こんにちは、助産院ばぶばぶ院長・HISAKOです。今日は生後すぐの母乳育児についてお話しします。今、悩んでいるママだけではなく、妊娠中のママにも知っておいてもらいたいお話です。
赤ちゃんは栄養を蓄えて生まれてくる
出産予定日が近付いた胎児は、十分な水分と効率よくエネルギーを産生することのできる豊富な皮下脂肪を蓄え、出生後数日間、じょうずにおっぱいが飲めなくても生きていけるように準備をして生まれてきます。
生まれてから体重が減ることもあります
頻回直母(ひんかいちょくぼ)※をしていても、生まれたばかりの赤ちゃんはスタミナがないので、吸うことで疲れて眠りこけてしまう子も多く、効果的な乳頭刺激も得られないため、生後3日目をピークに体重が10%以上減ってしまうこともあります。ただ、おしっこ・うんちがちゃんと出ていて、生後4日目あたりで体重の減り方がゆるやかになっているようであれば心配はいりません。
赤ちゃんの発達、ママのおっぱいの状態には個人差があります。だから、最初から思うようにいかなくても悲観しないでくださいね。
※頻回直母:頻回授乳のこと。授乳を頻繁にすることで母乳の出を良くする方法のひとつ
みんな同じではないから落ち込まないで
ただし、退院のころ(生後5日目)になっても体重が増え始めないときは要注意です。さまざまな要因によって、たとえば、赤ちゃんの体力がなさすぎて、じょうずにおっぱいに舌を巻き込めないことだってあるわけです。ママの授乳姿勢に問題があってきちんとおっぱいをくわえさせることができていないこともあります。
そもそも、初乳分泌のスタートが遅めであるケースもあります。早期新生児の栄養管理はみんなが同じなのではなくて、状況によって大きく異なるのです。
大事なのは栄養不足にならないこと
それぞれの親子の状況を多くの情報から正しく判断して、頻回直母でいけそうなときはもちろん「母乳だけで乗り切ろう!」「ひたすら何度も吸わせて」とアドバイスしますが、生まれて間もない赤ちゃんに大切なことは、「何を飲ませるか?」ではなくて、「いかに栄養不足を防ぐか?」だと思います。
母乳育児が確立されるのには数カ月を要するのが普通です。それまではどうか焦らないで、今ママにできる精一杯のことをして、赤ちゃんの持っている力がいつか発揮できるようになるまで待ってあげましょう。
子育ては根気がいることばかりだけど、必要な場合には柔軟な心でミルクや搾乳で補足をしてあげてくださいね。
総合病院小児科・産婦人科・NICU病棟勤務を経て、地域での助産師活動・出張専門助産院を開業。2006年には来院ケアも可能な「助産院ばぶばぶ」をオープン。2016年に11人目を出産し、ママたちに元気と勇気をおすそ分けすべく母乳育児支援や講演活動、書籍出版など多岐にわたって活動中。