日台夫婦で営む日本料理屋での紹介
当時、私が働く日本語学校の近くに日本料理屋がありました。そこは日本人のご主人と台湾人の奥さんが営むお店。日ごろの食事は簡単なお弁当で済ませていましたが、週一回そこで食べる定食が、私にとって贅沢な食事で、女将さんとのおしゃべりもいい気分転換になっていました。
そんなお店である日突然、女将さんが「あなたに紹介したい人がいるの。」と言うのです。そして、紹介された人が夫となる台湾人男性でした。
彼の第一印象は「よく食べる人」
彼は日本が大好きな人で、日本へ旅行にいったときの話や、台湾にある日本料理がおいしいお店の話で盛り上がりました。また趣味もあまりない私と比べて、大型バイクやキャンプなどアクティブな趣味を持っている人で、私の目に、彼はとてもキラキラして見えました。
また、私がそのお店で頼むものといえば、鮭定食(日本円で約600円くらいのもの)なのですが、彼は刺身、焼き魚、煮物にビール。私のそのころのお給料から考えると、「昼からなんて贅沢なんだ……」と驚愕しました。
すっかり意気投合した私たちは、次の週また会う約束をして、日本料理を食べに。そこでも彼は食べる食べる! 私は「この人といたら、ずっとおいしいものが食べられるかも。」と感じたのでした。
台湾とグアムの遠距離恋愛
何度かデートをした後、彼はグアムへ帰ることになりました。彼は台湾人ですが、当時グアム在住だったのです。私は台湾で仕事を続けながら、グアムにいる彼と連絡を取り合っていました。
そしてある日、彼から交際の申し込みが!そこから台湾とグアムの遠距離恋愛が始まりました。数か月に1回彼は私に会いに台湾へ帰ってきてくれていたので、そのたびに二人の共通の趣味である日本料理巡りをしていました。
国際恋愛はやはり習慣・文化の違いもあり、衝突することもしばしばありました。言語も違うし、私の中国語が完璧ではないために起こる誤解などもあります。しかし、仲直りは「いつもおいしい物を食べに行こうか!」と、どちらかが言うと仲直りできるので、共通の趣味があってよかったなと、改めて感じています。
このような遠距離恋愛を1年続けていましたが、私としては、「これからはもっと身近で、2人で仲良くおいしいもの巡りしたい」と感じていました。そして、突然彼が台湾へ拠点を移すと言い出し、お互いに自然と「それならば結婚しましょう」という流れに。彼が、台湾へ帰国することを決めてくれて、本当にうれしかったです。
日本と台湾で結婚後、彼が完全に台湾へ帰国し、台北で新生活を始めました。私たちは相変わらず、おいしい日本料理巡りを続けています。今は3歳の息子がいるので、これからも家族3人でおいしいものを食べに行けたらなと思います。
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著者/鈴木けいこ