があるときには、どうしても対応しなければならない。そんなときには、ひとりをおんぶして、もうひとりを抱っこして分娩室に入ったりしてました。もう、しょうがないですよね(笑)。

 

昼間の外来診療の時間も預けていて、夜の時間もまた預けるっていうのが私にはどうしてもできなくて…。とにかく一緒にいたかった、できるだけ離れたくなかったんです。だから、子どもたちはそんなふうに私が仕事をする姿を見てきていると思います。

 

ーそんなお母さんの姿をどう思ってたんでしょう?

 

【善方先生】
長女は今、医学部に行ってます。まさかそうなるとは!とは思って、驚いてます。
両親が二人とも医者だと、一般的に「後継ぐんでしょ?」みたいになると思うんですが、私は1回も「医学部に行ったら?」とか言ったことないんですよ。

長女が言うには、私が仕事をしている姿は楽しそうに見えたって。「楽しそうだな」「やりがいがありそうだな」「いいな、勉強したいな」って思うんだよねって言うんです。子ども心にすごく私が忙しそうにしているときには、手伝ってあげたいって思ってくれていたそう。私が学会などで勉強している姿は、夢を追っているといういいイメージを持ってくれていたみたいです。

 

逆に、次女は幼稚園のときにはずっと「お医者さんになりたい!」って言っていたのに、海外に留学したのをきっかけに、全く別の夢を見つけて日本文化を研究する学部の大学生になりました。3人目は、今ちょうど16歳なんで、悩んでいるんじゃないかな。いずれにしても、子どもたちの進む道はそれぞれが自発的に決めるべきだと思っています。


ーお子さんたちには楽しそうに見えても、実際は仕事と育児の両立は大変じゃなかったですか?


【善方先生】
仕事と育児の両立…と言えるようなカッコイイことは何もなくて、日々必死に子供たちと過ごし、やらなくてはならない最低限の仕事に関わって、ごちゃごちゃの時間を過ごしていたら子どもたちが育ってくれた、みたいな感じです。

 

私は仕事ですごく疲れてても、どんなにつらくても「子どもたちがいれば生きていける!」と思ってました。小さいころはとくに「ママ、ママ!」って求めてくれるじゃないですか。それがうれしかった。子どもたちにおいしいご飯を食べさせてあげたい、情緒豊かに育ってほしい、シンプルにそう願っていて、だから、気持ちの上では「仕事よりも子どもが優先」と思っていました。それがよかったのかもしれないですね。

 

子どもが大きくなった今でも、娘3人と私は、住む場所は離れているけど、とても仲よしで、音楽という共通の趣味で盛り上がったりしています。自分の年齢があがるにつれ、さらにもっと「子どもと共に生きている」って思います。

 

 

子どもたちと一緒に遊んでたときが人生で一番キラキラしてた

ーお子さんと遊んだりした思い出もありますか?

 

【善方先生】
私、子どもと外で遊ぶのが大好きなんです。自分の子どもだけじゃなく、お友だちのママと子どももみんなで一緒に海や山やアスレチックに行くのが好きで、企画するもの好きでした。今、思い返しても私の人生で一番キラキラしていた時期だったと思います。

 

ーえーっ!自分が若いときに友だちと遊んだりするよりですか?

 

【善方先生】
全然! 本当に真面目にそう思うんです(笑)。楽しかったな、みんな可愛かったな〜って。私はどちらかというと、ママたちといるより、子どもと一緒になって遊んでるほうが多かったんですけど。

 

今、コロナや災害もたくさんあって、どんよりしたり、辛かったり、イライラしたり、落ち着かない状態になることも多いじゃないですか。でも、1カ月健診の赤ちゃんが来た瞬間に、赤ちゃんの周りはふわぁ〜っと明るくなるんですよ。

 

これって、例えば海外の戦時下でも、赤ちゃんの笑顔って変わらないと思うんです。キラキラした目をしてて「世界は素晴らしい」って顔をしてる。何より周りにいる大人たちを巻き込む力があるんです。赤ちゃんが笑えば、大人も笑いますよね。

 

うちの産院は毎週木曜日に1カ月健診をやってるんですけど、木曜日は幸せでしょうがないんです(笑)。嫌なことも忘れちゃうくらい。赤ちゃんからたくさんパワーをもらってます。

 

完ミ・混合・完母どれも経験したからどの気持ちもわかる

ー善方先生は母乳育児を推進しているとのことですが、ご自身の育児ではどうだったんでしょうか?


【善方先生】
おっぱいに関しては本当に三者三様でした。なので、どのママの気持ちもよくわかります。


長女のときには時代的にも生まれてすぐに母子別室。授乳指導も何もなく、おっぱいの咥えさせ方もわからないまま退院し、結局、母乳は断念して乳児用ミルクで育てることになりました。次女は生後6〜7カ月くらいまで混合で頑張ってたんですけど、その後、母乳不足の不安がぬぐえず乳児用ミルクに。三女が生まれるまでの4年間に自分の病院を母子同室にして、母乳指導もしっかりできるようにして…と今と近い形へ変えていきました。

 

なので、三女を出産するときには妊娠中から当院の助産師さんにおっぱいケアをしてもらって、産後も完全母乳で育てられたんです。それまで、自分はダメなおっぱいなんだってずっと思ってました。すごく悲しかったし、トラウマになっていたと思います。それが、完全母乳にできたことでストンとラクになりました。うれしくてうれしくて、三女は5歳くらいまで飲ませてましたね。

 

でも、そのうちお姉ちゃんたちから「もう、年長さんになるのにぃ~。いつまで飲んでるの〜?」とか言われるようになって、ある日、自分から「今日はちょっと我慢してみる」って。「我慢しなくていいよ」って言ったんですけど、「でも、がんばれる、大丈夫」って(笑)。それで、私は寂しかったんですが、その日が卒乳の日になってしまいましたね。

 

ー自ら卒業していったんですね(笑)。


【善方先生】
さすがに5歳まで飲んでいたからか、高校生になって「私、母乳の味、結構覚えてるんだよねー」とか言うんです。「そんなにおいしくはなかったな。甘いような甘くないような…。でもなんか、ホッとするんだよね」って。

 

ー味や感覚が記憶にあるんですね。

 

そうなんです。「ホッとする味」だなんて、すごいいいこと言いますよね。「おっぱいは心の栄養剤なんです」って患者さんにお伝えして、つい仕事に使っちゃうこともあるくらい! 私は自分の子育てと仕事がうまくリンクしてて、子どもたちに教わったことを実践している感じです。

 

 

ー最後に、若い女性にメッセージはありますか?

 

子どもがいなかったら知らなかったこと、感じることができなかったことを、子どもたちからたくさん教えてもらったと思います。子どもが新しい世界を切り開いてくれた。歳を取れば取るほど、子どもがいる生活っていいなと実感することが多いです。
これから先もまだまだ楽しみなことがいっぱいあります。子どもたちが結婚したり、母親になったり。私、おばあちゃんになるのが夢なんです。また、赤ちゃんに会える!

そうやって命がくり返されていくのが慈しみ深いと感じるようになりました。

全然知らなかった世界に連れていってくれて、人生を豊かにしてくれるのが”子ども”という存在なんだと思います。

 

 

産婦人科医でありながら、3人のお子さんのママでもある善方先生。子どもがいない人生なんて考えられない!と素直に言える姿は先輩ママとしても素敵でした。大きくなった娘さんとも仲良しの秘訣は、お互いに信頼しているからこそなのかもしれませんね。

 

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    この記事の著者

    ライターサトウヨシコ

    大学卒業後、大手食品会社に勤務。未経験から編集者を目指し転職。その後、結婚と出産を経て妊娠・育児雑誌のディレクターに。WEBメディアの新規事業立ち上げをし、2017年に株式会社フラミンゴミンゴを設立し、現在は数々のメディアに携わっている。

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